小川山・マラ岩のてんかちゃん。謎のルート。
謎、グレードが謎。
5.11bというグレードのわりに難しい。ネット上の情報でも難しいという声は多い。先日マラ岩でお話ししたクライマーの方も難しくて登れないと言っていた。どうしてもムーブが分からなくて、右の《届け手のひら》の終了点から回り込んでトップロープをかけてムーブを探ったけど、全てのムーブを解決することは出来なかった。グレードのわりに難しすぎると感じる。
謎、プロテクションが謎。
100岩のトポでは、NP&Bとなっているけれど、カムが挟まる場所がない。上まで抜けて確認しても、クラックはない。あえて言えば、上部の縦模様の下のアンダーフレーク部分に極小カムか?
謎、ライン取りが謎。
オールボルトルートのはずの左バリエーションの《ときめきをありがとう》(5.11c)にはクラックがあってカムがはいりそう。でもボルトが打たれてる。その右のフェースは激ムズ。ほんとに5.11bのルートか?
ということで、考えてみた。まずは岩場に持って行った100岩のトポ。
5番が《てんかちゃん》で、4番がバリエーションの《ときめきをありがとう》。説明には「NP&B」とある。が、カムを挟む場所がないという謎。
それから、以前の反省を活かしてやはり岩場に持って行っていた菊池さんの『関東周辺の岩場』。5番が《てんかちゃん》で、4番が《ときめきをありがとう》。
うーん、ボルトの記載がない。100岩と比べると横向きの皺が1本増えてるけど、何のことなのか謎。
トポの説明には、「4のオリジナルで、途中の垂壁を右から越える」とある。なぜかNPの記載はなし。ちなみに、《ホリデー》には「N・P」の記載があり、《ロッキーロード》には「要N・P」の記載がある。《カシオペア軌道》には「N・P」の記載はない。謎。
それから、《ときめきをありがとう》は、「下部のスラブの左端を直上」となっている。左のクラックは?
次に、帰ってから見たのが、PUMPのトポ。
うーん、『関東周辺の岩場』とは向きが異なる線が2本。N・Pのマークはなし。あと、4本目のボルトの右下の大きな丸は何だ?一瞬、届け手のひらの大穴かと思ったけどこんなに左じゃないし、もしやアンダーフレークが作る弧を丸にしてみたのか?謎。
それから、北山さんの『日本フリークライミングルート図集』。
線も丸もなし。説明には、「中間部右へのトラヴァースが核心。F2 1/2があれば安心」。
「右へのトラヴァース」!今回登ろうとしたラインはトラヴァースというよりは直上。言われてみれば、トポのラインは大きく右に迂回している。ライン取りを誤っていた可能性あり。
そして、「F2 2/1」!フレンズの2.5と言えば、キャメロットの1と2の間くらい?結構でかい。上で書いたアンダーフレークに入るサイズではない。
最後に見たのが、大岩さんの『フリー・クライミング 入門とガイド』。実は後半はトポ。
右に移る部分に5.11bのグレードが付いている。右に出た後で左に戻るクラックに「フレンズ2.5番」。これってもしや、《届け手のひら》の終了点から回り込んだ時に使ったクラック(というか分厚いフレーク?)では?
そして、核心部の右に付けられたボルトマーク。これは《届け手のひら》の大穴の左上に打たれているボルト?アレを目指して登れってこと?ちなみに、大岩さんのトポには、《届け手のひら》はない。てことはやっぱりあのボルトか。しかも、《届け手のひら》のほうが後から追加されたのだとしたら、その終了点をかすめて登ったとしても不自然ではない。
以上の検討の結果たどり着いた目下の結論は以下の通り。
果てしなく難しいというグレードの謎は、登るラインを間違っていたために起きた可能性が高い。途中で右にトラバースするポイントを見逃して直上して《ときめきをありがとう》に入ってしまい、さらに《ときめきをありがとう》と《てんかちゃん》の間のブランクセクションに迷い込んでしまったか?
カムが入らないというプロテクションの謎も、ライン取りの間違いが原因か。《届け手のひら》の終了点をかすめて左に戻るラインだと、確かにフレンズの2.5くらいのサイズだった。
てことで、4本目のボルトの上から右にトラバースして、届け手のひらの終了点をかすめて左のクラックを使って戻ってくるのが《てんかちゃん》のライン取りってことだと、全ての謎は解けたことになる。
さてどうでしょう?今度、矢崎さんにあったら聞いてみよう。
こういうのって岩と雪の初登時の記録(があればそれを)見れば一瞬で分かることなのかもしれないけど、第何号に掲載されてるのか(と、そもそも記録が存在するのか)が分からないんだよね。開拓時期からだいだい推測は可能だけど。やっぱり岩と雪は全部手元においておかないといけないな。
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