2015年1月27日火曜日

岩と雪 #168と《デザート・ソング》

河又の岩場の《デザート・ソング》の終了点について知りたくて手に取った岩と雪168号(1995年)。


巻末に、今の100岩のもとになった連載 河又の岩場
《デザート・ソング》の初登者は石山良一さん。奥多摩周辺の岩場のトポでは良くお名前を目にする方ですね。グレードは5.12a、三ツ星です。解説には、「河又を代表するライン。スリングのかかった核心部は右に出ず、いつも湿り気味の穴と外傾ホールドからガバのピンチをとる。上部は大小のポケットを使う。」とある。

湿り気味のポケットは左手で使う浅いやつで、それと外傾ホールドでガバのピンチってことは、限定と言われている右のガバのみならず、みんなが使ってるアンダーエッジも、当時は使われていなかった(あるいはそもそも存在しなかった)ようですね。ここで書かれている2つのホールドが共に使われていなかったということです。これなしだと、確かに厳しそう。僕はあるものは使ってしまうタイプです。それで仮に難易度が5.11dになるのであれば、そのラインは5.11dのラインということでいいと思います。グレードは登った人が自分で判断すれば良いものですから。


本題の終了点。派生ルートがいろいろとあるのですが、24番が《デザートソング》。バツが2つ並んだ終了点はテラスの上。さらに上に伸びているのは、後から追加されたと思われるロングバージョン。ロングバージョンの初登者は小林敏さん。言わずと知れた奥多摩一帯の岩場を整備していただいている方ですね。グレードは5.12a/b。解説には、「24の終了点に立ち込んで直上。」とある。ということは、《デザート・ソング》自体は、終了点に立ち込まないということなのかもしれない。むかしはテラスの上から長いスリングを垂らして、テラス下で終了していたという話しも聞いた。他方で、テラスへの立ち込みで落っこちて悔しがっていたという話しも聞いた。初登時の扱いは謎のままです。

さて、どうするかですが、初登時がどうだったにせよ、ロングバージョンを登るのが一番いいのではないでしょうか。壁の途中でクリップして終了とするのは、なんだか中途半端です。たとえそれがテラスに立ったとしても。大きなテラスなら別ですけど、外傾した不安定なテラスですから。《デザートソング》の設定には歴史的な背景があるのでしょうけど、今登る人から見れば、壁の一番上まで行くのが一番すっきりします。さらに言うと、壁の一番上まで行くルートが設定された以上、途中までしか行かないルートは消滅したと扱っても良いのではないかとも思う。バイオグラフィーの様に。岩が脆いとかいう事情があれば別ですけど。

ところで、《デザート・ソング》の終了点の上に描かれている中間支点のボルトって、今もあるのかな?

○ボルト問題を考える ダグ・スコット
とっても面白い

○マスター・オヴ・グリット
ロートプンクト誌に紹介された、ジョニー・ドウズの横顔。ユリシーズ(E6)のオンサイト・ソロ。「彼は今も自分が拓いた4ピッチの『ザ・クオリーマン』を英国最高のルートのひとつと見なしている。」

これですね。すごすぎて笑えます。


○記録
・山形、山寺
・岩手、岩泉、龍泉洞ひょうたんケーブ
・神ノ戸の岩場 《スネークヘッド》、《カラヤブリ》のライン変更
小川山、左岸スラブ上部
《ブルー・アイランド》、《夢のハムステーキ》、《だるまさんがころんだ》、《すずめの涙》、《恋はお熱く》、《そうずら祭》、《寒冷前線》、《ビスタの夏休み》。最後の一本以外は僕はまだ見たことがない。100岩のトポでは何がなんだか分からないけど、解説を読んでいると登りたくなった。スラブのトラバース《そうずら祭》なんかは特に良さそう。
・南アルプス、甲斐駒ケ岳、赤石沢、Aフランケ、流星群
・明星岳、P6南壁、ハルシオン
・奥鐘山西壁、YYKKライン
・劔岳・源治郎尾根平蔵谷側下部中谷第2ルート(仮称)
・丸山東壁、南東壁、雨の日もパラダイス、右岩稜フランケ、京都府立大ルート
・唐沢岳、幕岩、中央カンテ・ドリームタイム
・雌鉾岳・庵の滝ルート
・薩摩半島、八重山山塊・鷹ノ子南面 安山岩の紐付きボルダー群


○チョー・オユー アルパイン・スタイル 南西壁新ルート・ソロとスイス=ポーランド・ルート第2登 山野井泰史 長尾妙子 遠藤由加
山野井さんと、「妻のような」長尾妙子さんと、「妹のような」遠藤由加さんの記録。今や別の道を進んでますけど、こんな時代があったんですね。


○バフィン島のビッグウォール

○クエンカ いまスペインでもっとも注目されている岩場 有枝樹雄

○ソンウンサン 白水高宏
韓国の前傾壁

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