2023年6月5日月曜日

上間陽子『海をあげる』

上間陽子さんの『海をあげる』を読んでたら、ところ構わず花を摘むおばあちゃんが「ひとの花を取るのは泥棒だよ」と諭されるシーンに出会った。場所によるのだろうけど、例えば山では植物をとってはいけないことになってるが、これを「ひとの花を取るのは泥棒だよ」で説明するのは無理だろう。


山の花にもたいていの場合は所有者はいるが、その所有者が「花の所有権を侵害された」と主張するとは考えにくい。むしろ、山で花をとってはいけないことは、花は誰のものでもない、あるいは、花はみんなのものだ、というロジックで説明されるんじゃないか。


街のロジックと山を含む自然の中のロジックは、違う。クライミングの魅力の一つがそんなところにあるのだということは疑いようがない。世間の常識をクライミングに持ち込む動きに対しては断固として争わなければならない。しかし、世間の常識の力は強く、それは容易ではない。

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