2015年8月14日金曜日

落石当たった@小川山

小川山2日目。いつものパートナー松氏の到着を待ってクライミング。あと数日いるつもりが、落石を受けて怪我をして、撤収となりました。

《バイシクル・ダイク》に挑んでみようと、屋根岩1峰方面へ向かい、まずはアップで《ビレニイ・プリズン》。いろいろあって、下部ボルト2本分を2回やっただけで終了。思うように登れず、集中力を欠いていました。

落石の認識まで

  1. 《バイシクル・ダイク》の取り付きにメインのザックを置いて、必要なクライミング道具と水だけを持って、《ビレニイ・プリズン》でクライミング。
  2. 最後に、松氏が懸垂でヌンチャクを回収した後、ロープを落として、ロープをまとめている時に、バチンという音がして、手が弾き飛ばされる。
  3. 手の甲が切れて血が見えた。落石を受けたと認識。17時半ごろか。

その後の対応から下山まで

  1. 止血が必要と判断。松氏がテープを取りに行く間に、血がたくさんで滲み出てきて、傷をちょっと開いて中を見たら、白いスジが見えた。
  2. 松氏がテープを持ってきてくれる。テープが汚れていたので、間に自分のハンド・タオルを挟んで、テープでぐるぐる巻き。
  3. 止血が完了し、荷物をまとめる松氏を置いて、先に下山開始。《バイシクル・ダイク》の取り付きに置いたメインのザックと荷物は置きっぱなしで、駐車場まで。荷物は松氏が回収してくれた。

駐車場から病院まで

  1. 駐車場で、近くの山梨で病院に行くのがいいか、東京に帰って病院に行くのがいいかと悩んで、まずは山梨県の救急医療情報センター(?)に電話。須玉と大月の病院を紹介される。それぞれ電話し、須玉の病院は忙しいと断られ、大月の病院は整形外科のある病院へ行けと断られる。
  2. 東京の救急相談センターに電話。東京にきてから電話しろと言われる。
  3. 渋滞を乗り越えて帰宅。再度、救急相談センターに電話し、3つの病院を紹介され、昭島の病院へ。

病院にて

  1. 最初の診察の後、1時間以上の待ち時間。
  2. 洗ったり、ピンセットでほじくったり、指を動かしてみたり、ガーゼを穴の中に突っ込んだり。超痛かった。
  3. 「骨は大丈夫だね。腱ははどうかなー?まあ伸筋腱は丈夫だから多分大丈夫でしょ」ってことで、2針縫って終わり。25時頃。

まとめ

  1. 当たったのが手の甲で、頭とかじゃなくてラッキーだった。ちなみに、ヘルメットはかぶってました。
  2. すぐに止血できたことが良かった。松氏がテープを持っていたのがラッキーだった。僕のはというと、普段はカムの袋に入れていたテープが、スリング等ギアの袋に入っていた。なんとなしに《ビレニイ・プリズン》まで持ってきていたハンド・タオルがあったのがラッキーだった。救急セットとして常に持ち歩かないといけませんね。
  3. 万一のことを考えると、一人で下山はしない方が良かったのかもしれない。
  4. 病院の選択は難しいです。病院のキャパシティを考えると、血が止まってれば東京まで帰ってしまうのがいいのかもしれない。より逼迫してたら、長野方面も考えたほうがいいのか?


人の入らないエリアではいつも以上に慎重にならないといけませんね。勉強になりました。


○《ビレニイ・プリズン》

RCCボルト4本のなかなか良さそうなスラブでした。100岩場の地図は非常にわかりづらく、《バイシクル・ダイク》から右に歩いた方が早いです。それか、東屋を通り越して、ピナクルの手前の踏み跡を右に入る。100岩の地図では、岩の西側にルートがあるかのように見えますが、東側です。


2本目のボルトの上まではムーブはわかりました。とても面白いです。下部はちょっとじゃりじゃりしてますけど。2本目のボルトは位置がいまいち?左に離れている。上部は松氏が一度やって、絶対無理と言ってました。しかし、スラブで松氏が言う「無理」は信用できません。機会があればまた行きたいですね。

追記
クライミングジャーナル30号に、高橋建雄さんがビレニイ・プリズンを登っている写真が掲載されていました。

2015年8月10日月曜日

夏休み、ボルダー、《ピノキオ》@小川山

小川山キャンプ

ハンモックでお昼寝、マキネッタでコーヒー、Walkers SHORTBREAD FINGERS、Sounds of Gears、ざらざらの花崗岩、柔らかな木漏れ日、吹き抜けるそよ風。最高ですね。これで、キンキンに冷えたJEVER Pilsnerがあれば、他に望むものは何もありません。次回は箱で買って行って川に放り込んで冷やしてしまいましょう。

去年ダイバーさんが登ったのを知って、ずっと気になっていたクラックボルダーがあります。くじら岩裏面の《ピノキオ》です。どんな時でも大勢の人が集まるくじら岩にあっても、この課題に人が取り付いているところを見たことはありません。見事に弱点を突いたいい課題だと思います。

グレードは、黒本では3級。3級といえば、冬に登った笠間の《ターゲット》と同じ。どちらも緊張感のあるクラックのハイボルダーです。

この《ピノキオ》のグレード、『関東周辺の岩場』では、5.10+(TR)とデシマルのグレードがついています。《ターゲット》は、黒本では3級/5.10b、100岩場では3級(5.10c)。5.10cといえば、山野井さんの《むかしクラック》が5.10cで、僕のクラックの最高グレードです。

登り易さでいうと、《ターゲット》が一番登りやすい。終始ジャミングが効き、上に行けば行くほどバチ効きで、マントルは難しくない。下地は殺人級だけど、落ちないから大丈夫。次が、《むかしクラック》。クラック内部がガタガタで、ジャミングが効くポイントがわかりにくいし、痛い。技術的にはこれが一番難しい。でも、ロープにぶら下がって探ってジャミングが効いてしかもさほど痛くないポイントを見つけてしまえば、カムでプロテクションを取っている安心感もあり、大丈夫。仮に下地が良くても、ボルダーとしてグラウンドアップだと、相当難しいでしょう。最後に、《ピノキオ》。落ちてはいけない高さで課される、落ちどころのマントリングとスラブ。しかも、そこで大事な上部のクラックは、苔。落ちることへの恐怖感では一番上。ただ、下地はそこそこ良いので、落ちても足首の捻挫か骨折程度でしょう。全く性格の異なる3つのクラックが、技術的な難しさ、危険度、恐怖感、様々な要素を考慮すると、同じグレードになるんですね。

朝一番に最上級の恐怖感を味わいましたが、お昼前には再びハンモックでそよ風を感じることができました。

午後は、烏帽子岩アプローチボルダーで、《濁流》。最近読んでいる本で学んだ下半身からのモーメンタムの作り方の教科書のような課題で、とてもいいです。このエリアは好きです。ただ、昼過ぎは岩に陽が当たってコンディションはいまいち。涼しくなった秋頃がいいかもしれません。登れなかったのでまた今度。

それから、無名岩周辺時間岩の2級は素晴らしい課題だと、再度登って思いました。何度でも登りたい。対照岩(左も右も3級)は、今回も予定通り敗退。ただ、左は一度だけリップにタッチを成功させ、可能性を感じました。右は相変わらず意味不明。これまた次回。

2日目は、1日かけて5.10dのスラブの下部ボルト2本分を2回だけという不毛な時間を過ごした上、不注意で怪我をして、早々にキャンプの終焉を迎えました。その話は改めて。

2015年7月28日火曜日

《かにもどき》@藐姑射岩・小川山

小川山でのトラッドな1日。藐姑射岩に向かいました。

昨年の小川山でご一緒させていただいてとても楽しかったもびさん&ポキさんとお会いし、また楽しい1日になりました。プロテクションのセット、ジャミングのムーブ、ルートへの取り組み方などなど、盗み見たりお話ししたり、とても良い1日でした。でも、一番はやっぱり、クライミングを楽しむ態度でしょうか。昨年ご一緒させていただいたときに、あくせくしないクライミング・スタイルに感銘を受けて、今年はそんなスタイルを実践しようと心がけているのですが、それが間違いではないと改めて思います。そういう目でルートを選んで、そういう目でルートに取り組むことで、得られることがあると思うのです。

《森林浴》(5.8)、再登。

このルートは、クライミングジャーナル29号(1987年)に掲載されたこのエリア全体の開拓者によるトポでは、《初夏の日ざし》となっています。関東周辺の岩場でも同じ。100岩場で、《森林浴》に変更。事情を察するに、藐姑射岩の開拓者たちが初登して記録を発表したものの、その後になって、じつは先に登られていたことが判明した、といったところかと思いました。100岩場では、《森林浴》の初登者は小林敏さん。しかし、事情はどうも違いそうな感じもします。クライミングジャーナル29号のトポには、初登者の名前と初登の日時が書かれているのですが、《初夏の日ざし》だけはそれがありません。開拓者の方々は、初登ではないことを知っていたと推測しました。ところが、ルートの名前についてはわからなかった、あるいは、間違えて伝わっていた、それが100岩場の刊行の際に正された、と言ったところでしょうか。いずれにしても、プロテクションのセットの練習になる、良いルートです。

ところで、クライミングジャーナル29号のトポは、とても良いです。丁寧な手書きのトポとルートの解説だけでなく、グラウンド・アップという開拓のスタイルや、思いにも触れられ、このエリアの自然を愛する気持ちも伝わってきます。

《冬のいざない1P目》(5.9)。上部がなかなか厳しいです。OS。回収トップロープでもう一度。

冬のいざない1P目

2階に移動して、本題の《かにもどき》(5.9)。3Pのマルチです。1年前にもびさん&ポキさんから話を聞いて、興味を持っていたルート。その名の通りトラバースということで、挑戦することにしました。

ここから

1P目(5.9)、リード。《冬のいざない 2P目》の取り付きから、左へ上がって、トラバース開始。左のルートのクラックに合流する手前が、すごかった。なんという充実感。グレードは5.9ですが、奥多摩で5.12のスポルトを上るのと同じくらいの充実感を得られます。素晴らしい。核心部のプロテクションは、もびさんは僕とは違う選択をしたそうで、これは悩みます。上部、テラスに出てから、どこでビレーするかも悩みます。それから、ある程度やむを得ないところもあるのですが、それにしてもロープの流れを悪くしてしまいました。これは反省。一つ勉強になりました。

2P目(5.7)フォロー。これまた緊張感満点。リードした松氏に感服。

3P目(5.5)リード。これはなんてことない。

ルート全体の構成が素晴らしいと感じました。これをグラウンド・アップで開拓したというのですから、恐ろしい話です。

最後は、《春の訪れ》( 5.10a)。《冬のいざない2P目》のアプローチ途中右上にある水平クラックです。なかなか厳しくて、2回やって、ピンクポイントに成功。ギアをセットしながらのクライミングは厳しいものになりそうです。あと、右側に乗っ越した先が苔と岩茸で怖い。掃除したら、トラバースまで楽しめる良いルートになりそうです。

春の訪れ

7時間近に下山し、1日楽しめました。

2015年7月23日木曜日

《ファン・ファン・ファン》失敗、《Unspeakable》RP、《南風》RP、親指下ボルダー@小川山


小川山!いつものパートナー松氏と一緒。トラッドのマルチは大変勉強になりました。プロテクションのセット、ラッキング、下降、いろいろと考えなければなりません。

狙いは、最高ルーフ右の《ファン・ファン・ファン》。1P目に特徴的なダイク・トラバースを持つルートです。完登ならずで、乾いているときにまた行きたいと思います。

1P目下部は《最高ルーフ》と共通ということで、スラブを登りましたが、ダイク左下のちょっと立ったクラックにプロテクションをとったら、スリングで伸ばしてもロープの流れが悪くなりました。右面のクラックを登るのがいいのかもしれません。雨の後はびしょ濡れですけど。

ダイク左のクラックがびしょ濡れでテンション入りました。ダイク・トラバースは非常に厳しく、木を掴んでなんとか上に抜けました。このピッチのグレードは、発表時は5.10dで、関東周辺の岩場以降のトポでは5.10bとなっています。このグレードについては、ハンド・トラバースで5.10b、ダイク上を歩くと5.10dとの情報に触れました。歩くとすると、左のクラックを少し登って最初から上を歩くのでしょうか?なかなか厳しそうです。ただ、歩けるとしたら、2本目のリングボルトにいち早くクリップできるので、安心ではあります。ハンド・トラバースでマントリングの最中に落ちたら、大きくスイングすることになって、目も当てられません。

[追記]岩と雪105号に、上記のグレードについての記載がありました。

2P目は噂通り、ブッシュと苔のクラック。掃除したいです。

(ブッシュがなければ)綺麗なクラック

3P目は、スラブのトラバースから、ワイドクラック。奮闘しました。ギアのラッキングも悪く、左のギアループにいろいろとぶら下げていたのですが、それが邪魔で、クラックの奥になかなか潜り込めませんでした。挟まった状態でギアを右に付け替えて、なんとか解決。スラブでもギアスリングにぶら下げた大量のギアが邪魔でしたし、情報のないトラッドの難しさを痛感しました。

帰りの運転中に、トラバース部分でプロテクションをセットしなかったことについて、議論になりました。リードの安全性と、フォローの安全性と、ワイドクラックに潜り込んだときのロープの流れと、いろいろと考えて答えのでない難しい判断です。今回はトラバースがさほど難しくないし、ワイドの入り口もさほど難しくないので、どっちでも問題なかったですが、どっちかが難しいとシビアな問題になりそうです。トラッドは難しいです。

お殿様岩、しぐれがよく見える

ジェットストリームもよく見える

下降は、最高ルーフの終了点を使って、左のルンゼへ。懸垂のロープがスタックしてどうなることかと思いましたが、松氏が裏に回って回収してくれました。感謝。マルチではこういった辺りの対応力も必要ですね。

《ファン・ファン・ファン》というルートは、岩と雪94号において発表されました。それによると、このマルチ・ピッチのルートは、グラウンドアップで初登されています。しかも、初登時はボルト・キットがなかったため、核心部のトラバースはボルトなしで登られているそうです。ダイクのトラバースにラインを求める目の付け所がまず素晴らしいと思うのですが、それ以上に、その部分をノープロでやってしまう心の強さも素晴らしいと思います。真似はしたくないですが。こういったルートを知るにつけ、むかしの人は凄かったと、何度も考えてしまいます。

午後はスラブということで、前回行ったリングサイド・エリアともどき岩。

リングサイド・エリアでは、《Unspeakable》。1回目は落ちました。アップなしでは無理でした。2回目でRP。そのあといろいろ試してみたら、ボルトの右でも左でも真ん中でも、どこでも登れました。スラブを登れる人が登れば5.10aなんでしょう。スラブは難しいです。

南風

それから、もどき岩《南風》。こちらは予定通りのムーブで1回目でRP。前回さんざん試した成果です。分かってしまえば5.10a、なんてことは全然なくて、やっぱり発表時の5.10cはあると思います。難しい部分はわずか数歩ですが、その数歩のムーブが最高に楽しいルートでした。スラブの楽しさはグレードではありません。

隣の、バリアス・ポジション

最後は、親指岩下ボルダーで締め。まだ登っていない課題を下から順番に登る方針で、ばしばし登りました。

漆岩47番のスラブ4級は名作だと思います。哲学岩の40番マントル(7級)と、42番マントル(5級)と、43番マントル(3級)と、39番マントル(7級)と、露岩の34番マントル(7級)と、38番マントル(2級)は、どれも同じ難易度に感じました。マントルは分かりません。

あとは、露岩の28番(7級)、29番スラブ(9級)、30番スラブ(8級)、32番(7級)。それから、トポにはない哲学岩39番マントルの右のマントル課題を登りました。なかなかいい感じでした。露岩31番のスラブは敗退。また行きます。

2015年7月17日金曜日

リングサイド・エリア&もどき岩・《南回帰線》など@小川山

今シーズン2度目の小川山。以前から気になっていたスラブのトラバース《南回帰線》を目指します。

登山道をてくてく歩いて、まずはリングサイド・エリア《ゴング》(5.9)はマスターOS。《何も言うことはない》(5.10b)は、2回目でRP。《Unspeakable》(5.10a)は、1回目でムーブを見つけて、2回目でRPを目指したものの、予定していたフットホールドがジャリジャリっと欠けて、残念。何もないところにスメアリングのムーブを組み立て直したものの、RPは次回にお預けです。

どスラブ

このエリアのスラブは、長さは短いですが、クオリティは高いです。《何も言うことはない》も《Unspeakable》も、《ジャーマンスープレックス》より面白いかもしれない。《Unspeakable》は、岩の表面がじゃりじゃりしますが、登られていくうちに落ち着いてくるでしょう。ちなみに、このエリアの終了点は十分ではありません。歩いて上に回れますので、立木にスリングで自作して後で回収するのがいいと思います。

お昼を挟んで、もどき岩。早速《南回帰線》(2P、5.10b)。

ここからトラバース

じゃんけんで勝った松氏が1P目をリード、負けた僕が2P目をリード。1P目はトラバース。これは文句なしに面白い。緊張感もあって、初見でリードした松氏はすごいと思います。2P目も、短いけれどもなかなかのクオリティ。予想通りの素晴らしいルートでした。下降はラペルで一回。

終了点から、いい景色

で、次にやった《南風》(5.10a)がすごかった。数度にわたって散々ぶら下がってムーブを探って、ようやく核心部のムーブを解明しました。100岩だと左右2通りのライン取りが書かれていますが、わかったのは左だけ。右は解明できませんでした。解明された左も、正気とは思えないムーブで、2度しか成功しませんでした。超面白いです。RPは次回にお預け。これもクオリティは高いです。終了点はありません。歩いて上に回れますので、立木にスリングで自作して後で回収するのがいいと思います。なお、《南風》は、岩と雪111号で発表された初登記録では、5.10cとなっています。僕が発見したムーブだと5.11はあると感じましたが、初登時と同じ5月だと、5.10cくらいになるかもしれません。

南風

2つのエリアで登りましたが、どちらも静かで居心地のいいエリアで、いいクライミングができました。もっとたくさんのルートを登るつもりでしたが、思いの外厳しくて、大変勉強になりました。

最後は、下の駐車場に車を置いて、石楠花エリアでボルダー。《筆スラブ》(5級)を登りました。

2015年7月6日月曜日

小川山、シーズンイン!

待ちに待った小川山のシーズンが始まりました。花崗岩のスラブは最高です。登り始める前も、登っている最中も、登り終わっても、ビレーをしていても、笑いが止まりません。

まずは、スラブの足慣らしということで、アプローチも近いおむすび山スラブへ。あわよくばこの岩の全ルートを登ってしまおうと密かに目論んでいましたが、そううまくはいかず、《無名ルート》(5.10a)、《ラベンダー》( 5.10a)、《メイストリーム》( 5.10b)の3本を登る留まりました。どれも素晴らしいルートでした。

《無名ルート》はオンサイト。ボルトは7本で、極端なランナウトです。トポにはボルトが4本しか書かれていませんが、本気でしょうか?《ラベンダー》は、3年前にフォローで登って以来のRP。下部の手に足マントリングが緊張感たっぷりで素晴らしいです。その上は当然のようにランナウト。《メイストリーム》はフラッシュ。スメアリングの練習に最適です。中間部のフレークから上に抜ける部分でかなり苦労しました。その上は当然のようにランナウト。とても良かったので2回登りました。

いつものパートナー松氏の《ジェイコブズ・ラダー》オンサイトトライは見所たっぷりでした。2本目のボルト付近のマントルが核心です。ここを、悩みに悩んで、手に足マントルを選択し、力でねじ伏せました。その上のダイクまでの小核心も突破。さらに続くいやらしいスラブを、粘りに粘って乗り越えて、中間の終了点もどきまで到着しました。ここまできたら、オンサイトを成功させてもらわないわけにはいきません。前年に僕がこのルートを登った時にはここで終わりにしていたのですが、実際にはこのルートはその上もあって、上部のワイドクラックを通って岩の上まで抜ける設定です。初登時の記録には、ワイドクラックに草が生えているが、そのままでも登れるので抜かないようにとの記載があります。今は、このクラックには、草どころがブッシュが生えています。散々粘った末に、ワイドクラックに突入する松氏。上体をクラックにねじ込み、左足をブッシュ付近に突っ込むと、飛び散る木の枝、舞う木の葉。ビレーヤーも緊張を強いられます。ずりずりとワイドクラックを進む松氏を、さらなるブッシュが阻みます。クラック上部のこのブッシュにより、クラックが完全にふさがれていて、残念ながらテンション。惜しいトライでした。

回収のために上部からラペルでおりましたが、ブッシュは強烈で、その上のスラブも岩茸にびっしりと覆われていて、酷い有様でした。

中間の支点が何のために付けられたのかはわかりません。結び替え用かとも思ったのですが、そもそもこの岩の上には終了点がないので、結び替え支点までのロワーダウンもできません。とすると、トップロープ用でしょうか。そこに一見したところ終了点と考えられるものがあることで、クライマーはそこから先を登ることをやめてしまって、そのために、そこから先に木は生えるし、岩茸で覆われるし、いいことないなと思います。そのうち掃除をしたいと思っています。

《ジェイコブズ・ラダー》を僕も登ろうと思っていたのですが、このような状況なのであきらめて、あとはお気楽クライミング。いつでも回収できる1日の終わりのお楽しみといえば、2峰の右下で《星と光》( 5.12a)。地面から3歩進みました。

梅雨時にこれだけ丸一日登ることができて、大満足の1日でした。

2015年7月1日水曜日

高いボルダー、まずは掃除から@御岳&山野井泰史『アルピニズムと死』

以前、孤独について書きました。あのときは冗談めかして書いたのですが、本当にそう思います。lonelinessとsolitudeは別物、とアレントは言ったそうです。そのsolitudeがsoloという言葉とつながっている、そのことを知ったとき、いろいろなことが腑に落ちました。たった一人で岩と向き合うとき、強さが必要です。誰もいない大岩壁に一人で挑むことができる、それが山野井さんの強さなのだと思いました。僕にはその強さはないけれど、一人で岩と向き合って初めて、強さに一歩近づくことができるのだと信じています。


パートナーの都合により一人の日曜日。小川山か、近場か。近場だとしたら、秋川のボルダーを探しに行くか、御岳あたりか。一通り悩んだ末に、遅い時間からでも行けて、歩きの少ない御岳にしました。最近はまた、半月板の割れた左膝の調子が良くありません。だましだまし付き合っていくしかありません。

掃除道具一式を抱えて、美しい局面を持つボルダーにやってきました。このボルダーは、多くのボルダラーが往来する遊歩道のすぐ脇にあります。かつては杉の木に遮られて人目につかなかったのですが、少し前に杉が伐採され、いまは丸裸です。岩は全体的にもろいですが、最も美しい局面部分は、意外としっかりしています。上部に回ると、そこには、かつて御岳山への参道だったと思われる道があり、立派な鳥居が立っていました。

ロープを垂らしてぶら下がってみると、以前に見上げたときの印象とは違い、安心できない高さを感じます。上部の腐った木を除去して、一通り苔を落として、マットを敷いて下から登ってみました。スラブへの立ち込みになんとか成功し、そこから数手(数歩?)が限界でした。前傾部分にホールドが乏しく、あっても方向が悪く、とても厳しい。これをボルダーとして登れる日は来るのでしょうか?


もうじき、小川山のスラブで精神とソールをすり減らすシーズンに入ります。今季の奥多摩では、《アドレナリン・ジャンキー》と《アーバンテイスト》という素晴らしいルートと、幾つかの心に残るトラッドルートと、幾つかの美しいボルダーを登ることができ、また、素敵な出会いもありました。他方で、方々でやるべきことを残したシーズンでもありました。一生かけても奥多摩は遊び尽くせそうにありません。奥多摩が好きです。また、秋になったら帰ってきます。