2018年8月1日水曜日

ブリティッシュ・トラッド・クライミングのグレードを理解する

分かりにくいと言われるブリティッシュ・トラッド・クライミングのグレード。俗にEグレードと呼ばれるやつ。


形容詞グレードとテクニカルグレードのミックス。ガイドブックを見ると、例えば"E2 5c"みたいに書かれている。このシステムについては、ちょっと前のロクスノに詳細な解説があるのでそれを読むとして、ここではこのシステムをどう運用しているかを言語化してみたい。

僕が登るルートを選ぶときに知りたいことは、そのルートがどのくらい危険なのか。UKトラッドはマジで危険なので、そこは知っておかないとまずい。そこで、どうやってルートの危険度を読み取るか。例えば、ガイドブックを見てそこに"E1 5b"と書かれていたとしよう。上の表の通り、E1の形容詞グレードがつけられたルートのテクニカル・グレードは5a、5b、5cの三通りある。5aだとbold、5cだとsafeとされる。5bは標準的。

これはどういうことかというと、E2という形容詞グレードにはルートの危険度もムーブの難易度も両方加味されていて、同じ形容詞グレードの中でテクニカル・グレードが低いということは、ルートの危険度の高さで形容詞グレードが上がっているということ。

ということで、まずは形容詞グレードを見て、次にテクニカル・グレードを見て、そこから逆算してルートの危険度を判断するという過程を辿ることになる。それってちょっとめんどくさいので、最初からテクニカル・グレードを主たる軸にして考えた方が楽チンなんじゃないかと思って描いてみたのが、これ。



テクニカル・グレードごとに、形容詞グレードを配置してみた(3c、4aあたりは実際はSとかHVDとかも入ってくるんだろうけど、省略)。

例えば、テクニカル・グレードが5bだと、形容詞グレードはHVS、E1、E2、E3の4通りある。で、ものすごく大雑把な予想としては、HVSだと核心ムーブでのプロテクションは膝下くらい、E3だとグラウンドフォールするって感じじゃないだろうか。例えば、ちょっと前に登ったSunset SlabはHVS 4c。ルートの三分の一くらいのところにカムをセットしたらあとは上までランナウトするので、実感としてはこれに合ってそう。もしかしたらプロテクション・セットの難しさとかもあるのかもしれないけど、今の所わからない。今後の課題ということで。

一番右に描いたのは、テクニカル・グレードをソロバングレードに換算したもの。ブリティッシュ・テクニカル・グレードは、ルート中の核心ムーブまたは核心セクションの難易度を表しているのでボルダーのグレードに読み替えるのが分かりやすい。ルートのブリティッシュ・テクニカル・グレードはボルダーのブリティッシュ・テクニカル・グレードより一つ上と言われてるようで、ボルダーグレードを介してソロバングレードに換算した。4cから5bくらいを登った感触としては、だいたい合ってそうな気がする。上の方は知らん。

例えば、テクニカル・グレードが6bだと、ボルダー3級程度のムーブが出てくる。その時にプロテクションが膝下で全くもって安全だと、E4。核心ムーブに失敗するとグラウンドフォールして大怪我するのが、E6。

超分かりやすい!!

これを作ってみてわかったことの一つ目は、Eグレードのおどろおどろしいイメージに反して、ムーブの強度はそれほど高くはないということ。1級が登れればE5からE8。E5だったら多分ドッカンドッカン落ちても問題ないだろうから、初段くらい登れるクライマーにとっては十分に登れるだろう。実際には、E5 6cなんてのはそう多くはないっぽいけど。

もう一つは、6c以上のグレードの詰まりっぷり。HVSからE5くらいまではグレードの上昇は早くても、そこから先グレードを伸ばすのは超難しそう。

てことで、なんとなくUKトラッドグレードがわかったところで、もりもり登ろう。

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