奥多摩は寒くなってきて、登っていると指先の感覚がなくなるようになったので、そろそろ南下したいところ。そのためには、イクイノシシをやっつけなければ。
いつもより遅く出発。つらい氷川屏風岩のアプローチも3度目ともなると慣れたもの。ただし、落ち葉はさらに山盛りに。ラッセルラッセル。下りのことも考えて落ち葉を脇によけながらてくてく歩き。このアプローチも今年最後にしたいところ。
C峰の頂上に到着。予報から予想されたほど寒くはなく、ほんのり温かい陽気。ただ、時折吹く強風にぶつかるとやはり寒い。
奥多摩の街を望む |
この岩場はアップに適したルートがないので、早速パートナー松氏に、懸垂でイクイノシシのヌンチャクをかけてもらう。
イクイノシシのトライは3日目。初めの2日で4トライし、1度テンションまじりのトップアウトに成功。ムーブはだいたい読めている。
アップとムーブ確認を兼ねて、この日の1便目、通算5トライ目。
スタートの左サイドプル&右手適当から、右手を高いカチに運び、クリンプ。左手を指2本ほどの斜めホールドから右ガストン。左足で凹みを蹴り、体を浮かせて、左手を2本突起アンダーホールドへ。そこから、右足で右の薄い縦しわを蹴って、両足で張って右手でカチ。右足をいったん下ろして体の中心に寄せ、左足を上げて、左手からガバマッチへ。クリップしてテンション。
ここまでのムーブ、最初に取り付いた時にはパワー全開だったけれど、いまは余裕を持ってこなせる。これは行ける!
しかし、この先が最初の難所。右上のカチを持って、遠い遠い左カチ。人工壁でシミュレーションしたムーブは、右カチを持ったら右足をあげて体を引き上げ、その後で左足をあげて正体で十分に体を上げて、左カチをスタティックにとるというもの。岩の写真に身体をトレースして見た結果、右足を上げたいところがツルツルという不安を得ていたところ、これが的中。右足を置けない。しょうがないからベストとはいえないところに置いて、ちょっと体を上げて、左足を上げる。体が上がらない。左足をインサイドで踏んで、まだ腰が上がらない状態でなんとか右手を保持し、左手を目一杯のばす。届いた!
右足を両手ガバに上げて、右手でアンダーガバ。足をちょこちょこ上げ、クリップ。左手サイドプルを持ち、足をちょこちょこ動かして右足をいいところに置いて、左足で左の方の斜めフットホールドを蹴る。右足を少々強引に上げてキョン気味に体をねじ込み、体をぐいっと上げて、3つの水平ホールドの1番右を右手で取る。右足を少し右に移して、左手を真ん中の水平ホールドへ。ここでテンション。水平ホールドをうまく保持できない。ぬめってはいないのでおかしいと思ったら、乾燥しすぎてはじかれていた。この先のムーブを何度か試してみたものの、岩が冷たいのと風が冷たいのでやられてしまい、1便目はここで終了。
既にイクイノシシを数年前にRPし、この日は《トラバガニ》(5.11b)目当ての松氏が、アップがてらにイクイノシシにトライ。3つの水平ホールドのところで跳ね返されつつ、トップアウト。水平ホールドでクロスのムーブは真似できそうにない。しかし、両手ガバからの最初の難所のムーブは大発見。使ってる左足のフットホールドが違った。斜めの面ホールドじゃなくて、その右下のガチャガチャの所にスメア。これで、捻りをいれて伸びる。これでいこう。
2便目
先ほどのトライで乾燥しすぎて指がはじかれたので、今回はチョークを付けず、指先を湿らせてからトライ開始。スタートから順調。ガバマッチから右手カチを持ち、左足をガチャにスメアで捻りを入れて遠い遠い左手に届いた!右足をガバマッチに上げて、右手をガバアンダーへ。左手サイドプルから、水平ホールド。ここで両手をそろえて、右上のカチへ。適度な湿り気で指もはじかれない。そこから、右手飛ばし。左手クロス気味へガバへ運ぼうとするも、足がうまく決まらず、無理。使うべきフットホールドを確認。右手飛ばし後の左足の位置を確定。
この後、松氏はトラバガニにトライ。ルートが判然としない様子で悩みながらムーブを探っていたが、程なくトップアウト。相変わらずの軽い登りで、遠いホールドを取るのがうまい。
3便目
栄養補給と軽い休憩の後、3便目。順調に進み、ガバアンダーからサイドプル、水平ホールドまでは問題なし。が、左手の感覚がなくなりつつある。そこから、右手カチをデッド気味に。うまく持てていない。ぐりぐりっと持ち直す。持てた!左足をガバアンダーに遮られて見えないフットホールドへ移そうとして、かからない。見えないフットホールドが見つからず、探す、探す、あった!右手を飛ばし!うまく持てない。ぐりぐりっと持ち直す。持てた!足を動かして、耐えきれずフォール。今度は水平ホールドがぬめってきた。
松氏はトラバガにを見事RP。
4便目
指先の温度管理と前腕の消耗度の管理が大事と学び、レストを多めにとる戦略を採用。水平ホールドのぬめり対策で、うすくチョークを付けてスタート。水平ホールドまで到達し、右カチをデッド気味に取る。そこから、左足でフットホールドを探り、探す、探す、ない、探す、探す、ない。テンション。足が決まらない間に前腕が売り切れて、終了。左足の見えないフットホールドへの足運びを確認。
5便目
30分強の休憩の後、15:40頃最終トライすることに。夕日は既に西の山に隠れつつあり、これが本当に最終便。横になって休憩の後、散歩で体を温めようとしたけれど、この岩場は安心して散歩することさえ許してくれない。C峰のうえで肩を回して温める。スタートから順調に上昇し、水平ホールドから右手カチ。左足の置き換えは、大きく動かさず、足首をちょっと上げるだけ。一発で決まった!右足を踏み込めないフットホールドに引っ掛けて、右手飛ばし。止まった。保持力はまだある。行ける。左足を所定の位置に置いて、クロスでガバへ。ガバを譲り合って、右手でマッチ。左上の斜めホールドを、これも譲り合ってマッチ。まだ行ける!右足ヒールで体を上げて、右上のカチ。そこからリップへ。リップを両手で押さえて、終了点に1本だけクリップして、トップアウト!登れたーーーー!!
今年一番のクライミングでした。《スティンガー》(5.11c/d)以来のグレード更新もうれしい。これで安心して南下できます。
奥多摩駅の明かり |
5便目で粘りのRP。この粘りは栄養補給戦略の賜物だ。岩場では黒糖パンを食べ続ける。ここぞというトライの前にはよもぎ大福。お昼ご飯は食べない。これ大事。
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