北「登喜男くんは掃除は?」
室「しますよ。花崗岩ならワイヤーブラシも使います。」
小「えー。おかしいな。室井さんは掃除しないんじゃなかったの。じゃあ草野さんか。」
草「違うでしょ。」
北「そもそも草野君は汚いところは登らないでしょ。」
小「いやあ、なんかで読んだんだ。『草野さんは、ブラシも持たず苔のあるところを果敢に攻めていて、神のように思えた』って。
平「確か『石の人』もそんな感じじゃなかったですか。枯れ葉も落とさないとか。」
草「そんな。ずいぶん拡大されてるよ。木は切らないほうがいいってのは書いたけど。まああのころは血気盛んなころだったから、それに近いことは書いたかもしれませんね。まあこんなのは自分でルールを決めることで、他人に強要するもんじゃないですけど。まあ僕の場合、掃除するのにロープを使わないってことかな。それもそのほうがおもしろいからやってるんで。」
ROCK & SNOW 14号(2001年)
−ボルダーの開拓ですが、まったく掃除をしないのですか。
「違う。今はあまり掃除をしないという話だ。長い間登っていると岩場の自然のありがたさが身に染みる。だから美しい苔に覆われているボルダーを、苔を押さえつけながら登るのを楽しんだりする。簡単なものに限られるけれど。」
ROCK & SNOW 68号(2015年)
草野さんは、14年経って、今なお進歩しているんだなと。こんな話を読んでいたら、前に見た松原湖ボルダーの唐物大岩、苔と松の葉に覆われたあの岩を登ろうという気になりました。
ダイバーさんの参加を得て、まずは八千穂高原ボルダーでクラックから。
水門エリア |
水門エリア。右の5級でアップの後、5.10のフィンガークラック。まったく仕組みを理解していないフィンガージャムです。なんで決まるのか僕には理解不能な場所に、ダイバーさんはビシバシとジャムを効かせて登ってしまいました。僕は、ジャミング風にごまかしつつ、ハンドジャムに逃げたり、フェースのホールドに逃げたりして、なんとか登りました。フィンガージャムは理解できません。まったく効いている気がしないかと思ったら、諦めて降りようとすると外れなくなったり。
右が5.10、左が5.11 |
左の5.11のクラックは要掃除。兜石奥エリアのオフウィズス(5.10)は、謎でした。強くなってから出直します。
移動して、八ヶ嶺橋エリアで、フィストクラック(5.10)。ダイバーさんが、尖った岩がゴロゴロ転がる斜面という極悪な下地にもかかわらず、ボルダーで登るとか言い出したので、全力で止めました。2回目でRP。複雑な形状で、体の向き、ジャミング、足使い、とても勉強になりました。フィストクラックなのに、ダイバーさんはフィストを一回も使ってませんでした。
フィストクラック。 |
さらに移動して、松原湖ボルダー、唐物大岩。まずは、左カンテを登りました。。苔と松の葉との戦いで、本命である右の2級のラインでの苦闘が予感されました。果たして、予感通り、右のラインは、リップが苔と松の葉に覆われた絶妙なホールド。壮絶な戦いの後、ダイバーさんが、苔まみれのリップを力でねじ伏せて完登。僕もそれに続きました。
真ん中のライン? |
さて、自宅に帰って、浅井さんのブログ(これとこれ)を確認したところ、どうもライン取りが怪しいようです。右のラインは下部からもっと右を登るようにも見えます。今回登ったのは、真ん中のラインの途中から?まあしかし、そんなことはどうでも良いことです。あの苔と堆積した松の葉の前には、既成のラインなど、意味を持ちません。大満足です。
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