2022年4月13日水曜日

アメリカのスポーツクライミング(1)

ラップボルトの スポーツクライミングにスパイスを求める倫理はアメリカのスポーツクライミングから出てくるのではないかという仮説のもとにアメリカのスポーツクライミングを理解する試み。

話としては、スポーツクライミングのボルトはいかにあるべきか、スポーツクライミングにスパイスは必要か、ボルトの打ち替えや打ちたしにはどのような手続きを設けるべきか、という感じで、テーマは色々あるけど、まずはアメリカのスポーツクライミングについて雑駁に勉強してみましょう。まずは、ランナウトするスポーツクライミングとして日本でも報告されているスミスロックから。

PUTTING UP A NEW CLIMBING ROUTE OR REMOVING EXISTING HARDWARE AT SMITH ROCK? NEW RULES
https://smithrock.com/news-all/putting-up-new-climbing-route-or-removing-existing-hardware-smith-rock-new-rules

2021年に確定的なルールができるけど、暫定的な措置として、2020年8月31日以降、スミスロックでのボルトの設置および除去にはpark mangerもしくはpark managerから授権された者による明示的な書面による許可が必要となるという記事。この措置は、Oregon Administrative Rule 736-010-0040 (4)という法的な根拠があるもの。違反した者は最悪の場合は州立公園への立入禁止になるとか。

フォーマルなルールに基づいて規整をするアメリカらしいやり方。おそらく、その前提となるのは、park managerがクライマーと意思疎通をしクライミングのことを理解して許可の可否を判断する仕組み。日本では容易ではないでしょう。

次。スミスロックの開拓者の姿を伝えるレポート。

Dust, Sweat, and Tears at Smith Rock - A firsthand look at the little-understood art of establishing new sport climbs. JANUARY 12, 2019 by TODD YERMAN
https://www.climbing.com/people/dust-sweat-and-tears-at-smith-rock/

The history of new-route development at Smith is inextricably linked to the rise of American sport climbing. It was here in 1983, when Alan Watts rappelled down a gorgeous pocketed face in the Dihedrals and placed expansion bolts on Watt’s Totts(5.12b), that sport climbing in America was born.
Smith Rock’s sport-climbing “Golden Age” reflected the growth of the sport not only from the standpoint of new boundaries, but with respect to a community redefining itself. Ethical debates raged over rap bolting, hangdogging, chipping, gluing, pre-placing gear, and retro-b
olting.


A related question is, How many bolts should a route have? Early sport lines at Smith Rock had as few as possible, with natural protection to fill in the blanks. Some, like Heinous Cling, the airy 110-foot, eight-bolt 5.12c in the Dihedrals, were even bolted on lead. The transition from the trad mentality was slow, and a “ground-up” attitude persisted. Even Ruana’s Forbidden Fruit project still requires a couple of cam placements. At the other extreme, some routes had bolts placed an arbitrary, uniform distance apart, turning clips into cruxes. “The problem with the way things were done at Smith is it sucks, when you think about it now,” says Thompson, who moved to the area in 1982 and witnessed the sport revolution firsthand. “There was this attitude that is has to be runout. Why?! Put the bolts where they need to be.”


アメリカのスポーツクライミング発祥の地であるスミスロックでは、ランナウトが善とされた時代が確かにあったようです。それに対して、当地のlegendary local crewの一人とされるTedd Thompsobは、今になって考えるとバカみたいだと言っている。"Put the bolts where they need to be."というのだけれど、問題は「必要なボルト」とは何かだろう。怪我をしなければいいのか、それなりに恐怖感を和らげてくれる間隔で打たなければならないのか?

ケミカルアンカーが主流となっていることに関して、

“I know glue-ins are better,” says Alan. “But my routes are new, and I don’t know if the clips are gonna work for everyone. What if I have to move them?” Caldwell concurs: “You just have to do what’s right for your routes, and go with glue-ins [later] if you need to make changes.” The message is clear: A new route is a work in progress, even after the FA.




2022年3月5日土曜日

氷細工の竹とんぼ

秋川エリアでトラッドクライミングを行った。

このエリアは、2021年1月の岩探し山歩きで発見した。1月中にクリーニングをして、翌2月に山森さんと登りに行った。山森さんのオンサイトトライを皮切りに、はじめはグラウンドアップでの完登を目指したけど、プロテクションの不確実性のために断念した。岩が安定していないのだ。誰かを誘ってクライミングをするなら岩は徹底的にクリーニングすべきであったと反省した。そういうことで、トップロープでワークアウトすることになった。

帰り道

2021年12月には、ボルダリングでエリアを再訪。大きなサイファーで失敗して、臀部を負傷した。
ボルダリング

続いて、2022年1月にはトップロープで完登。

核心部

いよいよRPを狙って再度エリアを訪れた3月、ようやくこのルートを完成させることができた。最初のRPトライでは、核心部のフットホールドが練習の時よりも小さく感じ、突入できずにテンション。ここはプアなプロテクションでランナウトするので、思い切りが必要。登ったあとに山森さんと話していて気づいたけど、核心部手前のレストポイントまでで足の疲労が溜まっていて、うまく足に力が入らず、それでフットホールドが小さく感じたようだ。

僕の失敗のあと、山森さんがRPし、ルートを完成させてくれた。僕はその後にゆっくり昼寝をして回復して、RPに成功した。フットホールドはやっぱり小さく感じたけど、もうやるしかないと決心して突っ込んだ。

核心部

トップロープを使うという決して良いとは言えないスタイルでの完登だったけれど、嬉しさに顔が緩んだ。数年ぶりにRPを狙うクライミングをしたこと、ブラインドホールドにデッドを2発叩き込むダイナミックなクライミングをナチュラルプロテクションで実践できたこと、そして何より、自分で歩いて発見したエリアで岩塔を突き上げる素直なラインを引けたこと、とてもいいクライミングだった。何度も付き合ってくれた山森さんに感謝。


ルートには山森さんが「氷細工の竹とんぼ」という素敵な名前をつけてくれた。

2022年3月3日木曜日

久しぶりの障子岩

スポーツルートやろうということで、山森さんと障子岩。石灰岩のスポーツルートを登るのいつ以来だろうと記録を見返したところ、2016年1月以来だった。6年前。信じられない。

これだけ間があくと全然登れないことがわかった。一つには、石灰岩のスポーツルートのムーブが出てこない。もしかしたら、石灰岩のスポーツルートのムーブというより、障子岩のムーブと言ったほうがいいかもしれないけど。もう一つは、石灰岩のホールドになれていない。冬の石灰岩の冷たさと、ところどころ出てくるガビガビのホールドを握る痛さ。

ということで、散々な結果だった。障子岩のルートを全部登るというクライミングにおける目標が実はあったことを思い出したし、これからしばらくまじめに障子岩に取り組もうという気になった。

ペッペッペの羽田さん 5.10a  ◯(快適)

筋違い 5.11a ✕(ムーブができず)

ジェラシー'95 5.10d ◯(スムーズではない)

穴 5.11a ✕ (ムーブが思い浮かばない。テンション混じりでトップアウト)

野生の風 5.11c ✕(ムーブができない)

ジョン・ガーバー 5.11a ✕(ムーブが思い浮かばない&もうヨレヨレ。テンション混じりでトップアウト)


2022年3月2日水曜日

数馬の岩場のアクセス

随分前に登った数馬の岩場のアクセス。まだ登ってない岩がありますが、最近いけてないのでとりあえずアクセスを紹介します。

以下は、登ったときの記録。

エイドルートのフリー化@数馬の岩場から、ランジの課題@鳩ノ巣エリア

エイドルートのフリー化完成@数馬の岩場

エイドルートのフリー化に挑むその2@数馬の岩場

奥多摩トラッド@数馬の岩場から、フィンガージャム&ダイノ・ボルダー

完成・COMPASSION@数馬の岩場から、鳩ノ巣ダイノ


アクセスと既存ルートの記録は山と渓谷387号(1970年)に掲載されています。しかし、50年前なのでアクセスには変化もあります。



「案内図」では、西側の沢からアクセスすることになっています。これは今も可能です。また、白丸駅の駐車場からアクセスすることも可能です。その場合、数馬の切通の手前から右に入って、広葉樹の樹林帯を上がって、杉の植林帯を適当に登ることになります。「案内図」にある「マツの木」はわからず、「プレート」はありません。岩がありそうなところの目星をつけて、適当に左の斜面を降ります。


たぶん下の十字の場所です。


2022年1月21日金曜日

クライミング・コミュニティなど存在しない

 There is no such thing as climbing community

と、マーガレット・サッチャーが言ったとか、言わなかったとか。

最近、Giuliiano CameroniのOff the Wagonのロースタートの動画を見た。


この課題は岩の下に置かれたワゴンから登るのでOff the Wagonと名付けられていて、今回はそのワゴンをどけて登っている。ワゴンをどける行為については、どけてももとに戻せるんだから誰にも迷惑をかけていない、だから全然問題ない、ということも言えなくもない。しかし、その行為がカッコいいかどうかという目で見ると、カッコよくはないと言わざるを得ないだろう。なぜならそれはOff the Wagonなんだから。

カッコいいか良くないかなど主観的な判断に過ぎず、そんなものは存在しないという考え方もあるかもしれない。クライミングのスタイルなど理解できない、迷惑をかけない限り何をしても良いのだ、というあれだ。しかし、僕はそれには与しない。クライミングの良し悪しなど存在せず、迷惑をかけなければ良いという考えは、共通の価値と価値をめぐる共通のコミュニケーション手段を持つクライミング・コミュニティなど存在しないと言っているに等しい。そしてそこでは、迷惑をかけないクライミングという世界さえ実現する可能性は低い。

共通の価値と共通のコミュニケーション手段を欠いたとき、何が迷惑であるかについてさえ、そして誰が迷惑をかけているのかについてさえ、合意することは不可能になる。極端な話し、クライミングにおいて最大限に悪い行為とされているチッピングにおいてさえ、チップする者がチップされていない岩を登りたい者に迷惑をかけているのか、チッピングを悪とする者がチップしたい者に迷惑をかけているのか、わからなくなる。チップする者には、自由にチップしたいのにチッピング否定派のせいでやりたいようにチップできない、そんなふうに見えているのかもしれない。種々のクライミングの価値についてコミュニケーションの可能性を否定しておいて、チッピングとか迷惑行為と自分がみなす事柄についてだけ選別的にコミュニケーションが可能である、そして彼らは我々の話を聞いて納得してくれる、なんてことはないのだ。

だから、必要なのは、クライミングの価値についてコミュニケーションが可能であると信じること、そして、クライミングの価値について様々な場でコミュニケーションを行う練習をすることだ。その意味では、「ノーマットなんてありえん!危険だ!」という時々現れる発言も、「そんなわけねーだろ!」と突っ込まれるところまで込みでコミュニケーションの練習としては意味があるのかもしれない。



2021年6月19日土曜日

アッセンダーのアッパーコネクションホールにつけるビナはオーバルじゃないといけないのか問題

表題の件、なんとなくオーバルがスタンダードと思ってたんだけど、実際はどうなんだろうと気になったので、リサーチ。


ペツルは推奨してるけど何でも良いんじゃない?という意見(https://www.mountainproject.com/forum/topic/111614499/oval-biners-and-ascenders


(傍論だけど)オーバルがベストという意見(https://www.alpinesavvy.com/blog/skip-the-carabiner-in-the-top-jumar-hole



オーバルの説明においてアッセンダーに言及がないケース(https://blog.weighmyrack.com/how-to-pick-the-best-carabiner-shape-for-rock-climbing/




そんな中、こんなの見つけた。ゲートの開閉方向にバリエーションが有ることに注意。


右のやつがオーバルに近い。


2021年5月2日日曜日

白岩滝ボルダー

白岩滝近くのボルダーを登ったので報告。とりあえず、白岩滝ボルダーと呼ぶことにする。岩は南東向きの斜面の沢沿いにある。岩の西側は杉林だが、東側は広葉樹。そのため、午前中は陽が入り、木漏れ日がとても気持ちいい。風通しもよく、気温の高い日も涼しく登れそうだ。マイナーな登山道のすぐ脇にあるので、土日はハイカーが30分に一回くらい通ってくれて、丁度いい心地よさを提供してくれる。元気に挨拶しましょう。

アクセス

車の場合は、白岩滝手前の公衆トイレ前に駐車。ハイキングの方も使う駐車スペースなので、譲り合って詰めて駐車しましょう。



公共交通機関の場合には、JR五日市線武蔵五日市駅からつるつる温泉行きバスで15分、白岩滝バス停下車。そこから駐車スペースまで徒歩10分。


駐車スペースからは、白岩滝へ向かう遊歩道を15分で、林道との交差ポイント。あるいは、駐車スペースの公衆トイレ横から直接登山道に上がって、林道の交差ポイントまでおなじく15分。


林道交差ポイントからは、麻生山に向かう沢沿いの登山道を10分で、岩に到着。




岩と課題


サンライズボルダー

上の写真の左の岩を「サンライズボルダー」とする(右奥の岩はまだ登っていない。あと、この先にももう一つ大きい岩があるけど、それもまだ登ってない)。左面は掃除がたいへんそうなので登っていない。登ったのは、左面と右面の境目のかぶったカンテと、右面の課題。



白岩カンテ

上の写真の左のラインのカンテの課題。かぶったカンテで、カンテっぽいムーブがいい感じ。



このポジションからどこにどう手を出すかが悩みどころ。グレードは多分6Cくらい。

サンライズ・クリスタル・フェイス

真ん中のラインのフェイスの課題。なんか知らんけど岩の表面に極小のクリスタルが付着している。




下の写真のポジションからリップに手を出すのにちょっとした思い切りが必要かもしれない。



麻生グルーブ(仮)

右のラインのグルーブのあたりの課題。ちっちゃいエッジからドッカンと遠い一手になると思うけど、登れてない。結構難しいんじゃないかと思う。