アクセス
スレートの石切り場があるのはウェールズの北部。おそらく、マンチェスターの空港からアクセスするのが便利。車で2時間くらいだと思う。あるいはリバプールでもいいのかもしれない。ヒースローからは車で5時間くらいなので、乗り継ぎの煩わしさとリスクを考えると、運転が苦でない人はヒースローから車でアクセスしてもいいだろう。
観光情報
城巡り
まずはウェールズの歴史を感じる城巡りに出かけよう。北ウェールズにはイングランド対ウェールズの戦いの舞台となった中世の城がある。今の感覚でいうとロンドンに近い南ウェールズが戦いの舞台になりそうなものだが、イングランドの軍勢はチェスターから北ウェールズに攻め込んだらしい。その歴史を知ると、UKの皇太子がPrince of Walesと呼ばれる理由もわかって来る。
特に重要な城の4つがConwy、Caernarfon、Beaumarisともう一つどこからしい。Conwyは地形と城壁が守りを固めているのが理解できてとてもいい。Caernafonも堅固さを感じられてすごくいい。Beaumarisはまあまあ。
ウェールズの城だとかアビーだとかを巡ることができるパスがあって、超オススメ。
https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/admissions
ビーチ
天気が良ければ、ぜひビーチを訪れたい。北ウェールズのビーチは広くて美しい。Llandudnoは典型的なUKのビーチリゾートらしく、80年代に貧乏なクライマーが万引きして警察に追いかけられた街を散策するという楽しみもあるようだ。落ち着いたビーチがお好みの方は、Anglesey Islandがオススメ。僕はグーグルマップで見つけたTraeth Lligwyというビーチに行った。引き潮の時は海がはるか先まで遠ざかって広大な砂浜が現れる。超いいところだった。なお、UKの海は全般的に言って生き物は少ないのが残念。
スレートの岩場はSnowdoniaという山岳地帯の端にあって、天候は少々不安定だ。岩場は雨だが北の空を見ると青空が見えるということはよくあるみたい。海がキラキラ光って、その先にはAnglesey Islandが見える。そんな時なクライミングを切り上げてビーチに向かうのもいいだろう。
Welsh Food Center
https://www.bodnant-welshfood.co.ukウェールズもイングランド同様飯はうまい。ウェールズの食品を扱う小さなフードセンターに行くと、ウェールズの食に触れることができる。チーズは特に品揃えがいい。あと、肉製品も良さそう。美味しいパンも手に入る。僕が行った時にはその他はイマイチな感じだったけど、その後オーナーが変わったようで、もっといいところになっているかもしれない。
National Slate Museum
https://museum.wales/slate/いよいよスレートに近づいてきた。スレートの岩場はLlanberis(ランベリス)という街のすぐ脇にある。その街のはずれにあるのが、National Slate Museum。スレートの石切り場の歴史に触れることのできる素晴らしい博物館だ。北ウェールズを訪れるのであればここは絶対に外せない。スレートの岩場に向かう前にぜひ訪れておきたい。スレートの岩場で目にする様々なものをよく理解できるはずだ。
Snowdon Mountain
スレートの岩場のあるSnowdoniaという山岳地帯の誇る山が、Snowdon。ウェールズの人は、ここがUKで最も美しい山であるという誇りを持っている。UKで一番高い山はスコットランドにあるが、一番美しい山はウェールズにあると。ぜひ登っておきたい。山といっても日本の基準からしたら大したことはなく、ハイキング程度。ハイキングルートはいくつかあるようだ。クライマーはみんな歩くのは嫌いだろうから、そういう人はLlanberisの街から汽車に乗ってしまおう。Snowdon Railwayが山頂まで運んでくれる。
https://snowdonrailway.co.uk
スレートの岩場
北ウェールズの海と山と食を満喫したところで、いよいよスレートの岩場に向かおう。岩場はLlanberisの街のすぐ脇だが、アプローチは反対側から。車で近寄った時点で度肝を抜かれること間違いなし。Bus Stopに車を置いて、水平のアプローチだ。
まずは歩きながら耳をよくすませてみよう。地面に散らばったスレートの破片を踏んで歩くと、カランカラン、チャリンチャリンと楽しい音が響く。それから、足元のスレートの破片を見ると、時々エメラルドグリーンの模様が入ったスレートを見つけることができる。美しいスレートの破片を探すのも、楽しみの一つ。
クライミングエリアもすぐそこだが、登るのはまだはやい。まずは壮大な景色を堪能し、それから残された石切り場の施設にも目をやろう。いくつかの小屋には石切り場が閉鎖された当時の道具が未だに残っている。石切り場全体が博物館のようなものだ。石切り場の労働者をモデルにしたアートが各所にあるので、探してみよう。
可愛らしい植物を眺めるのも良い。
クライミング
ガイドブック
2018年にはRock Fax社から新しいガイドブックが出た。例によって、とてもわかりやすいけれど、インタビューとか歴史とかの記述はない味気ないガイドブック。
情緒たっぷりのガイドブックがGround Upから2011年に出ているけれど、今は入手できないようだ。
https://www.ukclimbing.com/logbook/books/llanberis_slate-1370
スレートの岩場には、トラッド・ルートとスポーツ・ルートが共存している。それも、エリアごとに別れているというわけでもなく、トラッド・ルートのすぐ隣にスポーツ・ルートがあったりする。さらに、Eグレードが付いているにも関わらず、部分的にボルトが打たれているルートもあってそのエシックスを理解することは難しい。ここでは難しいことを考えるよりも、クライミングとして面白いものを登るのが正解だろう。
スレートの特徴は、フリクションのないツルツルの岩質。その岩質を堪能できるスラブはぜひ登っておきたい。それから、スパッと切れたカンテも面白い。カンテはスポーツルートが中心になるだろう。あと、コーナー。フリクションがないのでレイバックに逃げるのが厳しくて、面白いクライミングになる。最後に、ぜひ注目してもらいたいのが、人工物の存在。この地でクライミングが始まる前の石切り場の時代の人工物がルート上にも残されていて、それをホールドにしたり、プロテクションにしたりする。スレートの岩場ならではのクライミングなので、そういうルートはぜひ登っておきたい。
では、おすすめルートのご紹介。
スラブのトラッドルート。中間部まではシンクラックにスモールナッツだのスモールカムだのをねじ込んで登る。ルートの3分の2くらいのところに鉄の棒が刺さっていてそこにスリングを巻いてプロテクションにしたら、あとはひたすらランナウト。これもスレートの岩場らしいルート。レインボーという超有名な岩にあるのも良い。
ガイドブックに'Indian Creek comes to the slate quarries'と書かれているルート。シンハンドのコーナークラックで、クラックの外にはホールドが全然ないので、ひたすら手とつま先をクラックにねじ込み続ける。
閉じたコーナー。コーナーの脇にシンクラックが走っていて、そこにスモールナッツをねじ込んで登る。ガイドブックには'well protected by wires'と書かれている。極小ナッツを信じるか否かはあなた次第。
とうことで、超楽しいスレートの石切り場のクライミングを紹介した。本当に超楽しいので、ぜひ登りに行ってもらいたい。
ここから先は個人的メモ。今回登ったルート。
German Schoolgirl E2 5c オンサイト
Dinorwig Unconquerable E3 5c 初めてのE3、オンサイト
G'Day Arete 6c たぶんUKで初めてのスポーツ・ルート、オンサイト
ルート
スレートの岩場には、トラッド・ルートとスポーツ・ルートが共存している。それも、エリアごとに別れているというわけでもなく、トラッド・ルートのすぐ隣にスポーツ・ルートがあったりする。さらに、Eグレードが付いているにも関わらず、部分的にボルトが打たれているルートもあってそのエシックスを理解することは難しい。ここでは難しいことを考えるよりも、クライミングとして面白いものを登るのが正解だろう。
スレートの特徴は、フリクションのないツルツルの岩質。その岩質を堪能できるスラブはぜひ登っておきたい。それから、スパッと切れたカンテも面白い。カンテはスポーツルートが中心になるだろう。あと、コーナー。フリクションがないのでレイバックに逃げるのが厳しくて、面白いクライミングになる。最後に、ぜひ注目してもらいたいのが、人工物の存在。この地でクライミングが始まる前の石切り場の時代の人工物がルート上にも残されていて、それをホールドにしたり、プロテクションにしたりする。スレートの岩場ならではのクライミングなので、そういうルートはぜひ登っておきたい。
では、おすすめルートのご紹介。
Looning the Tube E1 5a
https://www.ukclimbing.com/logbook/c.php?i=201#overview
岩場に横たわる錆びた送水管からスタートするスラブ。かつてはもう一本の送水管の上をトラバースしてから直上だったらしいけど、その送水管は下に落ちてしまったので、今は普通のトラバース。トラバースした先に巨大な錆びたチェーンがぶら下がっていて、そこにスリングを回してプロテクションにする。スレートの岩場らしいルート。
Pull My Daisy E2 5c
https://www.ukclimbing.com/logbook/c.php?i=6611スラブのトラッドルート。中間部まではシンクラックにスモールナッツだのスモールカムだのをねじ込んで登る。ルートの3分の2くらいのところに鉄の棒が刺さっていてそこにスリングを巻いてプロテクションにしたら、あとはひたすらランナウト。これもスレートの岩場らしいルート。レインボーという超有名な岩にあるのも良い。
Dinorwig Unconquerable E3 5c
https://www.ukclimbing.com/logbook/c.php?i=8163ガイドブックに'Indian Creek comes to the slate quarries'と書かれているルート。シンハンドのコーナークラックで、クラックの外にはホールドが全然ないので、ひたすら手とつま先をクラックにねじ込み続ける。
German Schoolgirl E2 5c
https://www.ukclimbing.com/logbook/c.php?i=8262閉じたコーナー。コーナーの脇にシンクラックが走っていて、そこにスモールナッツをねじ込んで登る。ガイドブックには'well protected by wires'と書かれている。極小ナッツを信じるか否かはあなた次第。
とうことで、超楽しいスレートの石切り場のクライミングを紹介した。本当に超楽しいので、ぜひ登りに行ってもらいたい。
ここから先は個人的メモ。今回登ったルート。
German Schoolgirl E2 5c オンサイト
Dinorwig Unconquerable E3 5c 初めてのE3、オンサイト
G'Day Arete 6c たぶんUKで初めてのスポーツ・ルート、オンサイト
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