2016年1月17日日曜日

《ワイルドハート》RP@障子岩から、北秋川ボルダー

------障子岩を訪れる皆さんへ------

岩場でホールドにティックマークをつけ、それを残すことがどう評価されるかは、岩場によって異なるでしょう。何日もハングドッグを繰り返してジムナスティックな身体運動の限界に挑むことが目的となっている岩場では、ホールドを明確化する行為として歓迎されることもあるかもしれません。

障子岩は、そうではないクライミングを求める人も集まる岩場です。粉まみれの岩から自分でホールドを探し、ムーブを考え、岩と向き合う時間を求める人がいます。複雑なムーブを読み、初登者の体験に思いを馳せる人がいます。

ホールドにティックマークを残す行為は、そのようなクライミングの楽しみを奪う行為です。障子岩では、ティックマークは消して帰ってください。

分かっていても消し忘れることがあることは理解しています。僕の場合、RPの成功で高揚しているときや、失敗の悔しさにつつまれているときや、解決できないムーブのことで頭がいっぱいのときなど、つまりほとんどの場合、ティックマークを消すことは意識の外に飛んでしまいます。障子岩でも、ティックマークを消し忘れたことが何度もあります。ですから、ティックマークを消し忘れることを非難する資格はありません。

でも、消し忘れがちだからこそ、ティックマークを残さないという意識を強く持ちたいと思っています。みなさんも同じように思ってくれると嬉しいです。

より多くの人に、より豊かなクライミングを。よろしくお願いします。

------以上------


障子岩でクライミング、いつものパートナー松氏と一緒。

踊る蒟蒻

前回掃除した《ワイルドハート》(5.11a)をRPしました。下部は、離陸と初手の強度の高さ以外は、素直なムーブです。上部がこのルートのハイライト。ハラハラドキドキの素晴らしいムーブを味わえます。全長20m、登りごたえのあるルートです。《穴》、《デルパワーX》、《ワイルドハート》、一かたまりのこれらのルートは、どれも個性的で、とても面白いです。《デルパワーX》と《ワイルドハート》の間の《インタールート》はどうでしょう?文字通り両ルートの間に後から付け加えられたルートで、少々混み合っています。

目標を達成したので、12時ちょうどに撤収。北秋川ボルダーへ向かいました。石灰岩です。

一番手前のハート型の岩。

ハート型の岩

(1)右下のガバからSD、右抜け。

(2) 左のハングSD。大きなムーブで楽しい。

(3)右下のガバからSD、直上。この岩でもっとも簡単だけど、もっとも面白い。面白さの所以は、右上のホールド。

石灰岩に貼りついた石灰岩ではない何か。


例えるなら、テクニックのファットピンチのような、


うんこのような。地球の歴史を感じさせる一品です。

続いて、お隣のこの白いスラブ。

白いスラブ

(1)左手でカンテを使ってSD。

(2)右のアンダーからSD。

(3)カンテを正面突破は、掃除が間に合わず、敗退。

カンテ

次に、ガリバーの岩。髭を剃りすぎたのが痛恨のミス。ムーブとホールドの選択に迷いがあるがゆえ、実力不足でした。

ガリバーの顔

(1)右フェース、ガリバーの顎からSD。なかなか良い。

(2)左面のリップトラバースSD。今回一番苦労した。手数があって楽しい。

リップ・トラバース

(3)右フェースのさらに右を、ノーハンド。寝すぎておもしろくない岩は、ノーハンドとワンハンドの課題にすれば良いことを学んだ。




半日登るのにちょうど良いエリアでした。次回はカンテ正面突破。

2016年1月12日火曜日

《ワイルドハート》はじめ@障子岩から、《カバくん》完登@北秋川ボルダー

------障子岩を訪れる皆さんへ------

岩場でホールドにティックマークをつけ、それを残すことがどう評価されるかは、岩場によって異なるでしょう。何日もハングドッグを繰り返してジムナスティックな身体運動の限界に挑むことが目的となっている岩場では、ホールドを明確化する行為として歓迎されることもあるかもしれません。

障子岩は、そうではないクライミングを求める人も集まる岩場です。粉まみれの岩から自分でホールドを探し、ムーブを考え、岩と向き合う時間を求める人がいます。複雑なムーブを読み、初登者の体験に思いを馳せる人がいます。

ホールドにティックマークを残す行為は、そのようなクライミングの楽しみを奪う行為です。障子岩では、ティックマークは消して帰ってください。

分かっていても消し忘れることがあることは理解しています。僕の場合、RPの成功で高揚しているときや、失敗の悔しさにつつまれているときや、解決できないムーブのことで頭がいっぱいのときなど、つまりほとんどの場合、ティックマークを消すことは意識の外に飛んでしまいます。障子岩でも、ティックマークを消し忘れたことが何度もあります。ですから、ティックマークを消し忘れることを非難する資格はありません。

でも、消し忘れがちだからこそ、ティックマークを残さないという意識を強く持ちたいと思っています。みなさんも同じように思ってくれると嬉しいです。

より多くの人に、より豊かなクライミングを。よろしくお願いします。

------以上------

久々の障子岩、いつものパートナー松氏に加えて、やまとも一緒。ここのところ、障子岩にはいつも他のパーティーがいましたが、今回は貸切でした。

パワー&ストレッチのやまと

《ワイルドハート》。ホールドはコナコナ、ジャリジャリ、掃除しながらなんとか中間部のワイドクラックの入り口まで到達したものの、ギブアップ。上部のお掃除は松氏にお任せしました。下部は、この壁面に多く見られる指に優しいポジティブなポケット。上部の奥行きの浅いワイドクラックは、ワイド登りを許してくれるのか、レイバックか、登るのが楽しみです。

虫歯で腫れた顔を岩で冷やす人

早々に撤収したのち、北秋川ボルダー。《ワセリナー》は下地が悪化しており、勇気が必要。ムーブを思い出すこともできませんでした。もしかしたら、使ってた右手アンダーが欠けてるかも。

ワセリナー

僕が最初に《ワセリナー》の岩を見たのは2013年。そのとき、下地には流木は一本もなく、とても厳しいものでした。それが、2015年2月に再び訪れると、増水で大量の流木が流されて来て、ずいぶんマイルドになっていて、ダイバーさんに声をかけて挑んだのでした。そのときにダイバーさんは、二日間で、雨さえ降らなければ一日でも可能であったであろう素晴らしいクライミングで、見事に仕留めてくれました。そしてまた2015年夏の増水で、詰まっていた流木は多くが流されてしまい、2013年ほどではないものの、再び厳しいものになっています。登り時を逃した感があります。

《水滴穿石》の一帯は、上から覗き見た限り、下地が完全に水没しているようでした。この一帯は、2013年には下地がぎりぎり認められたものが、2015年2月には砂利が運ばれて来て立派な陸地が作られていました。《ワセリナー》とは逆に、こちらは短い登り時を捉えて登ることができたようです。

カバくん

《ワセリナー》の岩のすぐ脇に設定された《カバくん》は、2015年5月に僕が設定し、同日48さんが初登しました。京都の笠置にワニワニという逆上がりマントルの課題があり、それがフォンテーヌブローのCrocodileという課題のオマージュであると知った時から、奥多摩にも同じようなものができないかと考えていました。そんな中で発見したのが、この岩です。その時は僕は敗退し、その後、松氏らとともに一度訪れたものの再度敗退。今回、ようやく完登することができました。初登者の48さんは4級と言ってますが、大きな声で異議を申し立てたいです。平べったい形状からいっても、容易に岩を両足で挟める笠置のワニワニより厳しいのではないかと思います。京都までグレードの確認に足を運ぶ必要があります。3段クライマーやまとも、苦労の末に完登。松氏は宿題となりました。

第2回・隙間でズリズリ有志の会

前回敗退した隙間をやっつけるべく、第2回・隙間でズリズリ有志の会の開催です。残念ながらダイバーさんはご欠席。

狙いはこの奥で我々を待ち構える大物。


改めて見ても、立派な隙間です。左右は登れず、隙間の奥から出てくるのが唯一の弱点というのも素晴らしい。


前回のトライで松氏が発見した差し替えムーブを山森さんが発展させ、見事完登。最後まで緊張感の続くナイス・クライミングでした。松氏も同じムーブで完登。


僕は同じムーブはできず、なんとか誤魔化して最後に完登。

このエリアには、探し求めていた岩と岩の隙間がごろごろ転がっています。これは、アップで登った小さな隙間。マントルがワイドっぽい動きで、少々奮闘的。アップに最適。


それから、本題の後で登った隙間。上部がすこしばかり奮闘的で楽しい。


さらにそれを一番奥から。両足でぶら下がった後に、上半身を出すのに苦労しました。腹筋を最大限使ってジャミングやリービテーションを試したものの、うまく決まらず、正解はプッシュと肩でした。あんなに苦労していた一手が、こんなにすんなり出るなんて。力の前に技。そこから先は奮闘的なワイド。今度は肘と背中、そして足。勉強になりました。

失敗ムーブ

こちらは松氏のトライ。



まだまだ隙間はあります。再訪が楽しみです。

2016年1月3日日曜日

ブラックレインボーにはじめまして

ブラックレインボーへ。氷の世界でした。






とてつもなくかっこいい隙間でした。







あと2歩動ければというところで身動き取れず、敗退です。

スラブをランニングジャンプで気分転換。


yエリア

岩探しに行ってきた。あたりをつけて行ってきた。


かっこいい尖った岩。ダブルダイノ?登れるでしょうか?


綺麗なフェース。

奥多摩には偉大な先人がいますから、未知の岩を発見することは難しいです。

2016年1月1日金曜日

2015年のまとめ〜完敗の記録〜


2015年は、スポーツルート、スラブ、トラッド、マルチピッチ、ボルダーにバランス良く取り組めたのではないかと思います。


スポーツルートでは、《アドレナリンジャンキー》と《アーバンテイスト》という2本の厳しいルートを障子岩で登ることができました。今年の前半はすべてこの2本のためでした。どちらも苦労し、登れた時は本当に嬉しかった。

スラブは怪我と天候のため十分には登れませんでした。しかし、《南風》という面白いルートを発見し、趣味の合うクライマー数人とその面白さを共有できたのは、素晴らしい体験でした。

トラッドも、数は多くはないですが、《むかしクラック》でグレード更新。

マルチピッチでは、個性的なトラバースのルートに幾つか挑むことができました。《シルバーフリーウェイ》という素晴らしい体験も。

ボルダーは、《有朋自遠方来》。遠くから一緒に登るために来てくれる仲間と可能性を探るのが最高に楽しかった。

ということで、全方位で楽しめたのですが、いまいちパンチの効いた成果がありません。今後の展開も描けない。奥多摩でのクラック、トラッドクライミングという取り組みは進んでいます。花開くでしょうか。

それでは、目標の査定です。

○奥多摩スポーツルート
50便以上かけてルートを登る
→《アドレナリン・ジャンキー》を6日で登ってしまい、失敗。

○夏の小川山
・スラブ
数を追求
→怪我と天気により8本にとどまり、失敗。

・トラッド
数を追求
→小川山では1本のみの他、八千穂高原で2本のみで、失敗。

○ボルダー
2段を登る
→ほとんど触ることもなく、失敗。

全敗でした。


以下は、2015年に新たに登ったルートです。


ルート名グレード岩場RP日コメント
アドレナリン・ジャンキー5.12+?障子岩南東面2015年2月☆☆☆
出だしから実質終了を告げるガバ取りまでの15手。一切休めず、ずっと厳しい。
6日。
アーバンテイスト5.12a障子岩2015年5月☆☆
個性的なムーブがとても良い。
5日。
平成方丈記5.11a障子岩・三池ロック2015年2月
緊張感があって、とてもいい。バランス。
1日、3回。
デルパワーX5.11a障子岩南西面2015年12月☆☆
ストレニアスでとてもいい。
2日。
5.11a障子岩南西面2015年12月☆☆
ムーブが個性的でとてもいい。
1日、3回。
味自慢5.10d障子岩南西面2015年5月
リズムの変化と大胆さがなかなか良い。オンサイト失敗。
1日、2便。
檜原御殿5.10d障子岩・襖岩2015年4月
シビアなフットワークがとても良い。オンサイト失敗。
1日、3便。
麦畑5.10b河又の岩場2015年2月コーナーかと思いきやほぼ平面?強引に登ってしまったかも。
オンサイト。
ディスコ・バージョン5.10b河又の岩場2015年2月カンテかと思いきやほぼ平面?カチの保持力。
2日。
チーム・レットボルト5.9障子岩南東面2015年1月変なボルト。アップ向きではなかった。
マスターOS。
忍吉985.9河又の岩場2015年2月☆☆
素直なホールドで大きな動き、とてもいい。
マスターOS。



○スラブ


ルート名グレード岩場RP日コメント
南風5.10c小川山・もどき岩2015年7月☆☆☆
勢いの一歩と、そのあとのアクロバティックなムーブ。
2日。
何も言うことはない5.10b小川山・リングサイドエリア2015年7月
ホールドのないスラブの登り方、勉強になりました。
1日。
メイストリーム5.10b小川山・おむすび山スラブ2015年7月核心部でちょっと苦労した。
1日。
カーチェイス5.10a白妙橋2015年6月大掃除の末にRP。なかなか良い。
1日。
Unspeakable5.10a小川山・リングサイドエリア2015年7月
ホールドのないスラブの登り方、大変勉強になりました。
2日。
無名ルート5.10a小川山・おむすび山スラブ2015年7月心地よいランナウト。
1日。
ラベンダー(1P目)5.10a小川山・おむすび山スラブ2015年7月☆☆☆
緊張感あるマントルと、ランナウト。とてもいい。
2日。
ゴング5.9小川山・リングサイドエリア2015年7月アップに最適
OS。


○トラッド


ルート名グレード岩場RP日コメント
ジェラシー '955.10d障子岩2015年2月ジャミングしないボルトのスポルトルートをNPでなんちゃってトラッド、その2。その楽しさはまだ分からない。
ジェラシー 20155.10d?障子岩2015年4月ジャミングしないボルトのスポルトルートをNPでなんちゃってトラッド、のSDバージョン。
むかしクラック5.10cむかしクラック2015年3月☆☆☆
山野井さん初登のどっかぶりのクラック。中間部のきめにくいハンドに苦労した。
シルバーフリーウェイ3P目5.10b瑞牆山・御祝儀岩2015年10月
スラブとワイドクラックの中間。がんばった。
フィストクラック5.10八千穂高原ボルダー・八ヶ嶺橋エリア2015年10月
甘いハンドとフィストと、立体的でワイドっぽい動き。勉強になりました。
ペッペッペの羽田さん5.10a障子岩2015年1月ジャミングしないボルトのスポルトルートをNPでなんちゃってトラッド。その楽しさはまだ分からない。
a岩クラック5.10a?a岩2015年5月
チャートのハンド〜フィストのクラック。プロテクションの勉強になった。
カーチェイス下部var.5.10a白妙橋2015年6月
ボルトのスポルトルートをNPでなんちゃってトラッド。ナッツ主体でなかなかよかった。
フィンガークラック5.10a八千穂高原ボルダー・水門エリア2015年10月
効かないフィンガージャム。
裏面クラック5.9?大丹波ボルダー2015年6月
フィンガーの勉強になりました。怖かったのでカムでリード。
1日。
冬の誘い(1P目)5.9小川山・藐姑射岩2015年7月
勉強になりました。
1日。



○マルチピッチ


ルート名グレード岩場コメント
シルバーフリーウェイ(3P)5.10b、5.10a、5.10b瑞牆・御祝儀岩☆☆☆
プアプロテクションのスラブから、ワイドクラック。勉強になりました。
2015年10月(3Pをリード。1、2Pをフォロー) 。
ジェットストリーム延長(3P)5.10b小川山・屋根岩2峰☆☆☆
情報のないワイドクラックに潜り込む冒険。最後のクラックは混雑で省略。
2015年10月(3Pをリードでテンション。1、2Pをフォロー) 。
かにもどき(3P)5.9小川山・藐姑射岩☆☆☆
先の見えないトラバースに突っ込む冒険。
2015年7月(1、3Pをリード。2Pをフォロー) 。
南回帰線
(2P)
5.10b小川山・もどき岩☆☆☆
緊張感満載のトラバースの1P目。リードもしたい。
2015年7月(2Pをリード。1Pをフォロー) 。



○ボルダー


課題名グレードエリア完登日コメント
有朋自遠方来初段河又の岩場2015年1月未知への挑戦が最高に楽しかった。 4日。
1日。
ドクマティック1級/初段昇仙峡2015年12月個性的なマントルがいい。
1日。
小百合1級/初段昇仙峡2015年12月ルーフのムーブと、上部フェースのムーブがいい。
1日。
水滴穿石1級?北秋川ボルダー2015年3月水流で磨かれたツルツルの石灰岩のスメアリングがとてもいい。
びっくり箱1級?北秋川ボルダー2015年3月悩ましいハングした曲面からリップ上に。ムーブを探るのがとっても楽しい良い課題。
ルーフクラック1級八千穂高原ボルダー2015年10月完全なルーフのハンドクラックから、緊張感ある乗っ越し。最高にいいルート。
右から5番目のクラック1/2級?白妙ボルダー2015年12月トラバースから、どっかぶりのハンドクラック。立体的でいい課題
1番のハング1/2級?大丹波ボルダー上部エリア2015年12月岩がかっこいい。
右の方の課題2級?川乗のボルダー2015年3月小粒でぴりっとしたとても良い課題。
ペトロレアム2級?北秋川ボルダー2015年5月ハングから苔スラブ。
左抜け2級?十里木ボルダー2015年3月
裏面・夕焼けハングの左の課題。上部の緊張感が良い。
表面クラック3級?大丹波ボルダー2015年6月
力を要する下部から、緊張感ある上部フィンガー。
ピノキオ3級小川山2015年8月☆☆☆
緊張感満点。