いろんな岩場に行くようになって、初登時にプリクリで登られたプリクリ推奨ルートの存在に触れて、自作してみた。
制作費は100円くらい。岩場に落ちてる木の棒に付けて使うから棒を持ち歩かなくていいのが利点。僕はこれまで、前腕ハム化マシーンとか、浅瀬のボルダーの登攀可能性を開くフローティング式クラッシュパッドとか、本物の花崗岩を使ったスラブの人工壁とか、いろんな浅はかなことをかんがえてきたんだけど、このプリクリスティック(の先端部)が唯一実用化されたアイテム。
プリクリについては賛否両論あるようだが、個人的にはこれまでプリクリ推奨ルート以外でプリクリで登ることには否定的だった(注1)。なぜなら、リードでレッドポイントするのを完登と考えるルールの下でクライミングというゲームをやってるんだから(注2)。しかし最近、ツイッターでプリクリ擁護論を目にして、考えさせられた。曰く、
岩場で事故を起こすとその岩場が登攀禁止になってしまうおそれがある。事故を防止するためにはプリクリは必要だ。
事故で失われた岩場のことを考えると、確かにそうだなーと思った。
それから、山で危険なことをやってる人にプリクリ容認派が多いのはなぜだ?という前から抱いていた疑問への答えも示されていた。
危ないことは山でやれ。スポルト・クライミングの岩場ではやるな。
これも一つの見識として概ね納得(注3)。
しかし、それでも僕はリードでのレッドポイントをもって完登とするゲームのルールにこだわりたい。なぜなら、そのルールを放棄する前にできることはまだたくさんあると思うから。
たとえば、
- 頭を打っても死なないように、ヘルメットをかぶる
- 落ちても事故にならないように、ボルダリングの経験を積んで着地の技術を身につける
- クリップする前に落ちないように、クライミングの能力を上げる
- 初見で1本目のボルトに到達できなさそうだったら、リハーサルする(注4)
- リハーサルしても確実に1本目のボルトに到達する自信がないのであれば、実力がつくまで登らない
プリクリで登って完登とみなすのは、最後の手段。
と言いつつ、近いうちに挑戦することになるであろう秋葉大権現では早々に最終手段を発動する気まんまん。先日秋葉大権現をトライされていた方はプリクリのヌンチャクは2枚がけにしておられて、見習おうと思いました。
ともあれ、いろいろ考える機会を与えていただいた池田さんには感謝。
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(注1) ちなみに、僕がプリクリを認めないのはあくまで自分の話し。他人がプリクリで登ることを完登とみなすことを否定するつもりはない。ただし、順番待ちしてる人がいるのにプリクリするのに手間取って長い時間をかけててしかもそれがルート全体の難易度からすると全く難しくないセクションだったりすると、やめて欲しいと思うことはある。いや、あった。プリクリするならプリクリ技術は磨いて欲しい。
(注2) しかし、そもそもなぜリードなのかは自明のことではないとも、最近思う。登ることだけが目的なら、トップロープでもいいんじゃない?リードするのはトップロープより楽だからでしょ?垂壁はトップロープでよくない?という宗旨がえをする日も訪れるかも。なんてことを、この前、スペインの前傾壁を登るクリス・シャーマのDVDを見てて思った。
(注3)細かな点では釈然としないところもある。危険なことをしてはいけないんだったら(1)2本目のたぐり落ちの方が危険だから、2本目までプリクリしないといけないんじゃない?(2)ヌンチャクの脱落防止のためにマイロンを使うべきじゃない?(3)ヌンチャクからロープが外れるのを防止するためにヌンチャクは環付きのビナにすべきじゃない?とまあ、いろいろ疑問はあるんだがこのあたりは将来の課題だろうってことで、概ね納得。
(注4) プリクリでのリハーサルは容認。最終的にプリクリなしでRPするのが目下のところの僕のルール。ただ、下から上までトップロープでのリハーサルはしたくない。これはリードの面白さと完登の嬉しさをスポイルする。
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