2019年10月22日火曜日

懸垂・ビレイ用安全環付きカラビナを考える2019

懸垂・ビレイ用安全環付きカラビナを考えたのは、2017年のことだった。

その時に有力だったグリベル・クレプサイドラK10Gツインゲートカラビナを購入してずっと使っていて、とても満足していた。しかし、ツインゲートカラビナを使用したトップロープ・クライミングにおいてカラビナがビレイループから脱落するという事故が発生して、ツインゲートの信頼性に疑問が生じた。クレプシードラに死角はないと書いたんだけど、死角はあった。ごめんなさい。

ということで、改めて考えてみようという企画。

選択の条件は前回と同じ。

必須の条件として、

1. スクリューを閉める必要がなく、自動で閉まってくれること
2. 作業中にゲートが不意に開く恐れがないこと
3. マイナー・アクシスが発生しないこと

追加的に欲しいものとして、

4. ビレイ・デバイスをセットする作業が面倒でないこと

では始めましょう。

BD グリッドロック・マグネトロン





条件1(ゲートが自動でロック)  ◎
条件2(ゲートが不意に開かない) ◯
条件3(マイナーアクシス防止)  ◎
条件4(作業が楽)        △

条件1、3は完璧。2がちょっと心配。ツイッターで頂いたコメントでは、経験なしとのこと。ロクスノのギアオタクでは問題なしと書かれてたような気がする。4はちょっと面倒。ビレイ・デバイスをセットするときにセパレーターからビレイ・ループが外れることがあって、再度セットするためにゲートをもう一度開かないといけないことがある。ゲートを開くのはとても簡単そうだけど。

エーデルリッド HMSストライクセーフロック

条件1(ゲートが自動でロック)  ◎
条件2(ゲートが不意に開かない) ◯
条件3(マイナーアクシス防止)  △
条件4(作業が楽)        △

条件1は完璧。2は、セパレーターがゲートに付いて二重ロックになっているので、不安はなさそう。ただし、セパレーターを上に跳ね上げる方式なので、ビナがビレイ・ループに向かって押されると、ビレイ・ループがセパレーターを押し上げて外れる可能性あり。その時にロックが解除されてゲートが不意に開く可能性が、ないわけではない。3も同じ理由で、ビレイ・ループがセパレーターを押し上げて開いてしまえば、マイナー・アクシスの可能性はあり。4は、セパレーターを押し上げるのが少々面倒で、ビレイ・デバイスのセット時の作業が一つ増えてしまう。

エーデルリッド HMSブレットプルーフトリプルFG



条件1(ゲートが自動でロック)  ◎
条件2(ゲートが不意に開かない) ◎
条件3(マイナーアクシス防止)  △
条件4(作業が楽)        △

条件1、2は完璧。4は、セパレーターを押し上げるタイプなので、ビレイ・デバイスのセット時の作業が一つ増えてしまう。3も、セパレーターが押されてビレイループがセパレーターから外れる可能性あり。

SALEWA(サレワ)ビレイツイストロックカラビナ


条件1(ゲートが自動でロック)  ◎
条件2(ゲートが不意に開かない) ◎
条件3(マイナーアクシス防止)  △
条件4(作業が楽)        △

基本的に上と同じ。

グリベル クレプサイドラK10Gツインゲートカラビナ

http://www.edgeandsofa.jp/fs/edgeandsofa/cat374/gd00366




条件1(ゲートが自動でロック)  ◎
条件2(ゲートが不意に開かない) ◯
条件3(マイナーアクシス防止)  ◎
条件4(作業が楽)        ◎

条件1、3、4は完璧。前回不安があった4も、使ってみたら全く問題なく快適だった。ただ、肝心の条件2が不安あり。例の事故は、二枚のゲートの間に何か(例えばビレイループの出っ張りとか)が挟まるとゲートが開くのが原因じゃないかと推測されている。事故のあったタイプ(ノーマルゲートとワイヤーゲートの組み合わせ)と違って、これは隙間がごくわずかなので、不意に開く可能性は小さい。とはいえ不安はあり。

グリベル クレプサイドラS ツインゲートカラビナ



条件1(ゲートが自動でロック)  ◎
条件2(ゲートが不意に開かない) △
条件3(マイナーアクシス防止)  ◎
条件4(作業が楽)        ◎

K10Gのスモール・バージョン。基本的には同じ構造だけど、ゲートがノーマルとワイヤーの組み合わせなので隙間が大きくて、何かが挟まって不意に開く可能性がより大きい。

マムート バイオニック・クロスロック



条件1(ゲートが自動でロック)  ◎
条件2(ゲートが不意に開かない) ◎
条件3(マイナーアクシス防止)  △
条件4(作業が楽)        ◎

(多分)インターナショナル・ウェブサイトにはないのに日本のウェブサイトにはあって売り切れになってるという謎の商品。条件1、2、4は完璧。死角はないかと思いきや、以下の動画を見るとわかる通り、セパレーターが上下双方に開く仕組みになっているので、不意に開いてビレーループが外れる可能性あり。余計な機能をつけたものだ。惜しい。



DMM Ceros Locksafe

https://dmmclimbing.com/Products/Locking-Carabiners/Ceros



条件1(ゲートが自動でロック)  ◎
条件2(ゲートが不意に開かない) ◎
条件3(マイナーアクシス防止)  ◎
条件4(作業が楽)        ◎

2017年には(多分)なかった新顔。DMM Cerosには三種類あって、通常の手動スクリューゲートのScrewgate、ダブルアクションのKwicklock、トリプルアクションのLocksafe。一番安心なのがLocksafe。自動でゲートが閉まるので、条件1は完璧。トリプルアクションで条件2も完璧。セパレーター押し下げ方式で、条件3も完璧。自動で閉まるゲートと押し下げ式セパレーターが合間って、条件4も完璧。ということで、セロス・ロックセーフに死角はない!