2016年3月31日木曜日

ずりずり業務連絡

有志の会の皆様へ、業務連絡です。

まずは冗談みたいな割れ目です。


この隙間を目印にして、この真上に、二つの隙間があります。

左は、このエリアでは意外となかった正統派ワイド登りで、楽しいです


右は登れてません。登って下さい。ちゃんと掃除して乾けば、気合いで登れると思います。


それから、もう一つ。凹角と閻魔帳の間の遊歩道上の隙間。これも登れてません。登って下さい。難しいと思います。ムーブはハンドジャムが決まるものの全身のワイド成分が高く、テクニカルでアクロバティック、そして難解。


一筋縄ではいかなそうなので、みんなで知恵を出し合って登るのがよさそうです。再びズリズリ有志の会の開催を求めたいと思います。

この他、つるつるワイドのすぐ下の、松氏が登ったクラック。SDスタートで、シンハンドから一手のフィンガー。とてもいい課題です。


さらに、かなり遠いですが、橋を全部渡って、尾根を越えて、階段を降りたところの対岸に、ハンドからオフウィズスに広がるなかなか立派な割れ目があります(未登)。歩く価値ありです。その左のスラブ&ルーフ状の凹角は、楽しめるかどうかわかりません。

2016年3月19日土曜日

何としてでも登りたいday1

2016年3月中旬

天気が良かったので思い立って、かぶった凹角day1。離陸に苦労してイライラ。日本一イライラする課題かもしれません。肩への負担も考慮し、早めに終了。何年かかっても必ず登りたい課題です。親指プッシュムーブを多用して、翌日は手のひらがバキバキ。

隙間のお掃除。順番に掃除してたら、目的地までたどり着けず。可能性は無限大です。

PEAKS #59

久々の文献購読。PEAKS59号(2014年10月)。


○山岳スーパースター列伝 草野俊逹 
筆者は、森山憲一さん。最近よく名前を目にするクライミング・ジャーナリスト(っていうの?アウトドア全般か?)。「石の人」草野さんの学生時代からの「伝説」。

伝説その1。草野さんは女子大の石垣でトレーニングに励み、変人扱いされていた。トップクライマーの間では常識であった派手なタイツを拒否し、頑なにジャージを履き続けた。

どこで読んだのか忘れたけれど、山岸尚将さんも草野さんと同じ大学で、当時、「これを履かなければ強くなれない」と言われてタイツを履かされそうになり困ったと書かれていたような。どちらが真実でどちらが伝説なのか?

日本フリークライミングルート図集には、草野さんがド派手なタイツを履いて河又のマンモスケイブを登っている写真が掲載されています。ということで、森山さんが紹介されているエピソードが「伝説」。

伝説その2。大人気のボルダリング・エリア「御岳」の有名課題の多くは、20年前に草野さんがたった一人で作り上げた。

たった一人?草野さんに先立つ池田功さんの功績や、草野さんに続いた室井登喜男さんの業績はどこに行った?これも「伝説」。

筆者も書かれている通り、どれも「伝説」。読者であるハイカーに、クライマーって変な人って思ってもらって、笑ってもらうためには、すごくいい記事なんだと思います。

○Because it it there... なぜならそこに山があるから vol.50 田中幹也 文・寺倉力
たまたま読んでとてもよかったのがこれ。「ちなみに田中は49歳になった現在まで、一度として定職に就いたことはない」。素晴らしい!
何も仕事はしないけど給料を払ってくれる会社は見つかったのだろうか?

2016年3月15日火曜日

初めての城ヶ崎クラック@日蓮

空・海・岩

ダイバーさん、もびさん、のりさんと、日蓮でジャムジャム。はじめての城ヶ崎です。もしかしたら一生行くことはないんじゃないかと思っていた城ヶ崎。

城ヶ崎といえば冬の岩場。冬でも半袖のぽかぽかクライミングが約束されている、はずでした。しかし、僕は伊豆方面でのクライミングでは寒い思いしかしたことがありません。この日も曇りで、風もあり、寒かった。岩も冷たく、1本目は熱湯ボトルをチョークバッグに忍ばせ、その後も熱々カイロを握りながらのクライミングでした。

それでもお昼過ぎのいっときは太陽が雲から出てきて、暖かな日差しの中で岩の上に横になって、キラキラと輝く海を眺めならが気持ちの良い時間を過ごすことができました。

クラック

本題のクライミングはというと、前傾クラックに対応できず、惨敗でした。

まずは、イブ。4回やって、RPできず。

最後のトライで、いいところにジャムがきまったら大きなムーブを起こす感覚を理解できて、いい経験になりました。右手を伸ばしてジャムをきめ、左手を添えて左足を高いところにあげたら、一気に左手を屈曲部のオフフィンガー。

それから、足。変にフェースのフットホールドを探さず、フットジャムにこだわる。

X4が…

出だしのカムの回収不能騒ぎのおまけつき。これまた勉強になりました。ハンマーは必携ですね。あと、ダイニーマのスリングも必ず持ち歩くことにします。

それからインディアンドール。リード1回と、回収で急いでTRで一回。上部の右上クラック部分のムーブが解決できずに終わりました。

シンハンドのクラックにぶかぶかの再利用テーピングはダメですね。回収TRのときにテープなしでやったら、断然ジャムがききました。ただし、三角形の最上部の2つのジャミングは、クラックの縁が立っていて激痛です。面倒臭がらずにその都度綺麗にテープを巻かないといけません。

穴の中の丸い石

全般的に言って、エブリデイ・ジャムジャムでの練習の甲斐あり、このレベルのクラックに関してはジャミングは十分に理解できているように思います。しかし、複雑な岩の形状に即座に応じてジャミングを効かせることができません。特にオフフィンガーについては、ついついホールドを求めてしまいます。

さらに、足さばきを中心としたムーブの組み立てでつまづきます。

時々晴れ間

経験豊富な人たちと登って、多くのことを学びました。もっとたくさん登りたいです。

2016年3月7日月曜日

第3回・隙間でズリズリ有志の会

前回は河又に場所を変えてズリズリしたので、かなり久しぶりになってしまった、第3回隙間でズリズリ有志の会。じゅんさんも加えたフルメンバーで開催です。

本題は氷由来の染み出しにより断念。大掃除をして次回に備え、次の隙間へ。


まずは左。ワイドボーイズのセンチュリークラックでも言われているように、ハングしたクラックは抜け口のムーブが核心になります。それをボルダーに置き換えると、隙間のボルダーはマントルが面白い。名作です。

次は右。

吐き出されるサイズ

両足を突っ込んでのぶら下がりムーブはダメ。これはVedauwooのSquatの動画で学んだことですが、両足ぶら下がりムーブにおいて推進力を生むのは、手です。押せる外のホールド、もしくは引けるリービが決まるサイズの隙間がなければ、ぶら下がりムーブは機能しません。

ということで、半身を突っ込む根性ワイドムーブで完登しました。マントルまで悪くて、一級品です。

その後は、隙間を探し歩いて見つけた、フィンガーサイズの細い割れ目。隙間でズリズリの本来の活動からは外れますが、この日の課題は全て片付けたので、登りました。


ジャスト180度のルーフ、第一関節ジャムサイズで、終始足先行。ムーブを作って登ってしまったダイバーさんすごいです。僕も真似してなんとか完登。スタートの第一関節ジャムが特に勉強になりました。

一日中ルーフに張り付いていたので、腹筋が気持ち悪くなって、帰りの運転は代わってもらいました。

まだまだ続きます。

2016年3月4日金曜日

隙間@大丹波ボルダーから、北秋川ボルダー


ずいぶん前から掃除しっぱなしになっていた大丹波ボルダーの隙間がありました。掃除しっぱなしで登らないのは良くないので、ダイバーさんとトライ。

じゃんけんで勝って先攻です。



正直言って、ビビりました。難しくはないですが、アームバー、チキンウィング、ヒル&トー、Tスタックと、ワイドクラックの基本技術各種が要求され、楽しいです。奥多摩におけるワイドクラック・ボルダーのスタンダードと言っていいのではないでしょうか。高さがあるので緊張感もあって、嬉しさ2倍です。今後ワイドクラックをやっていくのであれば、上部も外に逃げずに中を突破できないといけないのだと思います。怖いから無理でしたけど。

ダイバーさんも一撃して、目標を達成したので、あとは北秋川ボルダー。

まずは、以前掃除した、丸い岩。


マルガリ的な奮闘マントル課題になるかと思いきや、以外と簡単でした。

次は、そのすぐ後ろのかぶった岩。


右下の石が邪魔でスタートでもじもじしましたが、ダイバーさんが直上で完登。僕は敗退。

次も、以前掃除した丸い岩。


スタートのホールドが少々中途半端な位置ですが、地球の歴史を感じさせてくれるスタートということで、ここです。


上流のエリアにもあった、石灰岩の中にめり込んだ何か。


玄武岩?このホールドのフリクションを頼りに離陸するのが厳しく、どはまりしかけました。ダイバーさんがナイスムーブを発見して、完登。僕も真似して初手に成功。しかし、マントルが思いの外難しくて、そこでもどはまりしかけました。なんとか完登。

今回登った岩の中で一番期待していなかった岩ですが、一番面白かったです。やってみないと分からないものです。

最後はお決まりのコース、カバくん。


頭がついてますよー。

僕も一緒にマシンガントライ。最後に再登に成功しました。何度やっても難しいし、登れると嬉しいです。カバくんは第3登まで出ていてこの周辺のエリアでは最も登られている課題です。

いい一日でした。

2016年3月2日水曜日

フィンガージャムのテーピングに関する試論

エブリデイ・ジャムジャムで練習中のフィンガージャム。今のところ、テーピングなしでやってます。テープすると、感触が変わるので、ジャムが効く感覚を理解するまではテープなし。ジャムの感覚を習得できたら、テープを使うことがあるかもしれません。

と考えていたところで、フィンガージャムのテーピングについてS條さんから問題提起があり、また、ストレニュアスなフィンガークラックでは指の保護も重要との指摘を受け、僕も考えてみました。

1 フィンガージャムのテーピングの条件

フィンガージャムのテーピングには、ハンドとは異なる困難さがあります。幾つかの条件を満たさなければなりません。
  1. ズレないこと
  2. 指が曲がること
  3. 皮膚の柔軟性が失われないこと
  4. フリクションが失われないこと
  5. 指が太くなりすぎないこと
  6. めんどうでないこと
といったあたりでしょうか。難しいのが、これらの条件の幾つかはトレードオフの関係にあることです。順番に見ていきましょう。

1-1 ズレないこと

当然ですね。テープがずれるときまったはずのジャムも外れてしまいます。最優先で確保すべき条件です。

1-2  指が曲がること

これはとても重要です。吉田さん方式のフィンガージャムは、第一関節と第二関節を曲げることを要求します。この二つの関節が曲がらなければ、ジャムは効きません。

この点において、フィンガージャムのテーピングについての数少ない情報であるSteph Davisさんのテープ法には注意が必要です。以下の動画の後半で、フィンガージャムのテーピングの方法が解説されています。



Steph Davisさんは、血行がなくなるくらいreally tightに巻けと言ってますが、確実に指が曲がらなくなります。また、条件3である皮膚の柔軟性も失われます。それだと、吉田さん方式の第一、第二関節を曲げるフィンガージャムは無理です。Stephさんのフィンガージャムは吉田さん方式とは別の流派なのではないかと思います。

指を伸ばした状態で普通にテープを巻くと、指は曲がらなくなります。指が曲がるようにテープするためには、指を曲げた状態でテープすることが有効です。そうすると、皮膚の柔軟性も失われません(条件3)。ただし、指を曲げた状態でテープを巻くと、テープにシワがよります。これによって、テープがずれやすくなってしまいます(条件1の不適合)。また、できるだけシワがよらないように指を曲げた状態でテープを巻くためには、テープは細いものでなければなりません。細いテープを重ねて貼るため、指が太くなってしまいます(条件5の不適合)。

1-3 皮膚の柔軟性が失われないこと

吉田さん方式のフィンガージャムは皮膚で効かせることが強調されます。Stephさんのようなきついテーピングは、皮膚の柔軟性を失わせ、ジャムの効きを悪くします。

1-4 フリクションが失われないこと

テープをすることには本質的な問題があり、それは、テープは素肌よりフリクションがないことです。フリクションがないと、ジャムは抜けやすくなります。テープをするのであれば、フリクションを確保する方法を考えないといけません。

ただし、テープの上に糊を塗るような方法はズルをしているような気がするので、素肌よりも高いフリクションを求めることには問題があるかもしれません。

1-5 指が太くなりすぎないこと

指にテープを巻くと、指が太くなります。指が太くなると、テープがなければ指が入るはずの細いクラックに指が入らなくなります。指が曲がるように(条件1)細いテープを重ねて巻くような方法だと、なおさら太くなってしまいます。

もちろん、指が太くなることは、時には望ましい結果をもたらすこともあります。例えば、スカスカのオフフィンガーが、テープで指が太くなることによって第二関節ボンバーになったり。ですから、一長一短です。

ここでもまた、オフフィンガーが核心ムーブのクラックだからとテープを厚めに巻くようなことがあると、ズルをしているような気になりますので、注意が必要です。

1-6 めんどうでないこと

これも重要な条件です。岩場でめんどうなことはやってられません。RP狙いの1トライのためならやってもいいですが、日に何度もトライするような時は、ずれて張り替える必要が生じることもありそうです。そう何度もやってられません。指が曲がるように(条件2)かつ、シワがよってずれることのないように(条件1)テープを巻くことはとても骨の折れることです。


2 対応の基本方針

以上の諸条件の中で、指が曲がること(条件2)と皮膚の柔軟性が失われないこと(条件3)は相互に矛盾するものではなく、とても重要な条件です。そして、この二つの条件を満たすようにすると、テープにシワがよってずれやすくなり(条件1の不適合)、できるだけシワがよらないように細いテープを使うと重ね張りで指が太くなり(条件5の不適合)、テープを巻くのがめんどうにもなります(条件6の不適合)。

ということで、ボトルネックは、指が曲がるようにテープを巻くとシワがよるという点にあります。これは伸縮性のあるテープを貼ることで全面解決です。幅広の伸縮タイプのテープをバシッと豪快に貼って、終了。楽ちんです。

使うテープは、ひとまずバトルウィンのテーピングテープELでやってみました。エブリデイ・ジャムジャムでためしたところ、なかなかいい感じです。


3 テープの方法

具体的な方法は、以下のとおりです。

3-1 テープの幅

バトルウィンのテーピングテープELは、50mmか75mmしかありません。75mmは太すぎて話になりません。50mmでは短いです。そこで、半分に割った25mmを第一関節に巻き、第一関節と第二関節との間で適度に重なるように、50mmを第二関節から指の根元まで巻きます。35mmか40mmのテープがあるといいのかもしれません。工夫の余地ありです。第一関節ジャムが出てこないルートであれば、50mmを第二関節に巻くだけでいいと思います。

3-2 巻き方

テープを巻く際には、指が太くなるのを防ぐために、指の脇から巻き始め、巻き始めの部分を少し通り越して、同じ脇で終わるようにします。関節の上と下は二重にならないように。関節を軽く曲げながらテープを巻きます。テープを巻くときに関節を完全に曲げなくても、伸縮性があるので指は曲がります。シワにならないようにするために、関節部分はテープを軽く引っ張って巻くと良いです。どちらの脇から巻き始めるのが良いかと、右巻きか左巻きかも、指によって異なると思います。検討の余地ありです。

3-3 フリクションの確保

クリアできていなかった条件の一つが、フリクションです。バトルウィンのテーピングテープELは、一般的にクライマーが使っている非伸縮タイプのテープに比べると、多少フリクションが良いように思います。

そこからさらに、テープのフリクションを上げる技術を導入します。テープを水で湿らせると、フリクションが増します。この技術を導入するためには、テープに撥水性があってはいけません。撥水性のないタイプのテープを選びましょう。


4 残された問題

なかなかうまくいっていると思うこの方法ですが、幾つかの問題が残されています。

4-1 指が太くなる

バトルウィンのテーピングテープELは、一般的にクライマーが使っている非伸縮タイプのテープに比べると、厚手です。重ね張りしないとはいえ、指が太くなります。この点は、今回の方法の最もクリティカルな問題かもしれません。特に第一関節ジャムでは影響が大きいような気がします。どの程度影響があるかは、もう少し実験を繰り返して判断する必要があります。

この問題は、より薄いテープを探すことで改善できるかもしれません。候補はあるのですが、入手が少々大変そうです。手に入ったら実験して報告します。

4-2 ずれないのか?

テープの最も大事な条件は、ずれないことでした。バトルウィンのテーピングテープELは、木枠のエブリデイ・ジャムジャムでは、ずれません。花崗岩の結晶が食い込むようなクラックではどうでしょうか?厚みがある分、結晶の食い込みには弱いかもしれません。実地投入で実験する必要があります。


5 まとめ

以上、フィンガージャムのテーピングについて考えてみました。伸縮性のあるテープを巻くことでほとんどの問題を解決してしまうという、非常に大雑把な対応でしたが、一応の解決にはなっているように思います。本物のクラックで試してみて、また報告します。


追記
ガビガビの岩だと結晶が食い込んでずれてしまい、全然ダメでした。大失敗。