2017年4月9日日曜日

カンテで切れるロープ

先日の岩掃除で、避けることは難しいのですが、フィックスしたロープがリップで擦れて、気が気ではなかったです。というのも、1週間ほど前に、カンテでロープが切れる映像を見てしまったからです。

Ground fall - Michele Caminati from UKClimbing.com on Vimeo.

UKのElder Statementというルートで、Michele Caminatiさんが撮影中にフォールし、カンテにロープを盛大に擦って、ロープが切断されました。

映像はUKCによってアップロードされ、UKCのウェブサイトにはその報告もあります。
https://www.ukclimbing.com/news/item/71015/elder_statesman_and_a_ground_fall_for_michele_caminati

これによると、Caminatiさんは、3月27日にルートを完登し、その翌日に撮影のために再度岩場を訪れ、撮影中にフォールしたそうです。その際にロープが切断されグラウンドフォール。シェフィールドの病院に搬送されました。手首と踵の骨折の様です。Caminatiさんのコメントの概要は以下の通りです。「メットなしの10mmシングルで登ったら落ちてもうた。ハーフロープで登った方が良かったのかもしれんけど、まあしゃあないね。」

Elder Statementは、Curb Edgeというエリアにあります。Curb Edgeは、Peak Districtの東部に位置し、600ものルート・課題がある大きなエリアです。
https://www.ukclimbing.com/logbook/crag.php?id=21#overview

だいたいこの辺です。



UKCによると、Elder Statementは、2004年にSteve McClure氏によって初登されました。
https://www.ukclimbing.com/logbook/c.php?i=250816

その後、James Pearsonさんが第三登しています。
https://www.ukclimbing.com/news/item/67875/james_pearson_-_elder_statesman_-_hxs_7a

こちらがその時の映像です。最近のボルダリングのW杯に出てくるコーディネーション系の課題みたいなクライミングです。

James Pearson makes the 3rd ascent of Elder Statesman, HXS 7a, Curbar Edge, Peak District UK from Wild Country on Vimeo.

Jame Pearsonさんの第三登を伝える上記UKCのウェブサイトによると、初登者のSteve McClure氏は、カンテでロープが切れるリスクを認識し、太いシングルロープ3本で登ったそうです。その際の映像がこちら。



なお、Elder StatementにはHXSというあまり聞かないグレードが与えられています。これも上記UKCのサイトに解説があります。HXSは現在ではEと表記され、E1、E2とと数字をつけて細分化されています。今でもリスクの測定が難しいルートに付されることがあるとのこと。

今回の事故を受けて、BMCは早速注意を喚起する情報を更新しています。それによると、(1)エッジの鋭さはさほど問題ではなく、ガタガタしたエッジと高い落下係数がヤバい、(2)エッジにを跨がない様にロープをマネージすることが大事、(3)物質量の多い(つまり、太くて重くて密度の高い)ロープが切れにくいそうです。ダブルはいいけど、両方クリップしないと意味ないと、とも。
https://www.thebmc.co.uk/rope-shear-could-happen-to-anyone

なお、こちらが今回の事故に対する初登者のコメントです。
みなさん、気をつけましょう。

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