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2019年8月10日土曜日

Climbing at Slate Quarries:スレートの石切り場のクライミング

ニールさんに誘ってもらって、North Wales(北ウェールズ)のスレートの石切り場でのクライミングを再び体験する機会を得た。スレートの石切り場は、クライミングが面白いのはもちろんのこと、クライミング抜きでも超楽しい。グレート・ブリテン島で一番いいところなんじゃないかと思う。それにもかかわらず日本語の情報はほとんどないので、ここにメモを残しておく。


アクセス


スレートの石切り場があるのはウェールズの北部。おそらく、マンチェスターの空港からアクセスするのが便利。車で2時間くらいだと思う。あるいはリバプールでもいいのかもしれない。ヒースローからは車で5時間くらいなので、乗り継ぎの煩わしさとリスクを考えると、運転が苦でない人はヒースローから車でアクセスしてもいいだろう。

観光情報


城巡り


まずはウェールズの歴史を感じる城巡りに出かけよう。北ウェールズにはイングランド対ウェールズの戦いの舞台となった中世の城がある。今の感覚でいうとロンドンに近い南ウェールズが戦いの舞台になりそうなものだが、イングランドの軍勢はチェスターから北ウェールズに攻め込んだらしい。その歴史を知ると、UKの皇太子がPrince of Walesと呼ばれる理由もわかって来る。

特に重要な城の4つがConwy、Caernarfon、Beaumarisともう一つどこからしい。Conwyは地形と城壁が守りを固めているのが理解できてとてもいい。Caernafonも堅固さを感じられてすごくいい。Beaumarisはまあまあ。

ウェールズの城だとかアビーだとかを巡ることができるパスがあって、超オススメ。
https://cadw.gov.wales/visit/places-to-visit/admissions

ビーチ


天気が良ければ、ぜひビーチを訪れたい。北ウェールズのビーチは広くて美しい。Llandudnoは典型的なUKのビーチリゾートらしく、80年代に貧乏なクライマーが万引きして警察に追いかけられた街を散策するという楽しみもあるようだ。落ち着いたビーチがお好みの方は、Anglesey Islandがオススメ。僕はグーグルマップで見つけたTraeth Lligwyというビーチに行った。引き潮の時は海がはるか先まで遠ざかって広大な砂浜が現れる。超いいところだった。なお、UKの海は全般的に言って生き物は少ないのが残念。

スレートの岩場はSnowdoniaという山岳地帯の端にあって、天候は少々不安定だ。岩場は雨だが北の空を見ると青空が見えるということはよくあるみたい。海がキラキラ光って、その先にはAnglesey Islandが見える。そんな時なクライミングを切り上げてビーチに向かうのもいいだろう。

Welsh Food Center

https://www.bodnant-welshfood.co.uk

ウェールズもイングランド同様飯はうまい。ウェールズの食品を扱う小さなフードセンターに行くと、ウェールズの食に触れることができる。チーズは特に品揃えがいい。あと、肉製品も良さそう。美味しいパンも手に入る。僕が行った時にはその他はイマイチな感じだったけど、その後オーナーが変わったようで、もっといいところになっているかもしれない。

National Slate Museum

https://museum.wales/slate/

いよいよスレートに近づいてきた。スレートの岩場はLlanberis(ランベリス)という街のすぐ脇にある。その街のはずれにあるのが、National Slate Museum。スレートの石切り場の歴史に触れることのできる素晴らしい博物館だ。北ウェールズを訪れるのであればここは絶対に外せない。スレートの岩場に向かう前にぜひ訪れておきたい。スレートの岩場で目にする様々なものをよく理解できるはずだ。

Snowdon Mountain


スレートの岩場のあるSnowdoniaという山岳地帯の誇る山が、Snowdon。ウェールズの人は、ここがUKで最も美しい山であるという誇りを持っている。UKで一番高い山はスコットランドにあるが、一番美しい山はウェールズにあると。ぜひ登っておきたい。山といっても日本の基準からしたら大したことはなく、ハイキング程度。ハイキングルートはいくつかあるようだ。クライマーはみんな歩くのは嫌いだろうから、そういう人はLlanberisの街から汽車に乗ってしまおう。Snowdon Railwayが山頂まで運んでくれる。

https://snowdonrailway.co.uk


スレートの岩場


北ウェールズの海と山と食を満喫したところで、いよいよスレートの岩場に向かおう。岩場はLlanberisの街のすぐ脇だが、アプローチは反対側から。車で近寄った時点で度肝を抜かれること間違いなし。Bus Stopに車を置いて、水平のアプローチだ。


まずは歩きながら耳をよくすませてみよう。地面に散らばったスレートの破片を踏んで歩くと、カランカラン、チャリンチャリンと楽しい音が響く。それから、足元のスレートの破片を見ると、時々エメラルドグリーンの模様が入ったスレートを見つけることができる。美しいスレートの破片を探すのも、楽しみの一つ。

クライミングエリアもすぐそこだが、登るのはまだはやい。まずは壮大な景色を堪能し、それから残された石切り場の施設にも目をやろう。いくつかの小屋には石切り場が閉鎖された当時の道具が未だに残っている。石切り場全体が博物館のようなものだ。石切り場の労働者をモデルにしたアートが各所にあるので、探してみよう。


可愛らしい植物を眺めるのも良い。


クライミング


ガイドブック


スレートの岩場は構造が複雑で、幾層にも別れた岩場が階段やトンネルで繋がっている。地図がなければあっという間に迷子になれるが、クライミングのガイドブックがあれば大丈夫。


2018年にはRock Fax社から新しいガイドブックが出た。例によって、とてもわかりやすいけれど、インタビューとか歴史とかの記述はない味気ないガイドブック。

情緒たっぷりのガイドブックがGround Upから2011年に出ているけれど、今は入手できないようだ。
https://www.ukclimbing.com/logbook/books/llanberis_slate-1370

ルート


スレートの岩場には、トラッド・ルートとスポーツ・ルートが共存している。それも、エリアごとに別れているというわけでもなく、トラッド・ルートのすぐ隣にスポーツ・ルートがあったりする。さらに、Eグレードが付いているにも関わらず、部分的にボルトが打たれているルートもあってそのエシックスを理解することは難しい。ここでは難しいことを考えるよりも、クライミングとして面白いものを登るのが正解だろう。

スレートの特徴は、フリクションのないツルツルの岩質。その岩質を堪能できるスラブはぜひ登っておきたい。それから、スパッと切れたカンテも面白い。カンテはスポーツルートが中心になるだろう。あと、コーナー。フリクションがないのでレイバックに逃げるのが厳しくて、面白いクライミングになる。最後に、ぜひ注目してもらいたいのが、人工物の存在。この地でクライミングが始まる前の石切り場の時代の人工物がルート上にも残されていて、それをホールドにしたり、プロテクションにしたりする。スレートの岩場ならではのクライミングなので、そういうルートはぜひ登っておきたい。

では、おすすめルートのご紹介。



岩場に横たわる錆びた送水管からスタートするスラブ。かつてはもう一本の送水管の上をトラバースしてから直上だったらしいけど、その送水管は下に落ちてしまったので、今は普通のトラバース。トラバースした先に巨大な錆びたチェーンがぶら下がっていて、そこにスリングを回してプロテクションにする。スレートの岩場らしいルート。

Pull My Daisy E2 5c

https://www.ukclimbing.com/logbook/c.php?i=6611


スラブのトラッドルート。中間部まではシンクラックにスモールナッツだのスモールカムだのをねじ込んで登る。ルートの3分の2くらいのところに鉄の棒が刺さっていてそこにスリングを巻いてプロテクションにしたら、あとはひたすらランナウト。これもスレートの岩場らしいルート。レインボーという超有名な岩にあるのも良い。

Dinorwig Unconquerable E3 5c

https://www.ukclimbing.com/logbook/c.php?i=8163


ガイドブックに'Indian Creek comes to the slate quarries'と書かれているルート。シンハンドのコーナークラックで、クラックの外にはホールドが全然ないので、ひたすら手とつま先をクラックにねじ込み続ける。

German Schoolgirl E2 5c

https://www.ukclimbing.com/logbook/c.php?i=8262


閉じたコーナー。コーナーの脇にシンクラックが走っていて、そこにスモールナッツをねじ込んで登る。ガイドブックには'well protected by wires'と書かれている。極小ナッツを信じるか否かはあなた次第。

とうことで、超楽しいスレートの石切り場のクライミングを紹介した。本当に超楽しいので、ぜひ登りに行ってもらいたい。





ここから先は個人的メモ。今回登ったルート。

German Schoolgirl E2 5c オンサイト
Dinorwig Unconquerable E3 5c 初めてのE3、オンサイト
G'Day Arete 6c たぶんUKで初めてのスポーツ・ルート、オンサイト


2018年8月13日月曜日

RAC boulder in Wales

ウェールズ観光のついでに、RAC boulderに立ち寄った。ロードサイドで下地は真っ平ら。難しい課題はない。

https://www.ukclimbing.com/logbook/crag.php?id=1634

正面の高い課題をいくつか登ったのが気持ち良かった。裏面のリップトラバースはPump Traverseという課題で、リップに縦クラックがいくつか走っている。グレードは6B+なんだけど、ジャミングができない人がつけたグレードだと思う。

ちょっと立ち寄るにはとてもいいところだった。

2018年7月20日金曜日

Slate Quarry@North Wales - 二日目

North Walesのスレートの岩場、二日目。すでに僕はポンコツだった。

Rainbow Slab Area


最初に行ったのは、Rainbow Slab Area。このエリアのメインの岩であるRainbow Slabには、ジョニー・ドウズによる高難度のスラブがずらりと並んでいる。


前日の酷暑の経験から、日陰の岩場がいいねと言って向かったものの、直射日光をもろに浴びて、黒いスレートは火傷しそうなほど熱くなっていた。しかし、岩は素晴らしく、どうしても登りたくなったので、リードすることにした。


Pull My Daisy E2 5c


僕が挑んだのは、Rainbow Slabに架かるRainboの左脇に走るシンクラックを辿るルート。ちょうど真ん中あたりにダイナマイトの穴があって、そこに鉄の棒が刺さっている。それにスリングを巻いてプロテクションにしたら、あとはひたすらランナウトするらしい。その少し下はクラックが広がっていて、ハンドサイズで休めそう。さらに下部はクラックが細くて難しそう。と見立てて登り始めたら、やっぱり難しかった。細いクラックにはプロテクションがなかなか合わず、マスターカムの紫が半身飛び出ているのとマイクロ・ストッパーの一番小さいやつを祈るようにセットした。その上は、メトリウス・カーブナッツの最小サイズ。で、その上のムーブがわからず、断念。泣きながらプロテクションを回収しつつクライムダウンした。オンサイトトライ継続中ということで、また今度。

Catrin E2 5c


次はニールさんがBela Lugosi SlabでCatrinをやった。下部はカムで上部はボルト。最近登れていなかったニールさんは調子が上がらないようで、途中で降りてきた。僕はカムとクイックドローが残った状態の途中までトップロープスタイルで登った。スラブの中でのアクロバティックなムーブが超面白い。ムーブの強度的にもプロテクション的にも、Pull My Daisyと同じグレードなのはどういうことなのか理解できないが、スレートの岩場なりのディシプリンがあるのだろう、きっと。

Twll Mawr


場所を変えて、ポールさんも合流して、Twll Mawr。なんて読むのか全くわからないこのエリアには、かの有名なThe Quarrymanがある。と言っても、巨大な穴の縁を岩が取り囲んでいるエリアの対岸にあったので、すごく遠くて小さく見えただけだが。

https://www.ukclimbing.com/logbook/crag.php?id=636

Imagine Dragons 6b


登ったのは、Imagine Dragonsというスポーツの2Pのマルチ。1P目はカムでプロテクションが取れそうでもあるが、スレートはそういうものなんだろう、きっと。一本のロープをダブルで使って三人で登るという変則スタイルで、僕は両ピッチともフォローした。どっちもムーブが楽しくて面白いルートだった。

ということで、帰りの運転があるので僕はここで離脱。3時間の快適ドライブで子供が寝る前には家についていた。遠いようで実は意外と簡単に行けてしまうNorth Wales。スレートのスラブは最高に面白いので、また近々行くことになるでしょう。


2018年7月12日木曜日

初めてのSlate Quarry@North Wales - 初日

ニールさんに誘ってもらって、North Walesのスレートの岩場に行ってきた。Llanberisという街に近い岩場。スレートの岩場は、かつての石切り場だ。小さな石切り場が点々としているのかと思っていたら、全然違った。信じれらないくらい巨大な石切り場が、ドカン。


Australia


最初に行ったのは、Australiaというエリア。スレートを輸出していた先の地名がエリアの名前になっているそうだ。ここだけでルートが250本以上ある。

https://www.ukclimbing.com/logbook/crag.php?id=10#maps

Looning the Tube E1 5a


最初にやったのは、かつての送水管からトラバースするルート。以前はこの錆びた送水管がずっと奥まで繋がっていたそうだ。途中に残された錆びたチェーンにスリングを巻いたら、クラックを上がる。


スレートの石切り場でのクライミングの面白いところの一つは、こういう産業遺構が残っていて、時としてそれをクライミングに使うところだった。

オンサイト。

Exhuming the Tube E3 5c


次は、ニールさんが同じスタートからさらに右にトラバースするルートをやった。僕はフォロー。こっちはラインどりがいまいち分からず、消化不良。

Turn of the Century E2 5c


それから、顕著なコーナーを登るルート。15mか、もう少しあるくらいだろうか。ボルトが2本打たれている。加えて、下部にカムを1本。プロテクションはそれだけなので、かなりランナウトするんだけど、それほど難しくはなく、怖くもない。


スレートの岩場は、スポーツ・ルートとトラッド・ルートが混在している。それも、エリアごとに分かれているわけでもなく、すぐ脇に隣り合っていることも多い。さらに、トラッド・ルートとして形容詞グレードがついていてもボルトが打たれているものもあって、グリット・ストーンとは全く異なる規範が通用しているようだ。

Turn of the Centuryも、E2とはなっているけれど、登った感触としてはスポーツルートの5.10+と言った方がしっくりくる。初めてのE2なのにそんな気にはならない。面白いけどね。

オンサイト。

Serengeti


場所を変えて、途中でかの有名なThe Quarrymanを見学して、たどり着いたのはSerengeti。

https://www.ukclimbing.com/logbook/crag.php?id=633#maps

Seams the Same E1 5b


この日は暑かった。とても気温が高い上に、黒いスレートは直射日光を浴びると火傷しそうなほど熱くなる。日陰の岩場を探したいねと言って歩いたのに、僕にとって面白そうな岩は、思い切り日向にあった。時間はお昼すぎ。対岸の日陰の岩で陽気なイタリア人集団が初手核心のスポーツルートを賑やかに楽しんでいるのを眺めながら、熱々のスラブに走ったクラックを登った。

これは超いいルートだった。オンサイト。

Bus Stop Quarry


いよいよ暑すぎてもう無理ということで、日陰の岩へ移動。ニールさんが気になっていたというスラブを見に言ったけど、ちょっとイメージと違ったようだ。さらに移動。バス停から丸見え、徒歩3分のエリア。

https://www.ukclimbing.com/logbook/crag.php?id=5

Fool's Gold E1 5c


日が傾き、ちょうど日陰に入ったスラブのクラックを登った。下部はグルーブを辿るんだけど、プロテクションはその右のフェースのクラックで、半分ブラインドでスモールカムを突っ込むことになる。それと、あやしいワイヤー。で、その状態でハング下のグルーブから右に飛び出すところが、ムーブがわかりにくくて、ちょっと難しかった。


これはいいルート。オンサイト。

初日はこれでおしまい。