西條さんと瑞牆。
前日はWaterSpiderProjectに行くか、JETSETで開催された松島さんショートムービー上映会に行くか一瞬悩んで、松島さんの方に行くことにした。1時間だけ登った。それから家に帰ってお風呂に入って、諸々準備して、9時すぎだったかに瑞牆に向けて出発した。眠気と戦いつつ運転して深夜に到着。眠りは浅かった。
行き先は朝になってから西條さんと相談して、七面沢上流エリアに決定した。不動沢屏風岩でよろめきをやるとか、よろめきに人がいたら不動の日々をやるとか、考えてたけど、西條さんが《マリーゴールド》を見てみたいということで、乗った。
七面沢上流エリアはひたすら遠い。フロンティアスピリッツのガイドブックでは《マリーゴールド》まで60分ということになってるけど、アプローチ力が低いことで定評のある自分の足では、60分では済まない。クラック地獄までがまず辛い。そこから始まる上りがまた辛い。コルを越えた先の急登がまた辛い。辛い辛いで、到着したときにはたどり着いただけでもう大満足してしまった。しかも寒い。
西條さんは前回も登ったという《キャップスロック》(5.9)でさらりとアップしていた。自分も、せっかく来たのでなにか登っておこうということで、登った。上部が抜けそうなフィストサイズになって、めちゃくちゃ辛かった。最後のマントルは、右の方のカチを握り倒してなんとか切り抜けた。フラッシュ。しかし寒い。
帰りに山を下りながら西條さんと話したんだけど、苦手なサイズってのがある。西條さんは0.75らしい。自分は大きめのフィスト。いつすっぽ抜けるかわからなくて、思い切って体を動かすことができなくなる。手が小さいから一般的なフィストサイズが苦手という苦手意識がさらにこのサイズを苦手にしている。なんとかしたい。
その後は、西條さんは二度目の《チョップスティック》(5.10b)を登ってた。自分は寒くて動けそうになかったのでやめておいた。《くまのプーさん》(5.10b)に移動。
《くまのプーさん》は短いけどきれいに割れたナイスなワイドだった。下部は下開きで、体がすっぽり入るサイズ、中間部で狭くなって、上部はまた広がる。狭くなってるところを超えるのが一見したところの核心で、一回目はムーブがわからず敗退。二回目はテンションかけまくってムーブを探り、一応理解した。登り始める前は寒くてもう無理かと思ったけど、ワイドに挟まると体が温まって、元気も出てきた。不思議。
そして、まえまえからこの手の傾斜のないワイドにはハサマリングでは身につかない基本技術が隠れているはずと思ってたけど、やっぱりあった。
狭くなってるところを超える核心部は、下開きなので足が効きにくい。スクイズチムニーの基本姿勢の両膝フリクションでは上がれなかった。使ったのはTスタック。Tスタックは止まっていることはできるけど進むことはできないかと思いきや、できた。帰ってからピート・ウィタカーのCRACK CLIMBINGを確認したら、Tスタックはレストには最適だけど前進するには向いていないと書かれていた(イギリス版143頁)。進めたけど。
やり方はTスタックで立ったら、上半身を固めて足ブラになれる体勢を作る。今回は、右挿しで、右手がフィスト、左手はガストン、そしたら胸を前壁にくっつけてフリクションを出す(なお、フィストが効かないともっと難しくなるので、フィスト無しで練習したい。アームバーかライトバルブチェンジャーになりそう)。そしたらTスタックを解除しても落ちないので、右足を上げる。具体的には、右膝を上げて、膝を曲げて、右足を左足のふくらはぎ位の高さに置く。そしたら、左足を上げて右足に合わせて、Tスタックが完成。そこに立つ。その繰り返し。
なお、ピート本にTスタックは進むのには不適と書かれてるのは、もしかしたら他にもっと楽な方法があるということなのかもしれない。例えば、レッグバーとか(イギリス版142頁)。これはまだうまくできないので、基本のレッグバーの使い方も練習したほうがいい。
なお、合間にいろいろ見学して楽しかった。《マリーゴールド》(5.11c)はボルダームーブ炸裂という感じじゃないかと。《パプリカ》(5.10b)は、わずか5mでもルートを設定したくなるのもうなずけるきれいな割れっぷり。悪いシンハンドが楽しそう。そのうち登りたい。《即決》(5.12a)は、すっぱり割れたきれいなフィンガーに見えた。ワイドの《トイストーリー》(5.10b)は広くなったり狭くなったりで悩みそう。長さもあって苦労しそうだったので、今回はパス。
西條さんも一回やって、終了。フラフラになりながら下山して、駐車場にへたり込んだ。寝不足と、長いアプローチの疲労と、寒さと、ワイドクラックが原因だと思う。夜の移動はやめておいたほうがいいのかもしれない。
また今度と言いたいところだが、この日は梅雨入り前最後の週末で、次回はしばらく先になってしまうかもしれない。