八千穂高原の空は雲に覆われ、林は霧に包まれ、道は黒く濡れている。登れるのか、登れないのかと、ルーフクラックへ向かう足取りは少々重い。でも、終わってみると、雲の合間から差し込む少しの光までも美しく見えました。目に見える景色なんてものは、心の持ちようでいくらでも変わってしまうことを知りました。
ルーフクラック。前夜に、ダイバーさんから行ってきますの連絡を受け、じゃあ僕も!と便乗させてもらいました。
1週間前に敗退して以来、悶々と考えていた抜け口のムーブが大当たり。1回目で成功しました。ダイバーさんも1回目で成功。お互いに朝から用事を済ませ、遅い集合で、二人揃って一度で完登という最高のクライミングとなりました。
そのあとは、ロッヂ八ヶ嶺でカレーを食べながら午後のエリアを相談。二人とも帰りは早いということで、一番近い松原湖ボルダーを選択しました。
広い空と、木立と、稲刈りを終えた田んぼと、やさしい農作業のおじさんと、とても素敵な雰囲気の場所でした。訪れるクライマーはいないようで、岩には苔と埃がたっぷり乗っていました。もったいないことです。
下の唐松立岩エリアの双子岩のカンテ(3級)と、上の唐物大岩のハング面にある日本略記(3級)、カルデラ(1級)、唐物(2級)は立派な課題でした。登りたいです。しかし、大掛かりな掃除が必要でしょう。特に唐物大岩は、ロープを使った掃除が必要です。小川山という一大エリアから遠くないこの場所に、わざわざ掃除をしてまで登りに来るクライマーはいないでしょう。ほんとうにもったいないことです。
比較的きれいだった松の木岩の右カンテ(2級)を登りました。持ちづらいホールドを押さえつけて、苔と松の枝をじゃりじゃりと鳴らしながらヒールで乗り込む、なかなか楽しい課題でした。上部は木の枝で覆われていて、トップアウトは断念。マントルを返して終了としました。
帰り道の田園風景は、より一層美しく見えました。
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