2015年10月30日金曜日

八千穂高原ボルダーから、松原湖ボルダー

北「登喜男くんは掃除は?」
室「しますよ。花崗岩ならワイヤーブラシも使います。」
小「えー。おかしいな。室井さんは掃除しないんじゃなかったの。じゃあ草野さんか。」
草「違うでしょ。」
北「そもそも草野君は汚いところは登らないでしょ。」
小「いやあ、なんかで読んだんだ。『草野さんは、ブラシも持たず苔のあるところを果敢に攻めていて、神のように思えた』って。
平「確か『石の人』もそんな感じじゃなかったですか。枯れ葉も落とさないとか。」
草「そんな。ずいぶん拡大されてるよ。木は切らないほうがいいってのは書いたけど。まああのころは血気盛んなころだったから、それに近いことは書いたかもしれませんね。まあこんなのは自分でルールを決めることで、他人に強要するもんじゃないですけど。まあ僕の場合、掃除するのにロープを使わないってことかな。それもそのほうがおもしろいからやってるんで。」

ROCK & SNOW 14号(2001年)

−ボルダーの開拓ですが、まったく掃除をしないのですか。
「違う。今はあまり掃除をしないという話だ。長い間登っていると岩場の自然のありがたさが身に染みる。だから美しい苔に覆われているボルダーを、苔を押さえつけながら登るのを楽しんだりする。簡単なものに限られるけれど。」

ROCK & SNOW 68号(2015年)

草野さんは、14年経って、今なお進歩しているんだなと。こんな話を読んでいたら、前に見た松原湖ボルダーの唐物大岩、苔と松の葉に覆われたあの岩を登ろうという気になりました。

ダイバーさんの参加を得て、まずは八千穂高原ボルダーでクラックから。

水門エリア

水門エリア。右の5級でアップの後、5.10のフィンガークラック。まったく仕組みを理解していないフィンガージャムです。なんで決まるのか僕には理解不能な場所に、ダイバーさんはビシバシとジャムを効かせて登ってしまいました。僕は、ジャミング風にごまかしつつ、ハンドジャムに逃げたり、フェースのホールドに逃げたりして、なんとか登りました。フィンガージャムは理解できません。まったく効いている気がしないかと思ったら、諦めて降りようとすると外れなくなったり。

右が5.10、左が5.11

左の5.11のクラックは要掃除。兜石奥エリアのオフウィズス(5.10)は、謎でした。強くなってから出直します。

移動して、八ヶ嶺橋エリアで、フィストクラック(5.10)。ダイバーさんが、尖った岩がゴロゴロ転がる斜面という極悪な下地にもかかわらず、ボルダーで登るとか言い出したので、全力で止めました。2回目でRP。複雑な形状で、体の向き、ジャミング、足使い、とても勉強になりました。フィストクラックなのに、ダイバーさんはフィストを一回も使ってませんでした。

フィストクラック。

さらに移動して、松原湖ボルダー、唐物大岩。まずは、左カンテを登りました。。苔と松の葉との戦いで、本命である右の2級のラインでの苦闘が予感されました。果たして、予感通り、右のラインは、リップが苔と松の葉に覆われた絶妙なホールド。壮絶な戦いの後、ダイバーさんが、苔まみれのリップを力でねじ伏せて完登。僕もそれに続きました。

真ん中のライン?

さて、自宅に帰って、浅井さんのブログ(これこれ)を確認したところ、どうもライン取りが怪しいようです。右のラインは下部からもっと右を登るようにも見えます。今回登ったのは、真ん中のラインの途中から?まあしかし、そんなことはどうでも良いことです。あの苔と堆積した松の葉の前には、既成のラインなど、意味を持ちません。大満足です。

2015年10月28日水曜日

御岳散策

ちょっと前のこと、御岳散策、ついんくるでお昼ごはん、クルミを拾って帰りました。

クルミはフライパンで炒って、殻に隙間が空いたところにナイフ手元の段々太くなっている部分を差し込んで、隙間を広げて開けます。フライパンで炒る際に、長めに炒って中の身まで多少火が通るくらいにしたほうが、殻から身を取り出す時に楽なようです。

殻を破ることより、中身が崩れないように取り出すことのほうが難しいです。

ROCK & SNOW #43

八千穂高原ボルダーのトポを求めて久々に開いた、ロクスノ43号(2009年春)。

○八千穂高原ボルダー 大石川沿いに点在する巨石たち 浅井和英
気になるのは、八ヶ嶺エリアのフィストクラック(5.10)、兜岩奥ボルダーのオフウィズス( 5.10)、水門エリアのクラック(5.10)、クラック(5.11)、クラック(2級)。水神大石の楓(2段)。などなど多数。

○特集 最難Ⅱ ボルダーとクラック
信じられない話や素晴らしい写真がいっぱい。Green Spitを登るディディエが、空を飛んでいるようでかっこいい。ディディエ初登のLearning to Flyは、「オフフィンガーサイズのジャミングで、キャンパスムーブが15mにわたりつづくという。」
・グランドイリュージョンとスティングレイ 今井考
・「スティングレイ」と戯れた時間 鈴木貴
・世界最難トラッドの行方 ジョン・コーフィールド
 ジェームズ・ピアソンによるThe Walk of Lifeのグレードと、Dave MacLeodのRhapsodyの限定について。
・エピタフの完成とそのグレーディング 小山田大

○クロニクル
東北、傾城森。山寺の《正夢》。古賀志、藤岩。笠間ボルダー、ブラックサンダーのホールド指定トポ。二子山、星ニ願イヲ。小川山、手の平岩、思い出のビスタ。太刀岡山左岩稜。竜頭泉、アイオロス。大分、八面山、中部エリア。
・Final Mission完登までの2年 田嶋一平

○城ヶ崎トラッド10選 杉野保
アトミックハング、おとじろうハング、神風、びしゃごクラック・センター、ゴミステーション、サイクロン、ホシナクラック、ハイプレッシャー、モータードライブ、タランチュラ。
サイクロンの抜け口のムーブがとっても面白そうです。

○岡野寛の岩旅 大分県日田、竜体山ボルダー、福岡県糸島半島、仏崎海岸ボルダー

○Said Belhajというクライマー

盛りだくさんでとても面白いです。

2015年10月25日日曜日

BETA@曙橋

ちょっと前のことですけど、曙橋に新しくできたクライミングジム、BETAに行きました。

曙橋にこんなものが?と疑うのに十分な高さの壁です。

課題も非常に面白い。斜めに飛んでクロスを出す変則ダブルダイノとか、凹角とかカンテとかの形状をうまく使った課題とか、独特のものが多いです。体験したことのない身体の動かし方を身につけることができそう。運動全般のセンスがない僕には貴重なことです。

ダブルダイノは成功したけど、その後ができず敗退。そこもまた面白い。スラブと垂壁のコンタクトラインの激レイバック課題も敗退。厳しい。

スラブが面白いのも良い。

僕はホールドには全然詳しくないんですけど、見たことない巨大なホールドのどこがどう持てるのかわからず悩まされ、それもまた楽しい。

てことで、また行きます。

ジェットストリーム延長、濁流、対称岩@小川山

前からずっとやりたいと思っていたルート。小川山屋根岩2峰のジェットストリーム2Pを登り、終了点からクラックを登り、セレクション最終ピッチに合流するライン。以前、ジェットストリームを登った際の激しいパンプと精神の消耗の記憶から、なかなか手を出せずにいたのですが、ジェットストリームをやりたいという@rouxさんという仲間を得て、いつものパートナー松氏とともに実現しました。

ジェットストリームは2Pともフォロー。1P目はやっぱり厳しく、テンション入りました。キャメ6までをぶら下げたギアスリングが厄介。しかし、3年前と比べると、フットホールドが見えるようになって、成長も感じました。

3P目はワイドクラックをリード。テンション入りました。4峰の南陵レモンのワイドクラックを左右逆にしたような感じです。右半身のワイドと、左半身のスラブの体使いがわからず、消耗しました。こういうのをもっとたくさん登りたいです。今回は、セレクション最終Pのテラスの左の水平クラックの左の立木まで行きましたが、ワイドを抜けてセレクション最終Pのテラスにダイレクトに抜けるのが良さそうです。セレクション最終Pが混雑していたので、今回は立木から懸垂。ジェットストリーム1P目の終了点で一度切って、2度目の懸垂は空中懸垂で木の中に突っ込むことになりました。

次回は3P目のワイドをRPして、セレクション最終Pに繋げて、2峰の頂上まで上がりたいです。

あとは、烏帽子岩アプローチボルダーで濁流。右カチが保持できず、そのあとのムーブを作れず、失敗。さらに、いつも通り対称岩3級で敗退して、終了。

ルーフクラック完登@八千穂高原から、松原湖ボルダー

八千穂高原の空は雲に覆われ、林は霧に包まれ、道は黒く濡れている。登れるのか、登れないのかと、ルーフクラックへ向かう足取りは少々重い。でも、終わってみると、雲の合間から差し込む少しの光までも美しく見えました。目に見える景色なんてものは、心の持ちようでいくらでも変わってしまうことを知りました。

ルーフクラック。前夜に、ダイバーさんから行ってきますの連絡を受け、じゃあ僕も!と便乗させてもらいました。

1週間前に敗退して以来、悶々と考えていた抜け口のムーブが大当たり。1回目で成功しました。ダイバーさんも1回目で成功。お互いに朝から用事を済ませ、遅い集合で、二人揃って一度で完登という最高のクライミングとなりました。

そのあとは、ロッヂ八ヶ嶺でカレーを食べながら午後のエリアを相談。二人とも帰りは早いということで、一番近い松原湖ボルダーを選択しました。

広い空と、木立と、稲刈りを終えた田んぼと、やさしい農作業のおじさんと、とても素敵な雰囲気の場所でした。訪れるクライマーはいないようで、岩には苔と埃がたっぷり乗っていました。もったいないことです。

下の唐松立岩エリアの双子岩のカンテ(3級)と、上の唐物大岩のハング面にある日本略記(3級)、カルデラ(1級)、唐物(2級)は立派な課題でした。登りたいです。しかし、大掛かりな掃除が必要でしょう。特に唐物大岩は、ロープを使った掃除が必要です。小川山という一大エリアから遠くないこの場所に、わざわざ掃除をしてまで登りに来るクライマーはいないでしょう。ほんとうにもったいないことです。

比較的きれいだった松の木岩の右カンテ(2級)を登りました。持ちづらいホールドを押さえつけて、苔と松の枝をじゃりじゃりと鳴らしながらヒールで乗り込む、なかなか楽しい課題でした。上部は木の枝で覆われていて、トップアウトは断念。マントルを返して終了としました。

帰り道の田園風景は、より一層美しく見えました。

2015年10月21日水曜日

ルーフクラックday2@八千穂高原ボルダーから、瑞牆ボルダー

小川山でバイシクルダイクのムーブ固め!と計画を立てた週末、雨雲レーダーとにらめっこし、廻り目平のすぐ手前まで行ってみると、雨で登れなそうな様子を察知し、事前の計画通りに八千穂高原ボルダーへ転進しました。

ルーフクラックday2!

前回は松氏&ダイバーさんと雨でビショビショの岩にビビりながらぶら下がったルーフクラックは、今回は良いコンディションでした。

まずは、上からロープを垂らして、苔まみれ、落ち葉まみれ、泥まみれの上部と、埃が乗ってザラザラの上部クラック内のお掃除。浅井さんの初登から4年。この岩はほぼ自然に帰っています。秋は落葉樹の葉が降り注ぎ、冬に氷で固められ、春は融け出した水が流れ、夏は林の湿った呼吸に包まれ、あっという間に苔に覆われるのでしょう。この岩を登るのであれば、残念ながらロープによる掃除は必須のように思われます。浅井さんもやはりロープにぶら下がったのでしょうか?それにしても、藪に囲われて遠くからは視認できないこの岩をどうやって発見したのか、謎です。そして、このルーフクラックを発見した時の興奮はいかばかりか。

追記
ロクスノをよくよく読むと、このクラックは以前からカムでリードされていて、それを浅井さんがボルダーとして登ったということのようです。

そんなことを考えつつ、ムーブ探り。高さがあり、ルーフに張り付いて体がほぼ真横になる態勢にビビりながらも、早々にリップまでは到達。しかし、抜け口のムーブが最後まで見つかりませんでした。フェイスのホールドか、ジャミングか。右手か左手か。体をどちらに向けるのか。足をどう処理するか。悩みながらムーブを探り、高さのあるリップから何度も飛び降りました。よく考えたら、これだけの傾斜のルーフからの厳しい抜け口のムーブはこれまで体験したことがなく、ムーブがわからなくても不思議ではありません。

一度は、ジャミングがすっぽ抜けてコントロールされない落ち方をして、スラブに叩きつけられ、マットのないところに落ちて、かかとを下の岩に強打しました。大きな怪我にはならなかったものの、数日経った今でも痛みます。捻挫、悪くすれば骨折していてもおかしくない状況で、反省。

結局、最後まで抜け口のムーブはわからず、雲に包まれ湿度が上がり岩が湿ってきたために危険も感じて、敗退となりました。

この岩のシーズンは短いでしょう。夏の湿り気が飛んで、冬の雪に包まれるまでの極僅かな期間だけではないでしょうか。さらに、来年はキシャヤスデの大発生の年になるはずです。この秋の間になんとかしたいものです。

そのあとは、瑞牆の岩と岩の隙間の掃除。雨でびしょびしょでした。この日は、瑞牆は立派な雨でダメ、小川山は雨は朝だけで1日しっかり登れたそうです。前回少しだけ試みた隙間は、例の隙間とは別の隙間であることが発覚。前回の隙間も本当の隙間も、上部を掃除して、次回のトライに備えました。これも登りに行かないと。

2015年10月13日火曜日

ROCK & SNOW #69

ロクスノ69号(2015年、秋)。結局、八千穂高原新エリアが最も注目に値する記事でした。



○岩場整備についての私見 菊地敏之
いいですね。新生湯河原幕岩正面壁ルートリスト(グレード改定含む)あり。
「われわれがやっているのは、日本全国共通の認識のもとに行っている(はずの)ひとつの文化としてのフリークライミングである。ルートには、そのルートを存在させるに足る妥当性というものが必要とされているはずで、そうしたルートを登ることによって、われわれはフリークライミングという行為を理解し、この文化を継承していくことができる。」
「だから、そいうした妥当性に欠けるルートは、この文化を阻害するものとして、速やかに削除しなければならない。」
この考えと、岩にツタが伸びていたらひっぺがしなさいという考え方は、180度違う方向を向いていますね。個人的に魅力を感じるのは前者です。でも、全国共通でないローカルな認識があってもいいんじゃないかという気もします。

「岩場の運命は、その岩場に通うクライマーたちの手に委ねられているということも、最後に言い添えておきたい(そういった意味ではボルト打ち替えは、リピーターとしてその岩場に実際に通う人たち、かつ開拓者ではない第二世代があくまでするべきだと思うのだが、それについては別の機会に・・・)。」
開拓者ではないという部分については別途説明があるので、本文をご覧いただくとして、人気ルートを求めて岩場を渡り歩くクライミングが全盛のこの時代、岩場に通うクライマーなんてのはあと10年もすれば存在しなくなると思います。

○特集 瑞牆山再発見
フロンティア・スピリッツから『瑞牆クライミングガイド』が発行されたことを受けての特集。

・内藤直也氏によるいくつかのルートの紹介

・佐藤裕介「50ピッチ継続クライミング」、「最難ルートハシゴクライミング コスモスと自由登攀旅行」、「ガイドの仕事で新ルート開拓」

・倉上慶大「瑞牆マルチ登攀手記」
Sky Rocket、静寂のバルジ・ダイレクト 

○ドーンウォール 今、あらためてそのすごさを解析 杉野保
トミー・コールドウェルとケビン・ジョージソンによるドーンウォール・フリー化にについての杉野さんの解説。

○エル・キャピタン ハートルートのフリー化
オフ・フィンガーのクラックを靴を脱いで初登したあのMason Earle(メイソン・アール)が、1970年初登のハートルートをフリー化。



○スペインのボルダリング
エスコリアール、ラ・ペドリッサ、オージャ・モーロス、アルバラシン、タリファ、ペナ・コルネイラの紹介と、素敵な写真。

○八千穂高原新エリア 浅井和英
一級のルーフクラックに注目。

○河又の岩場 《有朋自遠方来》

○御在所 中尾根バットレス 《君へのメッセージ》
カリフォルニア・ドリーミング左に、大平栄さんが、単独、グラウンドアップで初登。

○柴田朋広インタビュー

○アダム・オンドラ インタビュー

○クリップ考察 東秀磯

その他いろいろ

2015年10月6日火曜日

濡れた岩にチョークを乗せると...

前からちょっと気になっていたこと。チョークまみれの岩の写真をsnsにアップロードして意識の低いクライマーを罵倒する人たちが時々現れます。あのチョークって、本当に意識が低いクライマーがやってることなんでしょうか?

実験。


石ころを拾ってきて、


濡らします。


軽くタオルで拭いたのち、チョークを乗せて、


ブラッシングして落とします。色は最初とさほど変わりません。ところが、


乾くと真っ白に変化。


再び濡らして、ブラシで磨いて、


乾くと、それなりに黒くなりました。

チョークは濡れていると黒く見えて、乾くと白くなる。雨後の濡れた岩にチョークを乗せてブラッシングすると、一見チョークが残っているようには見えず、当人は十分にチョークを落としたつもりになる。けれども、実はしっかり残っていて、岩が乾くと白くなる。そのタイミングで、写真が撮られ、罵倒される。そんなシステムになっているようです。

湿った岩にチョークを乗せるのであれば、水をばしゃばしゃかけて流すくらいの覚悟が必要、という話をしないとね、という話です。

2015年10月5日月曜日

《シルバーフリーウェイ》@瑞牆



瑞牆《シルバーフリーウェイ》!。本当に素晴らしいルートでした。

瑞牆でルートを登るのは初めて。@rouxさんに誘っていただき、Nさんと3人でいってきました。片道1時間超のアプローチ(急登含む)あり、一部記録ではRの付くルートあり、ワイドクラックありで、非常に負荷の高いルートでした。瑞牆本の写真に衝撃を受け、いつかは登りたいと思ったルートを登る機会を得て、本当にありがたいことです。

1P目

1P目。@rouxさんがリードするかどうか悩んで辞退し、Nさんリード。Nさんは1週前に2P目まで登っていて、ここは2回目。スモールカムとナッツとスリングのプロテクションがテクニカルで、初心者には厳しいです。ムーブは10台前半ですが、厳しいエッジングとスメアリングが続く典型的などスラブのセクションが長くて、アナサジ・ピンクのサイズが大きいのでずっと足指に力を入れていないといけなくて、限界に近かったです。しかし、Nさんは僕のよりずっとぶかぶかのシューズで余裕を持ってリードしてました。シューズではなく自分の足指に頼ってスラブを登る経験を積めば、きっと強くなれるはず。Nさんは、スラブの実力も、プロテクションの技術も、ロープのマネージメントも、すべてが遥か高みにありました。さすが開拓クライマー、勉強になりました。

フレークのプロテクション

2P目。こちらも一部の記録ではRの付くスラブ。このルートを登るからには1P目をリードしたいと言っていた@rouxさんが、1P目は断念したものの、このピッチはリード。最初から「フォローさせていただきます」という考えの僕とは、心の持ちようが違います。これは見習わねば。それから、壁を見上げて「75mもあるように見えない」との発言に驚きました。普段奥多摩の小さな岩を登っている僕には、200mはあるように見えていましたよ。

3P目

3P目。ワイドクラック。3人で3Pのマルチに来てフォローのみ、そんなことでは家に帰ってから振り返って後悔するに違いない。そう思い、リードしました。5.10aのワイドクラックということで、自分の限界を超えてるので、気が重かったのですが、実際登ってみると楽しかったです。成長も感じた。最後の最後で木の根をつかみましたけど、人工物以外はなんでも使う主義ですので、まあいいでしょう。キャメ5、4×2、3×2、2×2を持って行って、使ったのは、5、4×2、3、2。


上からの景色は最高でした。富士山もくっきり。周囲には無数の岩峰がそそり立っていて、次はあそこが登りたい!なんて想像が膨らみます。瑞牆に魅せられた人々の気持ちが少しだけわかったような気がしました。


終了点からさらに歩くと、ピナクルがあり、そこにはワイドクラック。登りました。出だしがハングしていて、なかなか楽しかったです。一段上のトンネルに潜り込んだところで、今回は終了。そこから上は先が読めません。この辺りの判断には、アルパインをやってる人に一日の長がありますね。いつかその先に行ってみたいという思いを残して、下降しました。1P目の終了点で切って、2度のラペル。

上のワイドクラック

ちなみに、アプローチの帰りの2回目の懸垂支点(つまり、たぶん最初のフィックスロープ。結び目のないロープとあるロープの2本があるところ)の木は死んでいます。気をつけて。

最後はヘッデン下山。駐車場まで降りた頃にはバテバテのヨレヨレでしたが、栄養補給と休憩ののちにちょっとだけ元気になったので、ルーフのワイドクラックのボルダー(つまり、石と石の隙間)のムーブを探りに行きました。ライトに巨大な蛾が集まってきてホラーだったので20分で撤退。しかし、なんとなく雰囲気はわかりました。以前登った《言葉岩とダブルカンテの岩の隙間》と似たような感じです。


最後まで楽しめて、最高の1日でした。

2015年10月1日木曜日

岩は落ちるという話し

某ブログで、地震が起きたら落っこちそうな瑞牆の巨大な岩とか、実際に落っこちた城ヶ崎の岩とか、ずり落ちて隙間ができた瑞牆の岩とかの話しを見て、思い出したこと。

ディープ・ウォーター・ソロで名高い秋川流域・アメリカ淵の岩です。よく登られている左のラインは良いとして、その右に注目。

これは、先日見に行って撮った写真です。


こちらは、風待ちさんが2012年に登った際の動画から拝借したもの。


ぶら下がっている三角形のハングが丸ごとなくなっています。

過去の記録をたどってみると、2014年6月にはこのハングはまだあったようで、2014年から2015年にかけての秋・冬の間に落ちたのではないかと思われます。僕の想像では、本体とハングの間に生えた木や草の根で隙間が次第に広がって、最後に地震か台風の増水でごろっと落ちたのではないかと。

某ブログにも書かれていた通り、岩は落ちる可能性があります。上部に木や草が生えている岩は特に注意が必要と思います。例えば、御岳の某有名ボルダー。下部のホールドの崩壊が進んでいて、岩自体の傾きの変化があるのではないかと疑います。上に立つと、岩を一周するような形でクラックが走っていて、草が生えています。大丈夫でしょうか?