2023年12月28日木曜日

フラットホワイトday8


 久々にフラットホワイト・プロジェクト。2017年12月以来の6年ぶり。

背面の正規アプローチを使ったら、落ち葉斜面のアプローチに大苦戦。これから何度も通うのであれば、アプローチは考えた方がいいのかもしれない。

上まで上がって、フィックスを張って、岩の掃除とムーブ確認を行った。上部スラブコーナーに松の落ち葉が溜まっていたり、まだ掃除が必要。面白いことに、ここは重力と下から吹き上げる風の力が拮抗して、ちょっとしたコーナーの出っ張りとか小枝とかに落ち葉が堆積する。落ち葉を叩くと風に巻き上げられ、目の中に入ってくる。次回は作業用メガネを用意したい。

クラックのレストポイントから上のムーブを探ったら、やっぱりムーブはある。問題は自分に可能かどうか。レストポイントから5mのランナウトで、アヤしいマスターカム黄。ここは旧マスターカムしか効かないんじゃないかと心配してたけど新マスターカムも効いたので、安心した。フォールでヘッドが折れないかが心配ではある。そこから、紫、オレンジ、青か。で、ハング帯の最終局面は大きなデッドポイント?こんなにフィジカル的に厳しいルートは登ったことがないし、こんなにプロテクションが厳しいルートも登ったことがない。順番を間違ってるのは間違いなさそうだ。



重いロープを引きずった上部スラブも自信なし。

そもそも、ぶら下がってハング帯まで降りた時に、壁の大きさに圧倒されて、もうダメだった。普段登ってる岩と大きさが違いすぎる。このプロジェクトと真剣に向き合うのであれば、まずはこの壁の中に留まっていることに慣れるところから始めないといけない。


2023年12月25日月曜日

アメジストライト@昇仙峡

西條さんに誘ってもらって、昇仙峡へ。ガミケンさん、(会うのは)初めましての奥平さんも一緒。奥平さんは以前からこのブログを読んでいただいていたそうで、それをきっかけにセンチュリー・フォー・カラーズを登ったりしたそうで、嬉しいことです。最近はSNSがあるからってことでブログをサボってたんだけど、SNS全盛時代はもう終わりそうだし、真面目にブログを書こうと思っている。

いつもの駐車場に集合して、行き先はアメジスト。センチュリーは3パーティー?6人いたとか。センチュリーは美しいですからね。

アメジストライトは強烈だった。下部はスラブで易しくて、中間部の出だしはクラックの外のカチとピンチ。その上がジャミング主体のムーブになり、サイズは、効きの良い第二関節フィンガーの間をシンハンドかサムロックでつなぐ感じ。ハンギングブロックを挟んだ上部の入りが最大の核心か?左手のシンハンドに向かうための右手のジャムが僕には中途半端なサイズ。それから、左手の甘いシンハンドで我慢して、上部の縦カチにデッド?その後どうするかは今回はさっぱりわからない。



アメジストライトは一回だけやって、あとは周辺散策。

最近は難しい課題に何度も通ってRPするようなクライミングからはすっかり離れてしまっている。今回、アメジストライトを触ってみて、なんとなくやる気が出てきたので、しばらくこのクラックと向き合ってみても良いかもしれない。気温は低くても日当たりが良いので、このエリアは冬でも動けそうだし。

前回の兜山ボルダーに続いて、良い刺激をもらった一日であった。

北極男・兜山ボルダー

 ずっと行きたいと思っていた冒険研究所書店を訪れることができた。

https://www.bokenbooks.com/

ここは、「日本唯一の北極冒険家」荻田泰永さんが運営する書店。小田急江ノ島線という僕とは全く縁遠い場所にあるのでなかなか訪れる機会がなかったんだけど、藤沢に用事があって、ようやく。本のセレクトが素晴らしく、読んでみたい本だらけで困った。断腸の思いで10冊ほど購入した。早速、荻田さん自信の『北極男〔相補版〕』を寝る前に読み始めたら、面白すぎて寝れなくなって困った。

印象に残った話はたくさんあったんだけど、その一つは自由についての話。制約の下で自ら判断をしたときに、自分が自由であると感じる、という話。自由を感じるのは決めた後、というところが、なんか良い。

もう一つ印象に残ったのが、犬ぞりの犬は走り始めてからウンコをするという話。それで、犬ってみんなそうなのかなと思ったのが、先日の兜山ボルダーで、山森さんちのキビちゃんが、アプローチを歩き始めた途端にウンチし始めた。山森さんに聞いたところ、やはり動き始めるとウンチするらしい。犬がそうなら、もしかしたら人間もそういうところがあるんじゃないだろうか?

さて、本題の兜山ボルダーは、今回は山頂下のコルのエリア。東面はめちゃくちゃ寒くて途中で動けなくなるかと思ったけど、なんとか復活して頑張って登った。正直言って僕のクライミングは相変わらずぱっとしなかった。しかし、一緒に登ったくさのさんとお話したり、くさのさんのクライミングを見たり、くさのさんにスポットしてもらったりして、学ぶことがめちゃくちゃ多かった。落ちそうなホールドが落ちないように優しく登ることとか、立って手の届くところから自然なラインで登る贅沢なクライミングとか、こりゃマットなんかいらんよなと思わされるスポット技術とか、いろいろ。《ひも》とか《にら》とか個性的なネーミングが有名だけど、課題に名前をつける発想も面白かった。写真の課題を登って名前をつけてて、その名前はホールドの形状に由来するんだけど、登った後に下に降りてくる最中に名前が思い浮かんだそうだ。多分、登ってる間に目に入ってくるいろんなものが、登ってる間は登ることに一生懸命だから情報として処理されず、わずかな時間をおいて下降中に情報が処理され、イメージを結んで、そのイメージから名前がつけられる、ということなんじゃないかと思った。すごい面白い。




この課題は登れなかったので、また行かないと。2023年も終わりかけ。とてもいい刺激を受けた一日だった。

そういえば、くさのさんが山の斜面を駆け下りるスピートは犬並みに速かった。

2023年12月8日金曜日

北秋川ボルダー・2024年12月

 ようやく隙を見て、北秋川ボルダー。対岸の課題の可能性を探った。

乾燥した手に乾燥したスローパーの相性が悪く、全然持てない。ホールドを川の水で濡らしてなんとか前進が可能になった。ちょっと遠いアンダーホールドに右手を出すときの右足のフックのかけ方に工夫ができて、わずかな進歩を得られた。

岩は冷たく、本当ならばもっと暖かい時期に行くべきだが、この岩は夏は結露していることが多い。4月頃がちょうどいいのかもしれない。

何しろ下地がこれなので思い切って動くことができないのが難点である。川を渡って取り付くのもつらい。


最後は川に流されてフィニッシュ。





2023年12月4日月曜日

白岩滝ボルダー

 山森さんと白岩滝ボルダー。

山森さんは《麻生バルジ》をさらっと完登していた。しかも、悪いホールドで耐えることで安定したムーブを選択して。流石である。

その後は、《サンライズ・クリスタル・フェイス》。今回ようやくこの課題の下部のライン取りが定まった。左の顕著なホールドマッチから。そこから、右手左手と出した後に右の遠くて悪いホールドを取りに行くのが難しくて、できるんだけど、捨て身のデッドで良いところを保持するのが難しい。そこで良いところを持たないと、左足のハイステップから左手を出すムーブができない。途中ホールドがパキパキ割れたりして迷走し、二手目のホールディングに2つの選択肢が出てきて、山森さんは左の方の斜めホールドだったら右手がスタで出ると言うんだけど、僕は全然できなくて、右足の書き込み力の不足と診断された。そのムーブを頑張ったんだけど、結局僕の場合は斜めホールドじゃなくてすぐ右の水平ホールドでえいやとデッドで右手を出してうまいところに当たることを願うほうが近道なんじゃないかという話に。ハイステップからの左手だしムーブは左膝が痛い問題との折り合い。



また行かないと。

ところで、左端のカンテの《白岩カンテ》はなかなかいい課題なんだけど、今回、前はそこまでじゃなかったはずの丸い葉っぱの植物が繁茂していた。放っておくと岩は自然に帰るというとても深刻な事態が迫っている。地球温暖化の進行ととともにこの問題は更に深刻なものになるだろう。どうしよう。









ナメクジスラブ2023

ひとりひとりのクライマーがどういうクライミングを追求するかは、クライミングを始めた頃に出会ったクライマーに影響を受けるんじゃないかと、なんとなく思っている。僕の場合は松島さんの存在は大きく、腕が上がらないとか言いながらいつまでも登り続ける姿は、クライマーとしての理想形の一つだ。僕がいつまでも登り続けたいと思っている課題が2つあって、一つは秋川の水滴穿石で、もう一つはナメクジスラブ。どちらの課題も何歳まで登れるかだろうかと考えると、これからのクライミングライフが楽しみで仕方ない。水滴は2022年の冬に登っているが、ナメクジスラブは2020年以来登れていない。敗退した年もあり、登りに行くことさえできなかった年もある。

2023年10月下旬から11月上旬の二日間、ナメクジスラブに取り組み、なんとか完登することができた。ナメクジスラブを何歳まで登れるかチャレンジの記録を43歳に伸ばした。嬉しいことだ。


この冬は久しぶりにフラット・ホワイト・プロジェクトに戻りたい。


2023年9月17日日曜日

ラピュタの塔のルート

小川山でラピュタの塔のルートを登った。

ラピュタの塔というエリアは、キャンプ場の対岸、父岩の上の方に位置する。フロンティアスピリッツのガイドブックでは、アプローチ難易度が高いことになっている。遠くはないけれど、踏み跡不明瞭で確かに歩きにくいし、分かりにくい。ガイドブックの写真をよく見て、目印を見落とさないようにしたい。迷わなければ、駐車場から20分くらい。ここに、《ラピュタ》というルートがある。グレードは5.11c。《ラピュタ》は國分誠さんによって拓かれたルートだ。僕は普段は國分さんのルートは選ばないようにしてるんだけど、フロンティアスピリッツのガイドブックで内藤さんが「岩が綺麗なら⭐︎⭐︎⭐︎」と言ってて、「何もないスラブ」を登るという説明に惹かれて、見てみることにした。 

初日は、8月上旬。行ってみて、困った。ガイドブックに掲載されているトポと現状が一致しない。中間部に水平クラックが走っているのはトポの通りだが、その上下のスラブ面の右端に溝状のクラックがある。また、最上部にもスラブ面の右端に溝状のクラックがあり、そのすぐ左にラピュタのものではないボルトがある。右のルートがカンテを跨いでスラブ面に入り、クラックを超えてきている模様。さらに最も困ったのが下部で、ボルトの左に顕著な剥離フレーク状のホールドが多数ある。「何もないスラブ」という説明と一致しない。  なお、内藤さん独特の丸い岩を平面に直す方式により斜めのラインに見えるけれど、実際はボルトは真っ直ぐ上に伸びている。



登ってみると、下部は顕著なホールドを辿って10台前半か5.9。水平クラック下の溝は使っても使わなくても同じ。水平クラック上の溝も、使っても使わなくても同じ。上部はけっこう難しくて、5.11はありそう。最上部の溝を使うと難しいムーブは一つだけになって10台に収まるけど、この溝が限定であることは明らか。クラックのこっち側に右のルートのボルトがあるから。

最上部の溝は限定で、ということは、國分さんだったら水平クラック上下のクラックも限定ということにしそうだけど、ここは難易度が変わらないからどっちでも良い。大きな問題は、下部のラインどりということになる。ボルト左の多数の顕著なホールドを使うのか、使わないのか。普通に考えたら使うんだけど、これは國分さんのルート。ボルトから一切逸れずに一番難しいところだけを使って登るという設定もあり得る。使ったら5.9か10台前半、使わないとかなり難しい。さてどっち?

というところで初日は終了で、こういう時はまずは原典に当たることになる。フロンティアスピリッツのガイドブックではラピュタの塔は「1989年にチームRPにより開拓・発表された」と書かれている。1989年の岩と雪のうち2冊が家にあったので確認したけど、情報はなかった。クライミング・ジャーナルにも情報なし。それで、残りの1989年の岩と雪を確認するために都立多摩図書館まで行ったけど、情報なし。ここで行き詰まったので、最後の手段として、家にある岩と雪を端から全部読んで確認することになり、見つけた。岩と雪150号(1992年)。 このエリアの開拓は確かに1989年に開始されていたが、「1989年にチームRPにより開拓・発表された」というフロンティアスピリッツのガイドブックの記載は正確ではない。発表は1992年。ガイドブックは出典の表示をしてほしい。内藤さん、お願いします。




さて、岩と雪150号に掲載たれた記録によると、ラピュタの塔が開拓されたのは、1989年から1991年。開拓チームは、チームRPの國分誠他。《ラピュタ》、《シータ》、《パズー》、《うつるんです》の4本のルートが紹介されている。《ラピュタ》のグレードは5.11b/c。フロンティアスピリッツのガイドブックの5.11cは内藤さんによる評価だろう。岩と雪150号における《ラピュタ》の説明は、「スメアでスタートし直上。中間部の小ハング上にバランスで立ち込んだ後、微妙なスメアで核心へと向かう。最後まで気が抜けない。設定=國分、小暮、村上。初登=’89年8月14日、國分」。 

これを踏まえてルートの内容を考えると、「スタートし直上」の記載から、下部の左の顕著なホールドは全部限定であろうと推測できる。また、水平クラック下の溝も限定だろう。ボルトラインとクラックとが離れているから。水平クラック上の溝はトポに描かれていないが、そこには右のルートが入ってきているので、これも限定だろう。そして、最上部の溝も当然ながら限定。ということで、要するに、いろいろある顕著な岩の特徴は全て限定して、ボルトから逸れずに登る設定である。なんとも國分さんらしいルート。唯一分からないのは、上部で「核心に向かう」との記載。下部左のホールドを全部限定したら、核心は確実に下部。下部に比べると、上部は易しい。もしかしたら、下部左の多数のホールドのうちの一つないしいくつかは使う設定なのかもしれない。

迎えた2日目は8月下旬。結論から言うと、下部左のホールドは限定せず、水平クラック下の溝は(自然と)使わず、水平クラック上の溝は使い、最上部の溝は(限定して)使わずに登った。なんとも中途半端なクライミングになった。しかし、割り切って考えれば、疲れた足先で我慢してリップにデッドを叩き込む大変充実したクライミングではあった。僕が登ったルートが《ラピュタ》なのかどうかは知らない。多分違うと思う。なお、登った後に、下部左の顕著なホールドを全部限定してやってみたら、ムーブはできた。そして、けっこう面白い。 

この岩の登り方はいくつかある。一つ目は、何も限定せずに登るやり方。スッキリしててとても良い。しかし、わざわざここまで歩いて、その内容のルートを登る必要がるあるか疑問を感じずにはおられない。10台の良いスラブは他にもたくさんある。二つ目は、最上部の溝だけ限定して、あとは使っても良いことにするやり方。これは中途半端。三つ目は、最上部の溝と、水平クラック上下の溝を限定するやり方。水平クラックの上だけ限定とか下だけ限定とかを三つ目のバリエーションと考えても良い。どれも中途半端。四つめは、全部限定して登るやり方。ある意味では潔くはある。しかし、下部左のホールドをどこまで限定するかはハッキリしない。ボルトラインから〇〇cmまでしか使わないといった決め方が必要になる。5.11cとして登るにはこれは使えないみたいな本末転倒な考え方だ。使うホールドの15cm横のホールドに手を出さないシュールなクライミング。 そのシュールさが気にならなければ、面白いスラブのムーブを楽しめると思う。

と言うことで、結局はよく分からないクライミングで、國分さんのルートを登らない理由を再確認することになった。できることならば、目の前の岩をあるがままに登りたい。もちろん、初登者のクライミングを追体験するという楽しさもあるのだけど、この岩では難しい。イマイチなクライミングだったなと思いつつ家に帰ったんだけど、そこで思いついた。この岩はボルトなしで登れば面白いんじゃないだろうか。水平クラックをトラバースするだけでも易しいルートとして成立しそう(トラバースしてカンテまでたどり着いたあとどうなるかは知らない)。ラピュタのラインも、下部は限定せずに5.9くらいをノープロで水平クラックまで行って、そこにプロテクションをセットして上部のスラブを登ると充実しそう。溝は全部使うと10台前半ということになりそうだけど、溝がプロテクションを受け付けてくれるかは分からない。溝を限定すると、リップへのデッドポイントでしくじってグラウンドフォールするかしないかの瀬戸際(たぶんする)という、エキサイティングなクライミングになりそう。さらに、フロンティアスピリッツのガイドブックでは分からないけど、國分さんのトポでははっきりとわかるように、このルートの右下にハングがあって、ハングの中にはスモールカムかナッツを受け付けそうな箇所がある。このハングから入ってスラブにズリ上がるラインを登れればなお良い。

どなたかどうぞ。

2023年8月5日土曜日

小川山でスラブはじめ2023

 最近は通勤で消耗していたので全く気力がなかったんだけど、ようやく余裕ができたので遠出して小川山に行ってきた。

久しぶりなので、とりあえず優しいスラブでもやろうということで、左岸スラブに向かった。ちなみに、廻り目平キャンプ場の駐車場システムが変わったようで、満車のときはチケットが出てこなくて入れない仕組みになっていた。かつては満車だろうと入ることはできたんだけど。

前に登ったことがあるんだけど、最初は《ビスタの夏休み》(5.9)。僕の記憶が正しければ、ビスタというのは犬の名前だったはず。ルートは良いルート。

次は《走れメロス》(5.10a)。ボルトとカムのミックス。これも良いルート。小川山の5.10aは厳しい。

三本目は《往年の乱》(5.10b)。これは下部のライン取りがわかりにくいルートで、ボルトに沿って真っ直ぐ登るのが正解。左によりすぎると《ビスタの夏休み》に入ってしまう。じゃあどこまでのホールドを使っていいのかって言うと、すごくわかりにくい。ガバポケットはだめだろう、じゃあそのすぐとなりのダイクは?とか考えはじめるととめんどくさい。僕はこういうルートは苦手。

四本目は《ジャーマンスープレックス》(5.10c)。一回目は大きめの靴でやったら小さな凹みを全然踏めなくて、二回目は小さめの靴でやったらテンション混じりでムーブができて、三回目に完登した。10年ぶりくらいのような気がする。

最後は隣の《アルピニスト》にフィックスを張って核心部のムーブを練習して、泳いで終わり。


2023年6月16日金曜日

Rock & Snow 100号


ロクスの100号。


最大の注目は、成田啓「コイカクシュサツナイ沢冬季初遡行」だった。「登山のなかの合理的な手段として、アイスクライミングという行為がしたい」という明確なコンセプトは、「登山と切り離された」アイスクライミングがあたりまえの北海道では革新的である。そのコンセプトを実行に移すと、クライマーが求めていた通りに次から次に続く氷爆が現れ、求めていたはずのクライマーが「もう勘弁してくれ」と思うほど。もう最高の気分だったに違いない。僕はアイスクライミングはやらないけど、こんなクライミングをしてみたいと思わせる素晴らしい記事だった。

その他にもいろいろ。

イヴォン・シュイナードがクリーン・クライミングを一人で推し進めたことにしてロイヤル・ロビンスなんかをいなかったことにする相変わらず傲慢なパタゴニアの広告。


ロクスノ25年の歴史


山野井泰史=平山ユージ対談
年と共に変化があるが、自分にとってギリギリの高いところを捉えるのが得意という山野井さんの言葉。

進化し続ける秘訣・第5回、奥村優
なんか強いらしい。

小川山東股沢・七賢の岩場
稲田夫妻のルートとか、ミキペディアの植田さんの《ダイヤモンドルーフ》(5.12a)とか。岩場の混雑回避のためには、新しいエリアの紹介は歓迎すべきだろう。

楯ヶ崎・Yosemite Area
ジャミング紳士さんによるトラッドクライミングの新エリア紹介。

ナイスミドルな岩場・第16回・そうだ!「青海」があった

より高くなくより困難でもない岩稜&ルート案内
山口県・亀山「アルピナカンテ」「南峰見聞録」

クロニクル

クリス・シャーマ《Sleeping Lion》(5.15c)初登
セバスティアン・ベルト《Le Voyage》E10をフラッシュ
ジェームス・ピアソン《Bon Voyage》初登
ヤニック・フロヘ―《Return of the Dreamtime》(8C+)初登
ウィル・ボシ《Burden of Dreams》第2登
金峰山・千代の吹上・第二フェース・百八ルート 5.10b or 5.10c 5ピッチ 大平栄
瑞牆山・カンマンボロン《The Beautiful Mess》(5.12a)4ピッチ 135m 横山勝丘
など

追悼・檜谷清

水野圭介「マインドフルネス・メンタルトレーニングのすすめ」

二子山騒動のつづき
奥村晃史「二子を見て思うこと」
飯山健治ほか「R&S99に対する抗議文」
北山真「99号編集の顛末」
編集長・吉野徳生「抗議文を受けて」
ジャーナリズムについてしらなければ、前号のロクスノの対応の是非は判断できない。

アルパインクライミングを考える・第4回・剱岳と谷川岳における岩場の現状と今後に向けて 上田幸雄・菊池敏之

相澤元樹「東北ボルダー通信・第10回・岩手大船渡・吉浜ボルダー『暴れ馬』2級」

宮脇拓海「四国ボルダー通信第10回・高知土居川『ラブーン』三/四段」

倉島将吾「クライミングジムの未来・第15回」
早生まれが多いクライマーと生涯スポーツに関する示唆に富む考察

岡野寛「つらくて楽しいセッター稼業・最終回」

東秀磯「東秀磯のクライミングラボ・クライミング100年」

ジャック中根「帰ってきたかかってきなさい・第21回・禁断のムブ?『サイファー』の巻」
紐で繋いだボールの例はおかしいだろう。振る足の重さと体幹部の重さの比率を考えよう。

池田常道「ON THE SCENE・最終回」
ひっそりと最終回を迎えていた。ロクスノの転換点になるのだろうか?


2023年6月15日木曜日

ジョン・クラカワー『WILDERNESS AND RISK』

ジョン・クラカワー(井上大剛・訳)『WILDERNESS AND RISK 荒ぶる自然と人間をめぐる10のエピソード』(山と渓谷社、2023年)原著は2019年


アウトサイド誌で執筆するジョン・クラカウアーの初期の作品群。



「マーク・フー、最後の波」は、サンフランシスコのマーベリックスで命を落としたビッグウェーブ・サーファーのマーク・フー。


「火山のもとで生きる」は、火山の脅威にさらされる街。


「エベレストにおける死と怒り」は、登山ツアー産業とそれを支えるシェルパ。


「火星への降下」は、火星探索プロジェクトに向けて巨大ケーブに潜る科学者。


「転落のあと」は、シュイナード・イクイップメントの顛末。


「北極圏の扉」は、アラスカ北部に位置する「北極圏の扉国立公園」の現代社会からの隔絶。


「愛が彼らを殺した」は、荒野療法。


「穢れのない、光に満ちた場所」は、建築で現代社会に挑むクリストファー・アレグザンダー。


「フレッド・ベッキーいまだ荒ぶる」は、クライミング・バムとして生きるフレッド・ベッキー。


「苦しみを抱きしめて」は、世界の破滅。

2023年6月5日月曜日

上間陽子『海をあげる』

上間陽子さんの『海をあげる』を読んでたら、ところ構わず花を摘むおばあちゃんが「ひとの花を取るのは泥棒だよ」と諭されるシーンに出会った。場所によるのだろうけど、例えば山では植物をとってはいけないことになってるが、これを「ひとの花を取るのは泥棒だよ」で説明するのは無理だろう。


山の花にもたいていの場合は所有者はいるが、その所有者が「花の所有権を侵害された」と主張するとは考えにくい。むしろ、山で花をとってはいけないことは、花は誰のものでもない、あるいは、花はみんなのものだ、というロジックで説明されるんじゃないか。


街のロジックと山を含む自然の中のロジックは、違う。クライミングの魅力の一つがそんなところにあるのだということは疑いようがない。世間の常識をクライミングに持ち込む動きに対しては断固として争わなければならない。しかし、世間の常識の力は強く、それは容易ではない。

Wright’s Rockの立入禁止と、Right to roam

 Peak District 南部のChurnetに位置するWright’s Rockが、度重なるクライマーによるルール違反を理由に立ち入り禁止とのニュース。

https://www.ukclimbing.com/news/2023/05/new_access_ban_at_wrights_rock_due_to_rule-breaking_climbers-73336



このニュースに関し、Dave Perry 氏は5月22日のPennine Linesにおいて、非現実的なルールを押し付けてきた土地所有者を問題にする。長年誰もがアクセスしてきた自然を、新たな土地所有者が自分と友人だけで独り占めすべく、現実的でないルールを押し付けているのであり、立ち入り禁止は時間の問題だっただろうと。そして、土地所有者が自然を独占的に支配する制度に疑問を投げかける。スコットランドではこんなことにはならないと。 

https://www.penninelines.com/about


登攀禁止のニュースと時を同じくしてUKCに掲載されたのが、労働党がイングランドにもスコットランド式のRight to roamを取り入れる方針とのニュース。

https://www.ukclimbing.com/news/2023/05/labour_promises_right_to_roam_for_england-73338


Right to roamについては以下参照。

https://www.righttoroam.org.uk/?utm_content=link3&utm_campaign=news_id_73338&utm_medium=news_post&utm_source=ukclimbing



Right to roamと関連するKinder mass trespassについては、とりあえず以下のサイト。

https://kindertrespass.org.uk/kinder-mass-trespass-history/


2023年4月30日日曜日

大鹿毛(7A)完登

Horse Neck Projectと呼んでいた水ボルダリングプロジェクトを登った。 


4月から労働環境が変わって、東京の真ん中あたりに2時間かけて通勤している。この生活を3週間続けて、今年度の生活は通勤で消耗して終わることが分かった。檜原村の渓谷は遠くなった。そんなshitな生活が始まる直前にこの課題を登れたことは幸せなことだった。

《大鹿毛》とする。グレードはたぶん7Aくらい。

場所は、南秋川の支流の沢のくらかけの滝。滝の落口の方にもクライミングの対象になりそうな岩があったので、確認のためにまた行かないと。


2023年4月5日水曜日

Horse Neck Project

ここ最近取り組んでいるプロジェクト。昨年から始まった秋川における水ボルダリングの一環。ボルダリングなんだけど下が水でクラッシュパッドがいらない、水ボルダリング。



陸から取り付けて、かぶったカンテを左上に向かって登るにつれてだんだん難しくなって、それと比例するように水が深くなって安全が確保されるという、親切な設計になっている。

いちばん最近のコンディションは、気温がたぶん17℃くらいで、水温は9℃。2回で体が冷えで、頑張って3回めを出して終了。正午ごろに陽がはいるのが良い。これから暖かくなるとコンディションは向上するが、雨後の染み出しがある上に、梅雨以降は滝の水流が増して飛沫で常に濡れていると思われる。シーズンアウトを見据えて取り組まなければならない。


2023年4月3日月曜日

閻魔帳・Water Spider Project

宮下さんと飯塚さんと。

早めに着いたので《正統派》の上の土と石をどけといた。

もっと早めに着いてた宮下さんは最近ガミケンさんがのぼった有頂天をサクッと登っていた。しかも、フルシットから。

宮下さんといっしょに《閻魔帳》の上の土と石をどけてたら飯塚さんが合流。宮下さんは《閻魔帳》をサクッと登っていた。

僕は前から気になっていた手前のスラブを登った。ワイヤーブラシで苔を掃除しながらグラウンドアップで。《仔象スラブ(Baby Elephant Slab)》6級。



この左の隙間を掃除したけど、不十分。

最後はお二人が帰った後に前回から気になっていた水ボルダリング課題をチェックして終わり。Water Spider Project。



また今度。




2023年3月21日火曜日

兜山ボルダー

山森さんと兜山ボルダー。

まずはここ。



写真の岩のさらに左奥の岩とその奥の課題を二つ。写真の左の岩の左側。右の岩の左カンテ。これは被ったカンテをバシバシ系の明瞭な課題でよかった。

真ん中の左寄りから左カンテに出る課題は強烈なワンムーブがあって、敗退。


それから、下の写真のマントル練習課題。これはとても良かった。練習課題として秀逸。一日10回登りたい。



最後に、シーラカンスみたいな岩の左頬と、右頬。左頬はマントル核心。下の写真は右頬。リップの処理が人それぞれ。



シーズンは終わりかも。また今度。

2023年3月20日月曜日

閻魔帳、有頂天



 山森さん、飯塚さんと。

まずは閻魔帳あたり。閻魔帳は前回同様ゴニョゴニョやって敗退。手前のスラブを掃除して登った。苔を盛大に落としてそこそこ綺麗になったところで上の木の根から水が噴き出して、スラブのど真ん中に水流ができた。なんだあの木は。水流の左と右を登ってどっちも5級。水の樹左と水の樹右ということで。

それから、ちょっと前にガミケンさんが登った有頂天。スタートがイマイチわからなくて、完全なSDでやると離陸が精一杯。一個上からだったらできそう。で、リップからの練習でめちゃくちゃ苦労したけど頂点手前まではなんとなく分かった。これは良い課題。

また今度。


2023年1月11日水曜日

2022年のクライミングと2023年の展望

2022年のクライミングはあいかわらず散発的なものだったが、幾つかの成果はあった。

一つは、山森さんと一緒に登った《氷細工の竹とんぼ》。秋川流域にトラッドルートをという試みが一歩前進したのは良かったんじゃないだろうか。スタイルとクリーニングのバランスという大事な問題について考えるきっかけにもなった。
http://lowfatclibmer.blogspot.com/2022/03/blog-post_5.html

それから、《ヘナ〜》7aと《ひのはらダイレクト》7aという、とうげん橋エリアの二つの課題。特に前者は、下地が水のボルダリングという新しい楽しみを教えてくれた。
http://lowfatclibmer.blogspot.com/2022/12/blog-post_8.html

《ヘナ〜》のことは書いてなかったので、そのうち書かないと。

そして最後に、《富士見カンテ》-Mt. Fuji over the Arête- E1 5bと、《ウェルシュ・スクールボーイ》-Welsh Schoolboy- HVS 5aの二つのトラッドルート。こちらは、フラットホワイト・プロジェクトに戻る足がかりとして取り組んだもの。
http://lowfatclibmer.blogspot.com/2023/01/blog-post.html

さて、2023年の展望はというと、久しぶりに目標を定めておきたい。目標は二つ。一つ目は、フラットホワイト・プロジェクトに戻ること。今のフィジカルでは話にならないけど、一度戻る。最大のプロジェクトであることを忘れないように。二つ目は、秋川流域での岩探しを最低でも10箇所。このエリアでのクライミングの維持発展にどれだけ貢献できるか、やってみよう。


2023年1月10日火曜日

ウェルシュ・スクールボーイ、富士見カンテ@兜山

 2022年の終わりごろ、兜山(岩場としては兜岩?)の(たぶん)未登のトラッドルートを登った。

以前(2021年だっけ?)、山森さんと一緒に稲妻クラックを登ったときに気になっていた左のカンテに重い腰を上げようと掃除に向かって、まずは右のコーナーを掃除したらヘトヘトになって、日を改めて左のカンテも掃除して、登ったのは大晦日になった。

先に登ったのは左のカンテ。


富士見カンテ(Mt. Fuji over the Arête)E1 5bくらい

晴れていればカンテ越しに富士山をドッカーンと望めるナイスなルート。薄被りのカンテだけど、下部は段々になっていて楽ちんで、上部はフェース面のフレークの助けを得て登れた。スモールカムがバチ効きでプロテクションも問題なし。山森さんがフラッシュで第二登。

あとに登ったのが、右のコーナー。


ウェルシュ・スクールボーイ(Welsh Schoolboy)HVS 5aくらい。

広くなったり狭くなったりするコーナークラックで、こちらはプロテクションを事前に考えてなかったので、ちょっと頭を捻った。何度覗き込んでも奥の2枚のローブを目視できないセットで、たぶん大丈夫だろうしたぶん落ちないだろうと諦めて登った。上部の穴に入ったところのプロテクションも苦しかった。でもムーブはこっちのほうが簡単。

Welsh Schoolboyの方はおまけみたいなもんだけど、富士見カンテはオンサイトトライしたら結構楽しいんじゃないかと思う。