2015年12月31日木曜日

大丹波ボルダー上流

大晦日、暖かいボルダーエリアを求めて大丹波ボルダー上部エリアに向かいました。お気楽クライミングです。

トポはこちら

思惑通りに日当たり良好で楽しめました。

まずは、リンク先2枚目の写真の8・9番の岩に向かったところ、下地の砂がごっそり流されていて、8番の下地は完全に水没でした。9番はかろうじて登れましたが、右手のデッドがはずれると川に転落間違いなしです。緊張感あふれるいい課題になってました。カンテの抱え込み&張り付きムーブも秀逸。


それから、一番手前の1番の岩。こちらも下地が水没していて、4・5番は取り付き不可能になっていました。1番も下地が水たまりでしたが、岩の形状がかっこよくてどうしても登りたくなって、丸太で下地を作ってトライ開始。離陸から厳しく、一手一手ムーブを確認する本気のクライミングになりました。最初はとても登れるものではないと感じましたが、丁寧にムーブを考え、完登。


水没の影響かもしれませんが、上記リンク先の写真とちがうラインになりました。

最後は、裏の6番。油断していたら、ホールドが崩壊して吹き飛ばされました。手数が多くて楽しい課題です。

結局全ての課題がお気楽ではなく、充実のクライミングになりました。良い1日でした。

第1回・隙間でズリズリ有志の会

たかとんさんにご紹介いただき、山森さんにご案内いただき、岩と岩の隙間に挟まりに行きました。ダイバーさん&いつものパートナー松氏も一緒。

ワイドな岩と岩の隙間が3本あるということで、今回はそのうち2本をお掃除&トライ。泥まみれになっての盛大な掃除の末にトライ開始。


右の隙間は、チョックストーンを使うバージョンと使わないバージョンで完登。使うバージョンは上半身のワイドムーブが、使わないバージョンは下半身のワイドムーブが、それぞれとても楽しい。とても短いですが、なかなかの隙間です。下地が極悪でスパイシー。


左の隙間は大物でした。チムニートラバースの後のフィストでの乗っ越しが難解で、4人で波状攻撃をかけたにもかかわらず、解決には至りませんでした。


第2回が楽しみです。

2015年12月30日水曜日

完登ルート、課題、宿題リスト-2015年まで-


忘れないうちにメモ。ルートとボルダーの記録。☆は個人的なお楽しみ度。

2015年版。

○スポルト


2015年12月22日火曜日

奥多摩クラック・ツアー

ダイバーさんと行く、奥多摩クラック登攀ツアー、いつものパートナー松氏と。

前週にスポーツクライミングを楽しみ、次はクラックかということで、松氏の要望によりむかしクラックへ行くことになりました。さらにダイバーさんの参加を得て、大丹波ボルダー、白妙ボルダー、むかしクラックを巡るツアーに発展。

まずは大丹波ボルダー。ここでは無事に三本のクラックの再登に成功。裏面のクラックは、今回はフィンガーのボトミングがよく効き、成長を感じました。


なお、正面左の凹角を、右の水平ホールドをスタートにして登りました。最後まで凹角を直上したかったけれど、上部で右に逃げました。心の弱さが痛恨の極みです。

上流エリアも気になったものの、先を急ぎます。

お次は白妙ボルダー。お目当ては、山野井さんのトラバース課題です。以前登った5本のクラックを横切り、更に左に抜ける課題です。思いっきり被りをくらい、ルーフのムーブに苦労しました。ああでもないこうでもないとみんなで悩んで、何とか完登。素晴らしい課題でした。


ついでにカンテの左から入るクラックの課題に取り組んで、宿題にしてしまいました。ムーブも解明できず、これは難しい。また行かないと。


なお、クラックのエリアは増水で下地が下がり、クラッシュパッドを背負ってのアプローチが少々厄介になっていました。ご注意を。

アイスキューブは復活

次はいよいよ本題のむかしクラック。松氏は一回目で悩んでいたものの、二回目でRP。お見事でした。合間に僕も一回やって、見事に返り討ちにあいました。

大丹波ボルダー、白妙ボルダー、むかしクラックと、奥多摩における山野井さんの活動を追いかけるツアーになりました。奥多摩のクラックはまだまだ可能性があると思います。奥多摩でもジャミングはうまくなれます。その可能性を少しでも追求したいです。

2015年12月14日月曜日

《デルパワーX》&《穴》RP@障子岩

雨予報の中、久々の奥多摩クライミング、いつものパートナー松氏と。奥多摩に戻ってきました。いつもの障子岩へ。

前回、1人でムーブを探って面白さに気づいた《デルパワーX》(5.11a)、ムーブ確認&掃除の後にRP。9月から3ヶ月経ち、掃除したはずのホールドにも粉が乗っていました。ストレニアスで充実します。とても良いルート。

続いて、左となりの《穴》(5.11a)。《デルパワーX》と終了点は共通で、Trで掃除&ムーブ探りを行いました。この岩場は掃除が必須なので、下から攻めるのは難しいのですが、結果的には《穴》はほとんど掃除は必要ありませんでした。ただ、1本目のボルトが高くて、その付近のホールドとムーブがわかりにくいので、僕の実力では下から登るのは難しかったでしょう。ムーブ確認後、RP。《デルパワーX》と比べると休める場所がありますが、ガバとガバの間のムーブが個性的で、楽しめました。とても良いルート。

《穴》は、初登時の記録によると、3本目のボルトの上の穴を使うムーブが核心とされています。ところが、その後、穴を使わないより楽なムーブが発見され、グレードダウン。5.11aに落ち着いています。穴を使わない《穴》。

木曜日の大雨の影響で他に登れるルートは少なく、雨も少々強まってきたので、3時前には撤収。岩見学へ向かいました。

大きな岩はあるけれど、すっきりしたルートが引けるものは少なく、フィンガークラックが1本、ハンドクラックが2本できそうなくらい。

○障子岩のシーズン

障子岩は、1982年に八王子山の会によって開拓され、その後ほとんど放置されていたものを、1987年1月から3月の間に土方敏彦さんらによってチーム多摩自慢が結成され再開拓されました。開拓当初は南西面が注目されていたようで、発表されたルートも南西面に集中しています。クライミングジャーナル誌には、「南面は日当たりは良いがルートは少なくまた短いので、エリアとしては西面に方が充実している」とあります。なお、この「西面」は今の南西面と南面を合わせた部分で、「南面」は今は南東面と呼ばれているところです。

1982年の開拓と1987年の再開拓と、二度の開拓がなされているため、ルートの初登時期は判然としません。以下で紹介する1987年の発表では、再開拓時のルート完成の経緯、日時、作成者の名前が紹介されていますが、同時に、ルートの半数は1982年に八王子山の会によって登られているとも書かれています。岩と雪154号の小林敏さんによるトポはそのあたりの事情も反映させたものになっており、《デルパワーX》も《穴》も、1987年のルート完成者とともに、1982年八王子山の会のクレジットも付されています。

《デルパワーX》は、1987年1月18日に土方敏彦さん(当時25歳)がボルトを打ち、柘植求さん(当時18歳)がマスタースタイルで完成させています。発表時のグレードは、5.11-。

《穴》は、1月25日に石山良一さん(当時26歳)がボルトを打ち、柘植さんがマスタースタイルで完成させました。2月1日には、福田そういちろうさん(当時20歳)がフラッシュに成功しています。発表時のグレードは、5.11。3本目のボルトの上のフェース面の中央に、持てそうな持てなさそうな浅いポケットがあり、ここが核心部とされています。ところが、岩と雪154号の小林敏さんによるトポでは、「3本目のボルト上のポケット・ホールドを使って登るとグレード・アップし、その方が面白い」とされ、グレードは5.11-になっています。初登後にポケットを使わないムーブで登られ、グレードは現在の5.11aに落ち着いているようです。100岩場では、初登者は石山良一さんの名前が書かれているのみで、これは誤植でしょうか?

1月から3月というと、障子岩南西面が最も冷える時期。一度雪が降ると、春まで薄い氷に覆われます。この年は暖かかったのでしょか?

2015年12月8日火曜日

《クライマー返し》day11@御岳

とにかく寒くて、登る気力がありませんでした。

ナックルジャムは問題なし。あとは、スタで左手を出せる下半身の体勢の作り方。左ひざを入れるので、半月板が割れたひざ関節に悪く、無意識にムーブを拒絶しているのかもしれません。

怪我はするものではありません。

2015年12月6日日曜日

昇仙峡に初めまして

吉田さんのビレーを務めるべく昇仙峡へ。観光シーズンは登らないとか制約があるようですが、吉田さんと一緒なら安心です。

前回の湯川講習で、フィンガージャムのきまらなさに愕然としたのですが、あんなクラックできまらないなどと言ってるのようではいけないということを認識しました。吉田さんプロジェクトの推定5.13後半のフィンガークラックを触らせてもらったところ、きまるきまらないの話ではなく、文字通り触るだけ、しかもそれを前傾壁で。あれがフィンガージャムの一つの到達点ということなのでしょうが、それを知ることができただけでも、今回は行ってよかったと思いました。

お隣の、5.10+のフィストクラックは、ワイドと聞いていたのですが、膝は入らず、ところどころギリギリきまるフィストでひたすら耐えるのみ。Trで二度ぶら下がり、ひたすら耐えると言っても、結局はムーブ、手順が何より大事だと知りました。アンダーへの切り替え、フィストをきめる場所を一旦下げる、ただただ一直線に上を目指せば良いというわけではありません。僕のきまらないフィンガージャムとの奮闘も、これからの長いクライミングライフの中では、アンダーに切り替えたフィストのようなものなのかもしれません。

河原のボルダーも幾つか登り、とてもいい課題でした。

下流の《ドグマティック》(1級/初段)は、マントルで、体を上げるための膝、指先プッシュの体勢に持っていくためにはスタートホールドの持ち、繊細な工夫が求められました。

《ドグマティック》

もう一つは、上流の課題で、松氏が登っている最中に、ルーフ部分のホールドが吹き飛び、よく持てるカチが出現しました。しかしそれでも悪いホールドでの登りを可能にする足の使い方は面白い。さらに、外のフェースでの個性的なムーブが絶品な上に、最後はリップにドッカン、デッド。名前をつけてと吉田さんに言われ、名前をつけるとしたら《小百合》ということにしようかと、岩に吉永小百合の横顔が見えたので。

《小百合》(仮)

詳細は吉田さんブログで。

2015年12月3日木曜日

《クライマー返し》day10@御岳

最早何日目だかすっかり忘れ、ナックルジャムのやりかたも、初手を出す体勢もさっぱり忘れた《クライマー返し》へ。

離陸は100%成功する様になったけれども、ジャムをもじもじして、離陸して、左手を出して、落ちる、を繰り返すだけなので、全く疲れず、体は冷えます。

すぐ近くの水の詩の裏をトラバースしてみました。甘いホールドが連続して、体を温めるには良いかもしれません。カチッと持てるホールドは1つもなく、指に優しいのが嬉しいです。せっかくだからと、左の岩との隙間に吸い込まれるまで。


以前登れなかったマミ岩SD2級を登ってわずかばかりの成長を感じ、以前登った《豚の鼻》(1級)を苦労して登って成長のわずかさを実感し、終了。

御岳はいいところです。

湯川の岩場にはじめまして

フィンガージャムをなんとかしないといけないということで、吉田さんスクールに参加して湯川の岩場。



とても勉強になりました。

ハンドジャムもやり方が違ってて、二つの流派があるみたい。ひたすらエクスパンションに頼るマッチョなハンドジャム、それと、フリクションに頼るソフトなハンドジャム。

フィンガーもいろいろと教えてもらって大変勉強になりました。しかし、頭では理解できても、数をこなさないと、できるようにはならないでしょうね。

2015年11月26日木曜日

フリーファン #72

荻窪のパンプで手に入れた、フリーファン72号(2015秋)。スタッフのかたが価格をご存じなかったようで、ずいぶん苦労されていました。裏に500円と書かれてるけど、なんだったんだろう?税額が分からなかったのか?

○MADE IN JAPAN 第9回 pamo 柴田朋紀
とてもいいです。夢があります。クライミングをやるなら、誰かが作った課題を消費するだけのクライミングではもったいない。自ら価値を生み出す活動を行ってこそ、クライミングを十分に楽しむことができるのだと思います。それができるのがクライミングの良さだとも言えるのでしょう。

○特別追悼記事 白水タカピロ(しろうず・たかひろ)
お二方によるこころのこもった文章でした。昔の岩と雪には訃報欄があったし、アルパインクライミングの世界はやはりスポーツというには特殊な営みだと思います。

○三重県・熊野市 神須ノ鼻
「こうずのはな」と読むのだろうか?細いクラックが中心のようで、こういうところで登れる様になる日はくるのだろうか?

○山田実氏インタビュー
クライマー市議会議員、素晴らしい。

○ローカルレポート
道南函館の岩場リボルト、石垣山頂上直下エリアおよびカムイ岩リボルト、合石地区のぞき石ボルダー公開イベント、大倉ボルダー・アプローチ整備、リボルト職人検定三崎海岸、有笠山南国エリア・リボルト、小川山おばさんいわリボルト、鈴鹿・椿岩リボルト、小豆島リボルト、長崎県・野岳リボルト、福岡県・日向神リボルト、佐賀県・四阿屋リボルト、大分県・八面山上部および中部エリア岩リボルト。
のぞき岩は、岩手県花巻市の大迫ボルダー。クラックのハイボールも有るそうで、気になります。

○使える英会話集

2015年11月10日火曜日

岳人#820

鈴木英貴さんの自伝を読むためだけに買っている、岳人820号(2015年10月)。

○MY CLIMBING JOURNEY IN 20 YEARS
Episode:14 クライミングバムとして生きる 世界最難グレードへの挑戦
グランドイリュージョン、クリムゾン・クリンジ、ハングドッグ・フライヤー、テイルズ・オブ・パワー、フィーニックス、ゴズミック・デブリ、スフィンクス・クラック、スターウォール・クラック、ゴールデン・ビーバー、そして、スティングレイのこと。気になっていた生活の糧についても、スポンサー探しのことが書かれていたり。フリーソロのことも。
とてもいいです。

特集は穂高岳。山のことは分かりません。

○山岳書クラシックス
ロイヤル・ロビンスのクリーン・クライミングのレビュー。ちょっとおかしいんじゃないの?初登攀のためならチッピングやボルトも許容されるという風潮に対してロビンスが物申すという紹介で引用されるのが、初登の尊重に関する記述。

2015年10月30日金曜日

八千穂高原ボルダーから、松原湖ボルダー

北「登喜男くんは掃除は?」
室「しますよ。花崗岩ならワイヤーブラシも使います。」
小「えー。おかしいな。室井さんは掃除しないんじゃなかったの。じゃあ草野さんか。」
草「違うでしょ。」
北「そもそも草野君は汚いところは登らないでしょ。」
小「いやあ、なんかで読んだんだ。『草野さんは、ブラシも持たず苔のあるところを果敢に攻めていて、神のように思えた』って。
平「確か『石の人』もそんな感じじゃなかったですか。枯れ葉も落とさないとか。」
草「そんな。ずいぶん拡大されてるよ。木は切らないほうがいいってのは書いたけど。まああのころは血気盛んなころだったから、それに近いことは書いたかもしれませんね。まあこんなのは自分でルールを決めることで、他人に強要するもんじゃないですけど。まあ僕の場合、掃除するのにロープを使わないってことかな。それもそのほうがおもしろいからやってるんで。」

ROCK & SNOW 14号(2001年)

−ボルダーの開拓ですが、まったく掃除をしないのですか。
「違う。今はあまり掃除をしないという話だ。長い間登っていると岩場の自然のありがたさが身に染みる。だから美しい苔に覆われているボルダーを、苔を押さえつけながら登るのを楽しんだりする。簡単なものに限られるけれど。」

ROCK & SNOW 68号(2015年)

草野さんは、14年経って、今なお進歩しているんだなと。こんな話を読んでいたら、前に見た松原湖ボルダーの唐物大岩、苔と松の葉に覆われたあの岩を登ろうという気になりました。

ダイバーさんの参加を得て、まずは八千穂高原ボルダーでクラックから。

水門エリア

水門エリア。右の5級でアップの後、5.10のフィンガークラック。まったく仕組みを理解していないフィンガージャムです。なんで決まるのか僕には理解不能な場所に、ダイバーさんはビシバシとジャムを効かせて登ってしまいました。僕は、ジャミング風にごまかしつつ、ハンドジャムに逃げたり、フェースのホールドに逃げたりして、なんとか登りました。フィンガージャムは理解できません。まったく効いている気がしないかと思ったら、諦めて降りようとすると外れなくなったり。

右が5.10、左が5.11

左の5.11のクラックは要掃除。兜石奥エリアのオフウィズス(5.10)は、謎でした。強くなってから出直します。

移動して、八ヶ嶺橋エリアで、フィストクラック(5.10)。ダイバーさんが、尖った岩がゴロゴロ転がる斜面という極悪な下地にもかかわらず、ボルダーで登るとか言い出したので、全力で止めました。2回目でRP。複雑な形状で、体の向き、ジャミング、足使い、とても勉強になりました。フィストクラックなのに、ダイバーさんはフィストを一回も使ってませんでした。

フィストクラック。

さらに移動して、松原湖ボルダー、唐物大岩。まずは、左カンテを登りました。。苔と松の葉との戦いで、本命である右の2級のラインでの苦闘が予感されました。果たして、予感通り、右のラインは、リップが苔と松の葉に覆われた絶妙なホールド。壮絶な戦いの後、ダイバーさんが、苔まみれのリップを力でねじ伏せて完登。僕もそれに続きました。

真ん中のライン?

さて、自宅に帰って、浅井さんのブログ(これこれ)を確認したところ、どうもライン取りが怪しいようです。右のラインは下部からもっと右を登るようにも見えます。今回登ったのは、真ん中のラインの途中から?まあしかし、そんなことはどうでも良いことです。あの苔と堆積した松の葉の前には、既成のラインなど、意味を持ちません。大満足です。

2015年10月28日水曜日

御岳散策

ちょっと前のこと、御岳散策、ついんくるでお昼ごはん、クルミを拾って帰りました。

クルミはフライパンで炒って、殻に隙間が空いたところにナイフ手元の段々太くなっている部分を差し込んで、隙間を広げて開けます。フライパンで炒る際に、長めに炒って中の身まで多少火が通るくらいにしたほうが、殻から身を取り出す時に楽なようです。

殻を破ることより、中身が崩れないように取り出すことのほうが難しいです。

ROCK & SNOW #43

八千穂高原ボルダーのトポを求めて久々に開いた、ロクスノ43号(2009年春)。

○八千穂高原ボルダー 大石川沿いに点在する巨石たち 浅井和英
気になるのは、八ヶ嶺エリアのフィストクラック(5.10)、兜岩奥ボルダーのオフウィズス( 5.10)、水門エリアのクラック(5.10)、クラック(5.11)、クラック(2級)。水神大石の楓(2段)。などなど多数。

○特集 最難Ⅱ ボルダーとクラック
信じられない話や素晴らしい写真がいっぱい。Green Spitを登るディディエが、空を飛んでいるようでかっこいい。ディディエ初登のLearning to Flyは、「オフフィンガーサイズのジャミングで、キャンパスムーブが15mにわたりつづくという。」
・グランドイリュージョンとスティングレイ 今井考
・「スティングレイ」と戯れた時間 鈴木貴
・世界最難トラッドの行方 ジョン・コーフィールド
 ジェームズ・ピアソンによるThe Walk of Lifeのグレードと、Dave MacLeodのRhapsodyの限定について。
・エピタフの完成とそのグレーディング 小山田大

○クロニクル
東北、傾城森。山寺の《正夢》。古賀志、藤岩。笠間ボルダー、ブラックサンダーのホールド指定トポ。二子山、星ニ願イヲ。小川山、手の平岩、思い出のビスタ。太刀岡山左岩稜。竜頭泉、アイオロス。大分、八面山、中部エリア。
・Final Mission完登までの2年 田嶋一平

○城ヶ崎トラッド10選 杉野保
アトミックハング、おとじろうハング、神風、びしゃごクラック・センター、ゴミステーション、サイクロン、ホシナクラック、ハイプレッシャー、モータードライブ、タランチュラ。
サイクロンの抜け口のムーブがとっても面白そうです。

○岡野寛の岩旅 大分県日田、竜体山ボルダー、福岡県糸島半島、仏崎海岸ボルダー

○Said Belhajというクライマー

盛りだくさんでとても面白いです。

2015年10月25日日曜日

BETA@曙橋

ちょっと前のことですけど、曙橋に新しくできたクライミングジム、BETAに行きました。

曙橋にこんなものが?と疑うのに十分な高さの壁です。

課題も非常に面白い。斜めに飛んでクロスを出す変則ダブルダイノとか、凹角とかカンテとかの形状をうまく使った課題とか、独特のものが多いです。体験したことのない身体の動かし方を身につけることができそう。運動全般のセンスがない僕には貴重なことです。

ダブルダイノは成功したけど、その後ができず敗退。そこもまた面白い。スラブと垂壁のコンタクトラインの激レイバック課題も敗退。厳しい。

スラブが面白いのも良い。

僕はホールドには全然詳しくないんですけど、見たことない巨大なホールドのどこがどう持てるのかわからず悩まされ、それもまた楽しい。

てことで、また行きます。

ジェットストリーム延長、濁流、対称岩@小川山

前からずっとやりたいと思っていたルート。小川山屋根岩2峰のジェットストリーム2Pを登り、終了点からクラックを登り、セレクション最終ピッチに合流するライン。以前、ジェットストリームを登った際の激しいパンプと精神の消耗の記憶から、なかなか手を出せずにいたのですが、ジェットストリームをやりたいという@rouxさんという仲間を得て、いつものパートナー松氏とともに実現しました。

ジェットストリームは2Pともフォロー。1P目はやっぱり厳しく、テンション入りました。キャメ6までをぶら下げたギアスリングが厄介。しかし、3年前と比べると、フットホールドが見えるようになって、成長も感じました。

3P目はワイドクラックをリード。テンション入りました。4峰の南陵レモンのワイドクラックを左右逆にしたような感じです。右半身のワイドと、左半身のスラブの体使いがわからず、消耗しました。こういうのをもっとたくさん登りたいです。今回は、セレクション最終Pのテラスの左の水平クラックの左の立木まで行きましたが、ワイドを抜けてセレクション最終Pのテラスにダイレクトに抜けるのが良さそうです。セレクション最終Pが混雑していたので、今回は立木から懸垂。ジェットストリーム1P目の終了点で一度切って、2度目の懸垂は空中懸垂で木の中に突っ込むことになりました。

次回は3P目のワイドをRPして、セレクション最終Pに繋げて、2峰の頂上まで上がりたいです。

あとは、烏帽子岩アプローチボルダーで濁流。右カチが保持できず、そのあとのムーブを作れず、失敗。さらに、いつも通り対称岩3級で敗退して、終了。

ルーフクラック完登@八千穂高原から、松原湖ボルダー

八千穂高原の空は雲に覆われ、林は霧に包まれ、道は黒く濡れている。登れるのか、登れないのかと、ルーフクラックへ向かう足取りは少々重い。でも、終わってみると、雲の合間から差し込む少しの光までも美しく見えました。目に見える景色なんてものは、心の持ちようでいくらでも変わってしまうことを知りました。

ルーフクラック。前夜に、ダイバーさんから行ってきますの連絡を受け、じゃあ僕も!と便乗させてもらいました。

1週間前に敗退して以来、悶々と考えていた抜け口のムーブが大当たり。1回目で成功しました。ダイバーさんも1回目で成功。お互いに朝から用事を済ませ、遅い集合で、二人揃って一度で完登という最高のクライミングとなりました。

そのあとは、ロッヂ八ヶ嶺でカレーを食べながら午後のエリアを相談。二人とも帰りは早いということで、一番近い松原湖ボルダーを選択しました。

広い空と、木立と、稲刈りを終えた田んぼと、やさしい農作業のおじさんと、とても素敵な雰囲気の場所でした。訪れるクライマーはいないようで、岩には苔と埃がたっぷり乗っていました。もったいないことです。

下の唐松立岩エリアの双子岩のカンテ(3級)と、上の唐物大岩のハング面にある日本略記(3級)、カルデラ(1級)、唐物(2級)は立派な課題でした。登りたいです。しかし、大掛かりな掃除が必要でしょう。特に唐物大岩は、ロープを使った掃除が必要です。小川山という一大エリアから遠くないこの場所に、わざわざ掃除をしてまで登りに来るクライマーはいないでしょう。ほんとうにもったいないことです。

比較的きれいだった松の木岩の右カンテ(2級)を登りました。持ちづらいホールドを押さえつけて、苔と松の枝をじゃりじゃりと鳴らしながらヒールで乗り込む、なかなか楽しい課題でした。上部は木の枝で覆われていて、トップアウトは断念。マントルを返して終了としました。

帰り道の田園風景は、より一層美しく見えました。

2015年10月21日水曜日

ルーフクラックday2@八千穂高原ボルダーから、瑞牆ボルダー

小川山でバイシクルダイクのムーブ固め!と計画を立てた週末、雨雲レーダーとにらめっこし、廻り目平のすぐ手前まで行ってみると、雨で登れなそうな様子を察知し、事前の計画通りに八千穂高原ボルダーへ転進しました。

ルーフクラックday2!

前回は松氏&ダイバーさんと雨でビショビショの岩にビビりながらぶら下がったルーフクラックは、今回は良いコンディションでした。

まずは、上からロープを垂らして、苔まみれ、落ち葉まみれ、泥まみれの上部と、埃が乗ってザラザラの上部クラック内のお掃除。浅井さんの初登から4年。この岩はほぼ自然に帰っています。秋は落葉樹の葉が降り注ぎ、冬に氷で固められ、春は融け出した水が流れ、夏は林の湿った呼吸に包まれ、あっという間に苔に覆われるのでしょう。この岩を登るのであれば、残念ながらロープによる掃除は必須のように思われます。浅井さんもやはりロープにぶら下がったのでしょうか?それにしても、藪に囲われて遠くからは視認できないこの岩をどうやって発見したのか、謎です。そして、このルーフクラックを発見した時の興奮はいかばかりか。

追記
ロクスノをよくよく読むと、このクラックは以前からカムでリードされていて、それを浅井さんがボルダーとして登ったということのようです。

そんなことを考えつつ、ムーブ探り。高さがあり、ルーフに張り付いて体がほぼ真横になる態勢にビビりながらも、早々にリップまでは到達。しかし、抜け口のムーブが最後まで見つかりませんでした。フェイスのホールドか、ジャミングか。右手か左手か。体をどちらに向けるのか。足をどう処理するか。悩みながらムーブを探り、高さのあるリップから何度も飛び降りました。よく考えたら、これだけの傾斜のルーフからの厳しい抜け口のムーブはこれまで体験したことがなく、ムーブがわからなくても不思議ではありません。

一度は、ジャミングがすっぽ抜けてコントロールされない落ち方をして、スラブに叩きつけられ、マットのないところに落ちて、かかとを下の岩に強打しました。大きな怪我にはならなかったものの、数日経った今でも痛みます。捻挫、悪くすれば骨折していてもおかしくない状況で、反省。

結局、最後まで抜け口のムーブはわからず、雲に包まれ湿度が上がり岩が湿ってきたために危険も感じて、敗退となりました。

この岩のシーズンは短いでしょう。夏の湿り気が飛んで、冬の雪に包まれるまでの極僅かな期間だけではないでしょうか。さらに、来年はキシャヤスデの大発生の年になるはずです。この秋の間になんとかしたいものです。

そのあとは、瑞牆の岩と岩の隙間の掃除。雨でびしょびしょでした。この日は、瑞牆は立派な雨でダメ、小川山は雨は朝だけで1日しっかり登れたそうです。前回少しだけ試みた隙間は、例の隙間とは別の隙間であることが発覚。前回の隙間も本当の隙間も、上部を掃除して、次回のトライに備えました。これも登りに行かないと。

2015年10月13日火曜日

ROCK & SNOW #69

ロクスノ69号(2015年、秋)。結局、八千穂高原新エリアが最も注目に値する記事でした。



○岩場整備についての私見 菊地敏之
いいですね。新生湯河原幕岩正面壁ルートリスト(グレード改定含む)あり。
「われわれがやっているのは、日本全国共通の認識のもとに行っている(はずの)ひとつの文化としてのフリークライミングである。ルートには、そのルートを存在させるに足る妥当性というものが必要とされているはずで、そうしたルートを登ることによって、われわれはフリークライミングという行為を理解し、この文化を継承していくことができる。」
「だから、そいうした妥当性に欠けるルートは、この文化を阻害するものとして、速やかに削除しなければならない。」
この考えと、岩にツタが伸びていたらひっぺがしなさいという考え方は、180度違う方向を向いていますね。個人的に魅力を感じるのは前者です。でも、全国共通でないローカルな認識があってもいいんじゃないかという気もします。

「岩場の運命は、その岩場に通うクライマーたちの手に委ねられているということも、最後に言い添えておきたい(そういった意味ではボルト打ち替えは、リピーターとしてその岩場に実際に通う人たち、かつ開拓者ではない第二世代があくまでするべきだと思うのだが、それについては別の機会に・・・)。」
開拓者ではないという部分については別途説明があるので、本文をご覧いただくとして、人気ルートを求めて岩場を渡り歩くクライミングが全盛のこの時代、岩場に通うクライマーなんてのはあと10年もすれば存在しなくなると思います。

○特集 瑞牆山再発見
フロンティア・スピリッツから『瑞牆クライミングガイド』が発行されたことを受けての特集。

・内藤直也氏によるいくつかのルートの紹介

・佐藤裕介「50ピッチ継続クライミング」、「最難ルートハシゴクライミング コスモスと自由登攀旅行」、「ガイドの仕事で新ルート開拓」

・倉上慶大「瑞牆マルチ登攀手記」
Sky Rocket、静寂のバルジ・ダイレクト 

○ドーンウォール 今、あらためてそのすごさを解析 杉野保
トミー・コールドウェルとケビン・ジョージソンによるドーンウォール・フリー化にについての杉野さんの解説。

○エル・キャピタン ハートルートのフリー化
オフ・フィンガーのクラックを靴を脱いで初登したあのMason Earle(メイソン・アール)が、1970年初登のハートルートをフリー化。



○スペインのボルダリング
エスコリアール、ラ・ペドリッサ、オージャ・モーロス、アルバラシン、タリファ、ペナ・コルネイラの紹介と、素敵な写真。

○八千穂高原新エリア 浅井和英
一級のルーフクラックに注目。

○河又の岩場 《有朋自遠方来》

○御在所 中尾根バットレス 《君へのメッセージ》
カリフォルニア・ドリーミング左に、大平栄さんが、単独、グラウンドアップで初登。

○柴田朋広インタビュー

○アダム・オンドラ インタビュー

○クリップ考察 東秀磯

その他いろいろ

2015年10月6日火曜日

濡れた岩にチョークを乗せると...

前からちょっと気になっていたこと。チョークまみれの岩の写真をsnsにアップロードして意識の低いクライマーを罵倒する人たちが時々現れます。あのチョークって、本当に意識が低いクライマーがやってることなんでしょうか?

実験。


石ころを拾ってきて、


濡らします。


軽くタオルで拭いたのち、チョークを乗せて、


ブラッシングして落とします。色は最初とさほど変わりません。ところが、


乾くと真っ白に変化。


再び濡らして、ブラシで磨いて、


乾くと、それなりに黒くなりました。

チョークは濡れていると黒く見えて、乾くと白くなる。雨後の濡れた岩にチョークを乗せてブラッシングすると、一見チョークが残っているようには見えず、当人は十分にチョークを落としたつもりになる。けれども、実はしっかり残っていて、岩が乾くと白くなる。そのタイミングで、写真が撮られ、罵倒される。そんなシステムになっているようです。

湿った岩にチョークを乗せるのであれば、水をばしゃばしゃかけて流すくらいの覚悟が必要、という話をしないとね、という話です。

2015年10月5日月曜日

《シルバーフリーウェイ》@瑞牆



瑞牆《シルバーフリーウェイ》!。本当に素晴らしいルートでした。

瑞牆でルートを登るのは初めて。@rouxさんに誘っていただき、Nさんと3人でいってきました。片道1時間超のアプローチ(急登含む)あり、一部記録ではRの付くルートあり、ワイドクラックありで、非常に負荷の高いルートでした。瑞牆本の写真に衝撃を受け、いつかは登りたいと思ったルートを登る機会を得て、本当にありがたいことです。

1P目

1P目。@rouxさんがリードするかどうか悩んで辞退し、Nさんリード。Nさんは1週前に2P目まで登っていて、ここは2回目。スモールカムとナッツとスリングのプロテクションがテクニカルで、初心者には厳しいです。ムーブは10台前半ですが、厳しいエッジングとスメアリングが続く典型的などスラブのセクションが長くて、アナサジ・ピンクのサイズが大きいのでずっと足指に力を入れていないといけなくて、限界に近かったです。しかし、Nさんは僕のよりずっとぶかぶかのシューズで余裕を持ってリードしてました。シューズではなく自分の足指に頼ってスラブを登る経験を積めば、きっと強くなれるはず。Nさんは、スラブの実力も、プロテクションの技術も、ロープのマネージメントも、すべてが遥か高みにありました。さすが開拓クライマー、勉強になりました。

フレークのプロテクション

2P目。こちらも一部の記録ではRの付くスラブ。このルートを登るからには1P目をリードしたいと言っていた@rouxさんが、1P目は断念したものの、このピッチはリード。最初から「フォローさせていただきます」という考えの僕とは、心の持ちようが違います。これは見習わねば。それから、壁を見上げて「75mもあるように見えない」との発言に驚きました。普段奥多摩の小さな岩を登っている僕には、200mはあるように見えていましたよ。

3P目

3P目。ワイドクラック。3人で3Pのマルチに来てフォローのみ、そんなことでは家に帰ってから振り返って後悔するに違いない。そう思い、リードしました。5.10aのワイドクラックということで、自分の限界を超えてるので、気が重かったのですが、実際登ってみると楽しかったです。成長も感じた。最後の最後で木の根をつかみましたけど、人工物以外はなんでも使う主義ですので、まあいいでしょう。キャメ5、4×2、3×2、2×2を持って行って、使ったのは、5、4×2、3、2。


上からの景色は最高でした。富士山もくっきり。周囲には無数の岩峰がそそり立っていて、次はあそこが登りたい!なんて想像が膨らみます。瑞牆に魅せられた人々の気持ちが少しだけわかったような気がしました。


終了点からさらに歩くと、ピナクルがあり、そこにはワイドクラック。登りました。出だしがハングしていて、なかなか楽しかったです。一段上のトンネルに潜り込んだところで、今回は終了。そこから上は先が読めません。この辺りの判断には、アルパインをやってる人に一日の長がありますね。いつかその先に行ってみたいという思いを残して、下降しました。1P目の終了点で切って、2度のラペル。

上のワイドクラック

ちなみに、アプローチの帰りの2回目の懸垂支点(つまり、たぶん最初のフィックスロープ。結び目のないロープとあるロープの2本があるところ)の木は死んでいます。気をつけて。

最後はヘッデン下山。駐車場まで降りた頃にはバテバテのヨレヨレでしたが、栄養補給と休憩ののちにちょっとだけ元気になったので、ルーフのワイドクラックのボルダー(つまり、石と石の隙間)のムーブを探りに行きました。ライトに巨大な蛾が集まってきてホラーだったので20分で撤退。しかし、なんとなく雰囲気はわかりました。以前登った《言葉岩とダブルカンテの岩の隙間》と似たような感じです。


最後まで楽しめて、最高の1日でした。

2015年10月1日木曜日

岩は落ちるという話し

某ブログで、地震が起きたら落っこちそうな瑞牆の巨大な岩とか、実際に落っこちた城ヶ崎の岩とか、ずり落ちて隙間ができた瑞牆の岩とかの話しを見て、思い出したこと。

ディープ・ウォーター・ソロで名高い秋川流域・アメリカ淵の岩です。よく登られている左のラインは良いとして、その右に注目。

これは、先日見に行って撮った写真です。


こちらは、風待ちさんが2012年に登った際の動画から拝借したもの。


ぶら下がっている三角形のハングが丸ごとなくなっています。

過去の記録をたどってみると、2014年6月にはこのハングはまだあったようで、2014年から2015年にかけての秋・冬の間に落ちたのではないかと思われます。僕の想像では、本体とハングの間に生えた木や草の根で隙間が次第に広がって、最後に地震か台風の増水でごろっと落ちたのではないかと。

某ブログにも書かれていた通り、岩は落ちる可能性があります。上部に木や草が生えている岩は特に注意が必要と思います。例えば、御岳の某有名ボルダー。下部のホールドの崩壊が進んでいて、岩自体の傾きの変化があるのではないかと疑います。上に立つと、岩を一周するような形でクラックが走っていて、草が生えています。大丈夫でしょうか?

2015年9月28日月曜日

岩と雪 #108(1985年)

岩と雪108号(1985年)。

三峰ボルダーの案内を求めて、岩と雪108号を引っ張りだしてきました。

○秩父三峰ボルダー街道 堀越隆正・山川真美

三峰ボルダーの発表。AブロックからDブロックまで。高いボルダーをマットなしで登っているのが、今となっては新鮮です。気になるのは、Aブロックのヘッド・ジャム・クラック、かぶりハンド・クラック、おすわりルート、腹マントル・ルーフ・ダイレクト、舳先カンテ、ダイレクト大晦日など。名前を見ただけで興味津々の課題が沢山あります。

最近探索に行った松氏によると、Aブロックは側壁以外はほぼ消滅だそうです。

○NO SPARE RIB アダムの肋骨はいらない ロージー・アンドルーズ文 室井由美子訳
アメリカにおける先鋭的ロック・クライーマーの出現。神はイブをアダムの肋骨から作ったという聖書の物語は、一度勉強したいところです。室井由美子さんは、NO SPARE RIBというタイトルをみただけで、それがアダムの肋骨のことだと分かったのだろうか?

○Climbing in U.S.A 連載2 コズミック・デブリ 鈴木英貴
ヨセミテのフィンガークラックのお話。

○フリー・ソロ 檜谷清
城ヶ崎シーサイド・エリア、ジョーズ・アップ(5.11b)。グレードを理解する、段階を踏むという話しがここでも。

○ニチネ・カムイの贈り物 北海道・神居古潭
神居古潭のボルダー案内。

○仙台・放山ボルダー

○御在所岳・藤内小屋周辺ボルダー

○キムチの国の岩登り 韓国のフリー・クライミング事情 山崎順一

○ワイド・クラックでは何を使ったら良いか
チューブ・チョック、ビーム・チョック、トライカム、フォレスト・チムニー・チョック、フレンズ用の厚板、チューブチョックとチューブチョックのスタッキング、チューブチョックとフレンズのスタッキング、製造元等詳細不明の韓国製フレンズ(の類似品)など。
「道具の発達によって技術が向上すればそれはそれで良いことだと思う。ただ、ルートを前にして感じる、あの独特の胸の高鳴りを失いたくはないし、登るのは道具ではなくあくまで人間だということをいつまでも忘れずにいたいものだ。」神沢章

○秩父・双子山 東岳右壁(仮称)
ポール・ポジション(チムニー〜オフハンド〜フィンガー)5.9
フォーメーション・ラップ 5.9
ウェルカム・コアラ 5.10a
ラッコのボレロ(チムニー〜オフハンド)5.9
ノヴェンバー・ステップス(オフウィズス)5.10a
チェイス(チムニー〜レイバック)5.10a
ウェルカム・コアラのバリエーション 5.9+
オービス(クラックとポケットホールド〜カンテ)Tr 5.10a

○クライマー返し
1985年、1月15日、山崎順一が成功。

○金峰山 千代の吹上げ第三岩稜(下部)〜上部桃太郎ルート

○湯河原・幕岩
ジムシー、ラナ、コナン

○城ヶ崎
門脇崎ランペ(5.10b)。なみだちエリア、タコ(5.12b)。ファミリー・クラック・エリア、梢クラック・ルート(5.10a)、上部バリエーション(5.10b)、チーちゃんがんばれ(5.10c)Tr。シーサイド・ロック・エリア、オールド・リバー(5.10c)。

○城山
南壁無名ルート、いなずまルート。

○鬼岩
鬼岩劇場、チョンガー・キムチ、ダスト・シュート。

○雌鋒岳(めんぼこだけ)
南面スラブ大滝右ルート

○大崩山(おおくえやま)
坊主尾根南壁バットレス・デビルのほほえみ。4ピッチ、86メートル、5.9から5.10aのクラック。これはすごそう。

ルーフクラック@八千穂高原ボルダーから、瑞牆ボルダー

おしかった湯tea

ロクスノ最新号・69号で発表された、八千穂高原ボルダーの新しいエリア。そこで紹介されたルーフクラックがとてもカッコいいので、登りにきました。ダイバーさん、松氏、湯teaと一緒。

アプローチ難度は高めでした。すぐ近くなんですけど、薮の茂った林の中で見通しが利かず、どっちに向かったら良いのかが分かりません。ずいぶんと遠回りして到着しました。その後の探索の結果、最初の小ボルダーの左を進んで、坂の途中の大きなボルダーの右を回ると良いことが判明。

森全体がしっとり。岩もしっとり。そして、晴れ予報に反して、雨まで降ってきました。ルーフなので体は雨には濡れないということで、びしょ濡れ&苔まみれの岩を多少掃除しつつムーブを探ってみたのですが、難しいです。数手進むとハンドジャムがバチ効きではないことを確認して、終了。

作戦会議の後、瑞牆ボルダーへ移動。登るのは何年ぶりでしょう?ちょうど到着した頃から快晴になりました。

山形県エリアのトポに載っていないらしいクラックの課題がとても楽しくて、10回くらいは登ったでしょうか。効かせにくいハンドジャムと、SDスタートでやると、フィンガージャム。勉強になりました。この岩は、トップアウトすると明るい林が視界に飛び込んできて、とても気持ちいいです。

穴契約社員の左のスラブ3本が素晴らしいです。



猫頭ントルの右のカンテ課題も秀逸でした。緊張感満点。

にゃんこ

最後はカンテのペシペシ系課題に打ち込んで、終了。一日楽しめました。

八千穂高原ボルダーは秋が深まった頃に再訪したいですね。

2015年9月23日水曜日

南房総のボルダー

仕事で千葉県へ行く機会があり、ついでにボルダーでもないかと探しましたところ、以下の情報を得ました。その他にもいくつかあたりをつけて、探索。

千葉の岩場ガイド

まずは、紹介されていた岩井袋のボルダー


想像通りのもろい砂岩の壁でした。かぶった壁にドガバが配置されており、岩が堅ければとても面白そうです。ただし、ドガバがごっそり崩壊する可能性が大ではないかと思います。岩の上が薮で、トップアウトは厳しそうです。上から水が流れ込んで濡れているところが多く、触っただけ。

それから、あたりをつけていた、南無谷南海水浴場南ボルダー(仮)。南無谷南海水浴場と豊岡海水浴場の間の岬です。


まずは、岩が堅ければ最高に楽しいはずのアーチを発見。脆すぎて、ルーフの下にルーフがかけられています。ルーフ左の登れそうなところを登っておきました。


豊岡海水浴場方面に歩いて、海岸のボルダーを数個発見。


これも簡単な岩をいくつか登っておきました。ちょっと苦労しそうで楽しそうなマントル課題が設定できそうだったけれど下地が海だったり、ちょっと楽しそうな隙間の課題が設定できそうだったけれど下地が海だったりと、残念。


UKグリットストーンのハードなルートで時々見かけるようなホールドを発見して喜んだりしました。このホールドは意外と丈夫でした。しかし、全般的に、予想した通り、岩は非常に脆いです。ホールドは全て崩壊すると思った方が良いでしょう。持てるのはスローパーだけです。でも、海を見ながらありのままの岩を登るのはとても楽しいです。


この島は登れるだろうか?

次は、たまたま見つけた豊岡海水浴場ボルダー(仮)


どっかぶりのこの岩は以外と堅くて、ホールドも乏しく、なかなか厳しくて楽しそうです。下地も良好。ただし、上部はリップのドガバにどっかんランジと思われますが、リップのホールドは脆そうです。ホールドに負担をかけない繊細なランジを要求されそうです。リップが崩壊しなければ、とても面白いはずです。自分以外の誰かが登っている最中にリップが崩壊するのを見るのも面白そうです。誰か登ってください。

最後は、紹介されていた大房岬のボルダーエリア。僕が見に行ったエリアに関する限り、脆すぎて登れるものではありませんでした。


景色はいいです。

と言ったところで時間切れとなりました。とても気持ちのよい一日でした。

《デルパワーX》@障子岩

連休初日、小川山へ向かって圏央道にのったものの、すぐに始まった渋滞と事故による通行止め情報におそれをなして、近場に変更。久々の障子岩に行きました。


3日前に雨の影響か、南西面はしみ出しでびしょびしょ。数少ない乾いていたルートの《デルパワーX》を掃除しました。岩の上部に回ってフィックスを張って、懸垂しながら掃除して、そのままフィックスを使ってムーブ探り。

やってみてビックリのとても良いルートでした。出だしのムーブが非常に厳しく、その後はストレニュアス。スケールもそれなりにあって、それでいて無駄のないルートです。奥多摩界隈の5.11aとしては、かなり立派なルートではないかと思います。繋げてのRPはかなり充実するはずです。オススメ。

今回は一人でのムーブ探りに終始しましたが、次回はRPします。

2015年9月18日金曜日

フリーファン #62 三峰・太陽寺エリア

フリーファン62号(2010年)。

松氏に、三峰のトポを持っているかと問われ、引っ張りだしてきました。メインは、「日本の岩場を斬る」、三峰・太陽寺エリアの案内です。かつては、Bブロックと呼ばれていたエリアです。ちなみに、シルクハット等がある光岩小学校エリアは、Cブロック。

三峰ボルダーは、「秩父三峰ボルダー街道」として、岩と雪108号(1985年)ではじめて紹介されました。AブロックからDブロックまでに渡る、長大なエリアです。

渓谷のボルダーの宿命、下地の変化や、岩自体の変化、移動、消失などなど。岩と雪108号では、「ボルダー街道の象徴的存在」として紹介されているBブロックのホワイト・ハングは、跡形もなく消え去っているそうです。舳先カンテ、積木岩、指紋岩等は完全に水没。

ちなみに、アプローチは、2010年時点の情報では、クラッシュパッドを背負っての懸垂下降、帰りはユマールです。日本ボルダリングエリア(上)では、そんなことは一言も書かれていませんでしたが、今も変わらないのでしょうか?

1985年には既に登られていた《ダイレクト大晦日》や、2003年に初登された《重き流れの中》は、魅力的です。一度訪れてみたいものです。

その他いろいろ。

○MADE IN JAPAN 国産ホールドVOCKの長谷川勘太郎氏
とてもいいインタビューです。

○ビレーグローブ

○「降りること」と「登ること」 ある36歳のヨセミテボルダリング・ソロツアー 萩原良平

○Isle of Miyake 榎戸雄一

○長崎県・竜頭泉ボルダー 牛澤敬一

○河又の岩場 解禁記念登山道整備イベント
鍾乳洞に続く山道の整備のための木材をクライマーがボランティアで担ぎ上げたという話し。その登山道も5年であれだけ荒れるんですね。

2015年9月16日水曜日

金華山と黄金伝説

白く美しい花崗岩のボルダーが連なる金華山。

金華山には、黄金山神社という神社があります。この神社は、東大寺毘盧遮那仏建立のために利用された日本初の金山が開かれたことを記念して創建された、そう言い伝えられているそうです。ところが、この日本初の金山は、実は内陸の黄金山(こがねやま)であるというのが現在の通説で、金華山はその伝説的な地位を奪われているとのこと。

その金華山のどこかに、砂金で黄金色に輝く砂浜がある。

そんな素敵な話し。


書斎の窓641号(2015年)

2015年9月14日月曜日

長野方面の岩場


ダイバーさんにお誘いいただいて、長野方面の岩場に行ってきました。とても良い岩場でした。ビシッと入ったクラックと、スパッと切れたカンテが印象的です。他では体験したことのないざらざらの岩質も楽しかったです。奥多摩ではここまで立派なカンテにはお目にかかることができません。岩質も、普段奥多摩で登っているのは、ツルツルのチャートか、磨かれてツルツルになった石灰岩か、粉粉の石灰岩か。結晶の大きい花崗岩とも違う、細かい粒子が作る摩擦が、とても楽しかったです。そして何よりも、その見た目。要塞みたいに立ちはだかるかっこよさ。

もびさんのオンサイトトライは見応え十分。寝転がって、逆さまにのぼるダイバーさんのRPを応援(上の写真)。

カンテの課題を2回目でRP。グレードは、5.10bか5.11bだそうです(ダイバーさん談)。左コーナーのクラック。ボルト部分でテンション後、上部NP部は一回で。真ん中のクラックはTRで練習。右奥のカンテはテンションまじり。普段登っていないカンテの独特のムーブでことごとく跳ね返されました。難しい!でも面白い!カンテは好きです。奥多摩でも、数少ないカンテのルートに注目してみたいと思っています。


素敵な岩場、また訪れたいです。

2015年9月9日水曜日

岩と雪 #84

大根おろしにボルトが打たれているとの情報に触れ、今一度読んでみました、岩と雪84号(1983年4月)。

○打たなかったボルトの話 大内尚樹
三つ峠のスラブ、大根おろしにボルトを打たなかったという話。当時からすでにリードされていたということ。つまりはフリーソロ。ただし、わずか8mということを考えると、ボルダーと言ってもいいかもしれない。多分に個人的な思い入れの問題ではあるのですが、悩んだ挙句、そこにボルトを打たないという選択を筆者はしています。

○西伊豆・鷲頭山 海を見晴らす高台の岩場 池田功
ジェット(5.12a)、コズミック・ダンサー(5.11c)、E.T.ハング(5.11a)、メイズ(5.11b)の4本。コズミック・ダンサーは、その後5.11dになった。最新版の100岩では5.12aになってるけど、これは誤植か?「冬も暖かい」とあるけど、本当だろうか?行ってみたい。

○5.12クライムの世界 コロラド、ヨセミテの登攀から 鈴木英貴
「昨年も、春秋と多くの日本人クライマーがヨセミテを訪れた。しかし、彼らのクライミングに僕は失望した。ただやみくもにハイ・グレードを追いかけ、墜落を繰り返しては登る。五回も六回も落ちて(ロワー・ダウンも含め)登るなら、そのルートを登る力がないといえる。なぜ下のグレードから徐々に登っていかないのか。いま日本では、5.9は登る価値がないとみなされているのだろうか。フリー・クライミングは、確かにシンプルで、足かせをはずされたような開放感と充実感のある素晴らしいものだ。それを味わうためには、一歩一歩力をつけ、安全に楽しく登るのが最良だ。もっと本質を捉えるべきだ。

○飛翔 瑞牆山十一面岩左岩稜末端壁をめぐるモノローグ 戸田直樹
日本のフリークライミングが一歩前進した瞬間の記録。とてもいい。

○記録
・チームイカロスによる双子山(今は二子山って言ってる)の開拓
この時代の傾向なのか、クラックにルートを求めているのが面白い。西岳の無名クラック、イレギュラー、ブラック・ホール。そして、ローソク岩のAir Way(航空路)。Old But Goldで紹介された、エアウェイ。強引なレイバックから、急傾斜でのレイバック、さらにレイバック主体で、最後はアンダー・クリングからレイバックっていう、終始レイバックのトポを見た。いつか登りたい。

・小川山、烏帽子岩三ノ楯エミちゃんありがとうルート

・小川山、廻り目平岩塔群最高ルーフ、ファンファンファン
イカロスⅡによる最高ルーフ右の3P、最高5.10dのルート。スクイズ・チムニー、5.10dのトラバース。最高ルーフ1P目の途中から、右面のクラックに入るようです。1P目だけでも、もう一度挑みたい。

・その他
黒伏山・中央ルンゼ、大朝日連峰・障子ガ岳・小障子南壁中央フェース、明星山・P6南壁クィーンズ・ウェイ、八ヶ岳・横岳西壁大同心正面壁右フェース、阿弥陀岳広河原沢右俣流域武藤返しの滝沢、クリスマス・ルンゼ、ポスト・クリスマス・ルンゼ、右俣右ルンゼ、麦草岳・小野川正俣沢、北アルプス・黒部丸山・東壁右岩稜、針ノ木岳・針ノ木中流右岸の岩場同志社大ルート、唐沢岳・幕岩西壁GDMルート、幕岩下部雲峰ルート〜上部大チムニー、南アルプス・甲斐駒ケ岳・篠沢七丈瀑、北坊主ノ沢〜黄蓮谷左俣、西坊主ノ沢〜黄蓮谷左俣〜赤石沢奥壁左ルンゼ、双児沢、双児山西壁、駒津沢右俣、濁川支流ヤチキ沢、台高山系・日出ガ岳・東の川岩塔トリプル・ルーフ・未知との遭遇、行縢山・雄岳宮崎登攀倶楽部ルート、雄岳西壁下部天照大神ルート、比叡山・3峰瀬音ゆかしき、1峰お昼寝ルート、有明山深沢右俣正面壁右岩壁LSDルート

○マカルー北西稜 山岳同志会マカルー登山隊

2015年9月7日月曜日

Number Do #22 わたしのホーム・マウンテン

山野井泰史さんが北岳を、山野井妙子さんが涸沢を、青木達哉さんが前穂高岳を、というとトップ・クライマーばかりかと思われるかもしれないがそんなことはなく、タレントの釈由美子さんが穂高連峰を、数学者でエッセイストの藤原正彦さんが蓼科山を、という具合に、様々な人が各々のホーム・マウンテンを語る、Number Do22号、特集「わたしのホーム・マウンテン」。


さて、僕のホーム・マウンテンはどこでしょう?


2015年9月5日土曜日

のぼる小寺さん #1

「腹筋ローラー おすすめだよ!」

現代クライミング文学の最高峰。卓球部員のストーカー的展開に期待。

珈琲『のぼる小寺さん1』(講談社、2015年)

2015年9月4日金曜日

《バイシクル・ダイク》day1@小川山

ジャムセッションで出会ったS氏にそそのかされて、《バイシクル・ダイク》。怪我と天気で随分とクライミングから離れてしまっていましたので、晴れ間を見つけて一人で小川山に向かいました。

岩の上の大木から取り付きまで、50mロープで一杯。終了点のさらに上の岩と岩の隙間には、大蛇が二匹。蛇が苦手な僕は心臓が止まるかと思うほどびっくりしましたが、あちらもまたびっくりしていたようです。

《バイシクル・ダイク》は、岩と雪111号において初登の報告がなされました。初登記事では《バイセクル・ダイク》となっていますが、100岩では《バイシクル・ダイク》となっています。初登者の北山真さんが編集している100岩が誤りということはないと思うのですが、変更の理由はわかりません。初登時のグレードは5.11c、ボルトは3本です。現在ある4本のボルトのうち、下から2番目の錆びたRCCボルトは、後から打たれたもののようです。

下部のバイシクル・ムーブで名高い《バイシクル・ダイク》ですが、上部スラブはそれ以上に厳しいものでした。ムーブはおおよそ全て理解できたのですが、あれを下から上まで全部つなげるには、相当な力が必要です。《ジャーマンスープレックス》、《ブラック&ホワイト》、《南風》のように、分かれば登れるというものではありません。《JECC》ルートの感触に近いかもしれません。厳しいスラブの中にいつまでも居続けられるような、そんな強さが必要です。指皮のダメージも大きい。

大変勉強になりました。

3時前には雨が降りそうな気配があり、早めに撤収。駐車場で休んでいたら立派な雨が降り始めました。ボルダーもあきらめ、瑞牆に移動し、瑞牆大橋エリアを見学。分厚いコケに覆われた岩と対面しました。

2015年8月14日金曜日

落石当たった@小川山

小川山2日目。いつものパートナー松氏の到着を待ってクライミング。あと数日いるつもりが、落石を受けて怪我をして、撤収となりました。

《バイシクル・ダイク》に挑んでみようと、屋根岩1峰方面へ向かい、まずはアップで《ビレニイ・プリズン》。いろいろあって、下部ボルト2本分を2回やっただけで終了。思うように登れず、集中力を欠いていました。

落石の認識まで

  1. 《バイシクル・ダイク》の取り付きにメインのザックを置いて、必要なクライミング道具と水だけを持って、《ビレニイ・プリズン》でクライミング。
  2. 最後に、松氏が懸垂でヌンチャクを回収した後、ロープを落として、ロープをまとめている時に、バチンという音がして、手が弾き飛ばされる。
  3. 手の甲が切れて血が見えた。落石を受けたと認識。17時半ごろか。

その後の対応から下山まで

  1. 止血が必要と判断。松氏がテープを取りに行く間に、血がたくさんで滲み出てきて、傷をちょっと開いて中を見たら、白いスジが見えた。
  2. 松氏がテープを持ってきてくれる。テープが汚れていたので、間に自分のハンド・タオルを挟んで、テープでぐるぐる巻き。
  3. 止血が完了し、荷物をまとめる松氏を置いて、先に下山開始。《バイシクル・ダイク》の取り付きに置いたメインのザックと荷物は置きっぱなしで、駐車場まで。荷物は松氏が回収してくれた。

駐車場から病院まで

  1. 駐車場で、近くの山梨で病院に行くのがいいか、東京に帰って病院に行くのがいいかと悩んで、まずは山梨県の救急医療情報センター(?)に電話。須玉と大月の病院を紹介される。それぞれ電話し、須玉の病院は忙しいと断られ、大月の病院は整形外科のある病院へ行けと断られる。
  2. 東京の救急相談センターに電話。東京にきてから電話しろと言われる。
  3. 渋滞を乗り越えて帰宅。再度、救急相談センターに電話し、3つの病院を紹介され、昭島の病院へ。

病院にて

  1. 最初の診察の後、1時間以上の待ち時間。
  2. 洗ったり、ピンセットでほじくったり、指を動かしてみたり、ガーゼを穴の中に突っ込んだり。超痛かった。
  3. 「骨は大丈夫だね。腱ははどうかなー?まあ伸筋腱は丈夫だから多分大丈夫でしょ」ってことで、2針縫って終わり。25時頃。

まとめ

  1. 当たったのが手の甲で、頭とかじゃなくてラッキーだった。ちなみに、ヘルメットはかぶってました。
  2. すぐに止血できたことが良かった。松氏がテープを持っていたのがラッキーだった。僕のはというと、普段はカムの袋に入れていたテープが、スリング等ギアの袋に入っていた。なんとなしに《ビレニイ・プリズン》まで持ってきていたハンド・タオルがあったのがラッキーだった。救急セットとして常に持ち歩かないといけませんね。
  3. 万一のことを考えると、一人で下山はしない方が良かったのかもしれない。
  4. 病院の選択は難しいです。病院のキャパシティを考えると、血が止まってれば東京まで帰ってしまうのがいいのかもしれない。より逼迫してたら、長野方面も考えたほうがいいのか?


人の入らないエリアではいつも以上に慎重にならないといけませんね。勉強になりました。


○《ビレニイ・プリズン》

RCCボルト4本のなかなか良さそうなスラブでした。100岩場の地図は非常にわかりづらく、《バイシクル・ダイク》から右に歩いた方が早いです。それか、東屋を通り越して、ピナクルの手前の踏み跡を右に入る。100岩の地図では、岩の西側にルートがあるかのように見えますが、東側です。


2本目のボルトの上まではムーブはわかりました。とても面白いです。下部はちょっとじゃりじゃりしてますけど。2本目のボルトは位置がいまいち?左に離れている。上部は松氏が一度やって、絶対無理と言ってました。しかし、スラブで松氏が言う「無理」は信用できません。機会があればまた行きたいですね。

追記
クライミングジャーナル30号に、高橋建雄さんがビレニイ・プリズンを登っている写真が掲載されていました。

2015年8月10日月曜日

夏休み、ボルダー、《ピノキオ》@小川山

小川山キャンプ

ハンモックでお昼寝、マキネッタでコーヒー、Walkers SHORTBREAD FINGERS、Sounds of Gears、ざらざらの花崗岩、柔らかな木漏れ日、吹き抜けるそよ風。最高ですね。これで、キンキンに冷えたJEVER Pilsnerがあれば、他に望むものは何もありません。次回は箱で買って行って川に放り込んで冷やしてしまいましょう。

去年ダイバーさんが登ったのを知って、ずっと気になっていたクラックボルダーがあります。くじら岩裏面の《ピノキオ》です。どんな時でも大勢の人が集まるくじら岩にあっても、この課題に人が取り付いているところを見たことはありません。見事に弱点を突いたいい課題だと思います。

グレードは、黒本では3級。3級といえば、冬に登った笠間の《ターゲット》と同じ。どちらも緊張感のあるクラックのハイボルダーです。

この《ピノキオ》のグレード、『関東周辺の岩場』では、5.10+(TR)とデシマルのグレードがついています。《ターゲット》は、黒本では3級/5.10b、100岩場では3級(5.10c)。5.10cといえば、山野井さんの《むかしクラック》が5.10cで、僕のクラックの最高グレードです。

登り易さでいうと、《ターゲット》が一番登りやすい。終始ジャミングが効き、上に行けば行くほどバチ効きで、マントルは難しくない。下地は殺人級だけど、落ちないから大丈夫。次が、《むかしクラック》。クラック内部がガタガタで、ジャミングが効くポイントがわかりにくいし、痛い。技術的にはこれが一番難しい。でも、ロープにぶら下がって探ってジャミングが効いてしかもさほど痛くないポイントを見つけてしまえば、カムでプロテクションを取っている安心感もあり、大丈夫。仮に下地が良くても、ボルダーとしてグラウンドアップだと、相当難しいでしょう。最後に、《ピノキオ》。落ちてはいけない高さで課される、落ちどころのマントリングとスラブ。しかも、そこで大事な上部のクラックは、苔。落ちることへの恐怖感では一番上。ただ、下地はそこそこ良いので、落ちても足首の捻挫か骨折程度でしょう。全く性格の異なる3つのクラックが、技術的な難しさ、危険度、恐怖感、様々な要素を考慮すると、同じグレードになるんですね。

朝一番に最上級の恐怖感を味わいましたが、お昼前には再びハンモックでそよ風を感じることができました。

午後は、烏帽子岩アプローチボルダーで、《濁流》。最近読んでいる本で学んだ下半身からのモーメンタムの作り方の教科書のような課題で、とてもいいです。このエリアは好きです。ただ、昼過ぎは岩に陽が当たってコンディションはいまいち。涼しくなった秋頃がいいかもしれません。登れなかったのでまた今度。

それから、無名岩周辺時間岩の2級は素晴らしい課題だと、再度登って思いました。何度でも登りたい。対照岩(左も右も3級)は、今回も予定通り敗退。ただ、左は一度だけリップにタッチを成功させ、可能性を感じました。右は相変わらず意味不明。これまた次回。

2日目は、1日かけて5.10dのスラブの下部ボルト2本分を2回だけという不毛な時間を過ごした上、不注意で怪我をして、早々にキャンプの終焉を迎えました。その話は改めて。

2015年7月28日火曜日

《かにもどき》@藐姑射岩・小川山

小川山でのトラッドな1日。藐姑射岩に向かいました。

昨年の小川山でご一緒させていただいてとても楽しかったもびさん&ポキさんとお会いし、また楽しい1日になりました。プロテクションのセット、ジャミングのムーブ、ルートへの取り組み方などなど、盗み見たりお話ししたり、とても良い1日でした。でも、一番はやっぱり、クライミングを楽しむ態度でしょうか。昨年ご一緒させていただいたときに、あくせくしないクライミング・スタイルに感銘を受けて、今年はそんなスタイルを実践しようと心がけているのですが、それが間違いではないと改めて思います。そういう目でルートを選んで、そういう目でルートに取り組むことで、得られることがあると思うのです。

《森林浴》(5.8)、再登。

このルートは、クライミングジャーナル29号(1987年)に掲載されたこのエリア全体の開拓者によるトポでは、《初夏の日ざし》となっています。関東周辺の岩場でも同じ。100岩場で、《森林浴》に変更。事情を察するに、藐姑射岩の開拓者たちが初登して記録を発表したものの、その後になって、じつは先に登られていたことが判明した、といったところかと思いました。100岩場では、《森林浴》の初登者は小林敏さん。しかし、事情はどうも違いそうな感じもします。クライミングジャーナル29号のトポには、初登者の名前と初登の日時が書かれているのですが、《初夏の日ざし》だけはそれがありません。開拓者の方々は、初登ではないことを知っていたと推測しました。ところが、ルートの名前についてはわからなかった、あるいは、間違えて伝わっていた、それが100岩場の刊行の際に正された、と言ったところでしょうか。いずれにしても、プロテクションのセットの練習になる、良いルートです。

ところで、クライミングジャーナル29号のトポは、とても良いです。丁寧な手書きのトポとルートの解説だけでなく、グラウンド・アップという開拓のスタイルや、思いにも触れられ、このエリアの自然を愛する気持ちも伝わってきます。

《冬のいざない1P目》(5.9)。上部がなかなか厳しいです。OS。回収トップロープでもう一度。

冬のいざない1P目

2階に移動して、本題の《かにもどき》(5.9)。3Pのマルチです。1年前にもびさん&ポキさんから話を聞いて、興味を持っていたルート。その名の通りトラバースということで、挑戦することにしました。

ここから

1P目(5.9)、リード。《冬のいざない 2P目》の取り付きから、左へ上がって、トラバース開始。左のルートのクラックに合流する手前が、すごかった。なんという充実感。グレードは5.9ですが、奥多摩で5.12のスポルトを上るのと同じくらいの充実感を得られます。素晴らしい。核心部のプロテクションは、もびさんは僕とは違う選択をしたそうで、これは悩みます。上部、テラスに出てから、どこでビレーするかも悩みます。それから、ある程度やむを得ないところもあるのですが、それにしてもロープの流れを悪くしてしまいました。これは反省。一つ勉強になりました。

2P目(5.7)フォロー。これまた緊張感満点。リードした松氏に感服。

3P目(5.5)リード。これはなんてことない。

ルート全体の構成が素晴らしいと感じました。これをグラウンド・アップで開拓したというのですから、恐ろしい話です。

最後は、《春の訪れ》( 5.10a)。《冬のいざない2P目》のアプローチ途中右上にある水平クラックです。なかなか厳しくて、2回やって、ピンクポイントに成功。ギアをセットしながらのクライミングは厳しいものになりそうです。あと、右側に乗っ越した先が苔と岩茸で怖い。掃除したら、トラバースまで楽しめる良いルートになりそうです。

春の訪れ

7時間近に下山し、1日楽しめました。